
11.ブレリア
ブレリアは3拍子系のフラメンコを代表する曲種だ。フィエスタでは必ず歌い踊られるし、ソレアやアレグリアスなどの3拍子系の最後には必ずこのブレリアが踊られる。
つまりブレリアはフラメンコの3拍子系の基本であり、これが踊れなければ、これらに属する全ての曲種を踊ることは出来ないと私は思う。
1コンパスは12拍でカウントし、アセント(アクセント)は12・3・6・8・10もしくは12・3・7・8・10になる。 しかし、歌によっては通常のコンパス(12拍)のなかに突然メディオコンパス(半コンパス、つまり6拍)が入ってくるし、ブレリアの発祥地ヘレスではメディオコンパスが基本だし、絶対的コンパスというのが存在しないのがブレリアの難しさであり、楽しみでもあると私は感じている。
ブレリアの歌は他の曲種同様(スペインの)地方によって特色があり、メロディーや歌詞、それにノリが全く違う。
アレグリアスなど3拍子系の最後にくるこのブレリアには、一般的な決まりごとが存在する。例えばアレグリアスの後はブレリア・デ・カディスが歌われるという伝統があるが、最近、スペインではその決めごとをわざと変えることもあるらしい。
私が知る代表的なブレリアは、ブレリア・デ・ヘレス、ブレリア・デ・ウトレーラ、ブレリア・デ・カディス、ブレリア・デ・トゥリアーナなど。
ブレリアは、タンゴ同様ヒターノ(ジプシー)が歌を聞きながら即興で踊るものだったから振付けをするものではないと言われているが、この即興が大変難しい。
フィエスタ(お祭り、祝宴)用ブレリアには、細かく分析するといくつかのパターンがあるみたいなので、その一部を紹介する。
まず私が日本で習ったフィエスタ用ブレリアについて。まず踊り手がジャマ−ダをかけて歌を呼び、歌が終わったらジャマ−ダをかけて去っていき、最後に必ず締めて終わるというもの。
しかし、ヘレスのブレリアはちょっと違う。歌が始まってから踊りだし、踊り手の好みで踊りたいだけ踊ってからジャマ−ダをかけて去っていくのが一般的なパターンのようだ。ブレリア・デ・ヘレスはメディオコンパスなので慣れるまでは踊りづらかったけど、慣れてしまうと踊りやすくて今では楽しくて仕方がない。
ヘレスのペーニャ(愛好会)では、ブレリアが歌い踊られるが、年輩のセニョーラ(御婦人)がさりげなく踊るブレリアは、簡単なマルカールをしているだけなのに、体から溢れだすコンパス感と個性で、観ているものの心を刺激する。ここでは観客までもがパルマを叩き、タイミングのいいハレオがかかり、そのノリは体験したものにしか味わえない至福の時を過ごすことが出来る。
フラメンコを楽しみたい人、まずはブレリアを!
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