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- 1)慢性気道炎症が気管支喘息の本体であるという疾患概念の確立
2)抗炎症療法が大切であるという認識
3)吸入療法,特に吸入ステロイドの有用性の確認
4)ピークフローメータによる自己管理の方法の普及
5)日本アレルギー学会のガイドラインなど標準的治療法の提示
ということです.
吸入ステロイド療法の有用性はすでに確立したものであり,その効果に疑問の余地はありません.
しかし,現在でもなお,そのような標準的治療法の恩恵に浴すことができない患者さまがおられます.
その原因は
- 1)ガイドラインがすみずみまでは,行きわたっていないことによるもの(わたしたちの責任です)
- 2)吸入ステロイドに対するいわれなき偏見によるもの(患者さまの側にもあり,また一部の医療者側にもあり)
ベクロメサゾンやフルチカゾンなどの吸入ステロイドを選択し,適切な吸入補助器具を使い,
定められた量をまもり,経験のある医師の管理下において適切に使用する限りにおいては,
全身的副作用は非常に少ないと考えなくて良いでしょう.
吸入ステロイドは内服や注射のステロイドとはちがうものです.
まれに咽喉頭の違和感,声がれ,口腔内カンジダ症など局所の副作用がありえますが,
うがいの励行などで,ほぼ予防が可能です.
吸入ステロイドは喘息が重症化するまで,取っておく薬ではなく,
むしろ咳喘息や,発症早期に積極的に使用することによって気管支の器質的な変化(リモデリング)を防ぎ,
重症化を阻止するための薬です. 早期治療が必要なのです.
自分は軽症だからと,発作の出たときに気管支拡張剤を使って様子をみているわけにはいかないのです.
リモデリングが起きてしまえば,治療はますます困難となり,喘息死につながる懸念もあるのです.
喘息の患者さまは喘息の治療薬以外の薬にも注意が必要です 吸入ステロイドを中心とした適切な予防療法を受け,きちんと管理されていても,
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