夢見る頃を過ぎても 1


2000年6月10日

 「あなたの夢はなんですか?」
 という問いに、普通の人はどんな答えをするのでしょうか?

 私が25歳くらいの頃、当時まだ大学生だった20歳そこそこの友人に、
 
 「みやのさんの夢はなんですか?」
 
 と大真面目に聞かれました。私も素直に自分の夢を教えました。
 
 「うーん・・・南の島で毎日昼寝して暮らすことかなあ・・・」
 
 それを聞いた友人はちょっと困った顔になり、
 
 「ええと、そういうのじゃなくて・・・」
 
 と口篭もってしまいました。
 話はそこで終わってしまい、結局彼女が期待していた「夢」がどういう類のものだったのかわからなかったのですが、その後その時のやりとりを思い返してみて、多分彼女の夢というのは「将来こんな仕事がしたい」とか「留学してこんな勉強をしたい」とかそいう大学生的なものだったのではないかと推測しました。

 「夢」といってもいろいろと種類があるようですが、思い付きで分類すると

 将来の夢・・・脚本家になりたい、英語ができるようになりたい(わりと具体的)
 宝くじが当たる夢(具体的と妄想が入り混じる)・・・あまりにも多く語られているのでひとつのジャンルにしてもいいと思う
 夢物語もしくは妄想・・・美女に囲まれ酒池肉林、キムタクと結婚したい
 などが一般的でしょうか?
 
 あとは「選ばれた人」と「自分が選ばれたと信じている人」にだけ許される「立派な夢」というのも忘れてはいけません。キング師の「I have a dream....」という有名な演説なんかは、誰もが納得する「立派な夢」でしょう。海外援助などを目指す人達の「飢えている子供たちを救いたい」などもなかなか立派。「世の中の全ての人達を苦しみから開放したい」とかになると、やや危なくなってきますが・・・

 そう考えると、私と友人の「夢」に対するすれ違いの構造も見えてきます。
 友人が「将来の夢」を語りたかったのに、私が「妄想」を述べてしまったのです。新入社員同士が飲みながら、「英語も勉強して、資格も取って、実力で上に立ちたいよなあ」なんて話ているのに、「そうそう、やっぱゆくゆくは社長になって秘書にはズラーッと超美人そろえてさあ・・・毎日リムジンでお出迎え!」などと言い出すお調子ものがいて場が白けてしまったようなものでしょう。

 ただ、自分に関していえば、私にとっての「夢」というものは、常に「妄想」に近いのです。
 これは性格の問題だと思いますが、あまり「真面目な将来設計」を考えたことがないので、「25歳までに結婚して、早く子供を産んでからまた社会復帰したい」とか、「会計士の資格を取って独立したい」などということをあまり考えたことがないのです。おかげさまで、かなり堕落した人間になりましたが、生活に関して言えば「なんとなく生きてみて、何か決めるときにはその都度判断していって、それが上手くいけばオッケーだし、上手くいかなければまた対策を練ればいい」というはっきりした指標(?)がありますのでそれに従っているわけであります。
 
 悪く言えば、要するに「人生の目標」を持っていないのです。

 別にそれで困ったとはないのですが、友人の中には「目標あってこその人生」と考えている人も少なくありません。彼らと話していると時々、冒頭に書いたような「あなたの夢はなんですか?」という質問を受けて、いつも気まずくなってしまいます。相手に合せて、てきとうにそれらしいことを言ってしまえばいいのですが、生真面目なたちなのでついつい本当の夢を語ってしまい、「そういのじゃなくて・・・」と言われるくらいならまだしも、相手がからかわれているのではと思ってしまうようなことを言ってしまうので、言い争いに発展してしまったこともありました。

 なんだか前置きというか言い訳が長くなってしまいましたが、ここではなかなか他人に本気だと思われない「私の本当の夢」を一挙公開したいと思います。


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