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名演2009年3月例会 文学座公演 

作/川崎照代 演出/藤原新平

初雷
3月12日(木)6時30分
  13日(金)1時30分
       6時30分 
 
中京大学文化市民会館プルニエホール
(名古屋市民会館中ホール)          地図
上演時間
2時間30分(休憩15分を含む)
あらすじ
上田桃子さんのお話を聞く会
キャスト・スタッフ
関連サイトリンク
会費 月額一般 2600円 22歳以下 2000円  
   高校生以下 1300円
入会金  一般  2900円 22歳以下 2300円    
高校生以下 1600円
新入会の方は、会費と入会金が必要です。それ以外の入場料は必要ありません。  くわしい名演の入会方法はこちら
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家族をつなぐ絆とは……
女性の真の自立とは……
舞台は静かに問いかける

 3月例会は『初雷』です。川崎作品が例会になるのは3度目。
 1993年12月『鰹群(なぐら)』(ぐるーぷえいと)、1998年5月『野分立つ』(文学座)につづいて、今回の『初雷』となります。

 津田理子(倉野章子)と兄の篤志(清水明彦)が同居してから15年。同居のきっかけは兄嫁の他界。仕事一筋で生きてきた理子だったが、残された二人の子供たちを育てるために仕事を捨て、家事と子育てに専念したのだった。
 それほどの決心をさせたのは一体何か?
 やがて子供たちが成人し、自分の役目にもひと区切りが付いた。それは理子にとって第2の人生が幕を開けた瞬間でもあった。そして15年ぶりに兄の同級生である山岡(早坂直家)と再会して仕事の誘いを受けることで、忘れかけていた情熱が蘇るのだった。そんなある日、津田家を思いもかけない人物が訪間する。その人物から長女智子(上田桃子)の突拍子もない決心を知らされることになる理子と篤志。
 理子の心に雷鳴が響く。
 それは春の訪れを告げる初雷にも似て、遠く近く鳴り響いていた。

作・川崎照代 (かわさきてるよ)

 鹿児島県枕崎市生まれ。港町に生きる家族を描いた『塩祝申そう』で第−回文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を受賞。同作品は『鰹群』『港の風』との3部作となり、ぐる−ぷえいとにて藤原新平演出で上演。1988年『二人で乾杯』(劇団東演)、1989年『盛装』(ぐるーぷえいと)など正統的なリアリズム演劇を多数執筆。なかでも1995年『野分立つ』(文学座)で描いた、崩壊から再生へ向かう家族の姿は多くの共感を得、2002年まで再演を繰り返すヒット作となった。現実感のある会話を紡ぎ、登場人物たちの心の動きを綴密かつ的確に表現することには高い評価を得ている。近作では2005年『油単』(演劇集団STAMP)がある。


上田桃子さんのお話を聞く会

【観る人の想像力を信じた芝居です】    

 2月5日に開催した上田桃子さんを囲んだ学習会は昼41名、夜23名の参加でした。  
 昼の部は、椅子の追加、また追加(読みが甘かった)とバタバタとした雰囲気のなかで始まりました。  
 上田さんの話は、「初雷」のあらすじ(紹介記事を参照ください)を中心に進められ、所々で「伝わっていますか?」と確認しながら身振り手振りを交えて話されました。話し方はスムーズとは言えませんが、芝居のよさをわかってもらいたいという、一生懸命さが伝わってきました。  
 ただ、芝居の勘所になるとミステリー的な要素もあってか、(そこがこの芝居の魅力の一つでもありますが)「観ていただければわかります」、「話してしまうと・・」と言われ、話が途切れる場面もあり、同席した制作の友谷達之さんが「もう少し話していいよ」などとフォローすることもありました。  
 参加者から見れば、娘世代の上田さんに対して親のような感情を持たれたようで「舞台ではどんなふうに演じるのか」という質問もありました。制作の友谷さんが「舞台に上がるとびっくりされる程、変わります。変わりようを楽しみにしていてください」と太鼓判を押してくれました。それも見どころのひとつ?  
 『初雷』は、女性が節目、節目でどう決断するのかを中心に据え、それを支える男性や異形家族の深い愛、信頼し合っているからこそ出てくる、家族間の激しいバトルのような言葉のやりとりの魅力。そして言葉を大切にしてきたそれを演じる文学座の俳優達。そして一見ホームドラマに見えながらも、そのセリフのやりとりから、想像力が膨らんでいくとても演劇的な作品です。
 「芝居を観て自分とは違う立場の人もいる。ということを理解していただければと思います。観る人の想像力を信じた演劇的な芝居です」(友谷さん)。 「男の人も含めて多くの人に観ていただきたい芝居です」(上田さん)。  
ご期待下さい。      

  上田桃子さんと制作の友谷さん

 こちら、女優の上田桃子さん。  
 流行りのヘアースタイル(らしい)でキュートな出立ち。名演には6年前『リチャード三世』で幼い王子役で来たという。今もあどけない。ひょっとしたら私は搬入などで、一緒に舞台づくりをしたかもしれない。  桃子さんは話し始めてから何度も「届いてますか?」と私たちに確認してくる。  「女の選択?」「家族の心の変化?」「鍵はお弁当?」川崎さんの台本はセリフのバトルで大変だそうだ!  
 桃子さんが演ずる、智子が世話になっている叔母の理子(倉野章子さん)のつぶやきに対して、“小鳥のさえずり”と去なす意地悪な面もあるという智子役。そのどこに共鳴して演じるのだろう?だから私生活では?ネタバレを気にしすぎてか断片的なお話(もっとも、何があるんだろうという推理劇のようなところもこの芝居の魅力だから、お話できないのも無理はないのかも。)  
 とても心地よい響きの声だった。さあ!!話したくても話せなかった、桃子さんの心の言葉を、声を探しにいきましょう。(ポートライト、ピコ)


<キャスト> 

津田理子(みちこ)
津田篤志(理子の兄)
津田智子(篤志の長女)
津田潤一(篤志の長男)
小笠原健吉
山岡(篤志の同級生)
溝口桂子(理子の友人)
下川長子(智子の知人の母)

<スタッフ> 

川崎 照代
演出
藤原 新平
装置
石井 強司
照明
古川 幸夫
音響効果
齋藤美佐男
衣裳
伊藤 早苗
舞台監督
加瀬 幸恵
演出補
今村 由香
制作
友谷 達之


関連サイト

文学座ウェブサイト http://www.bungakuza.com/

河村常雄の劇場見聞録 倉野章子さんインタビュー
http://blogs.yomiuri.co.jp/kawamura/2007/03/post_f46c.html


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最終更新日 2009/02/16