2010年度活動報告 
辻田レポート


「こんな雨の日に登るのですか?」

 


●はじめに

 村中さんキヨカさん、 旭山さん美穂子さん岳君、 Hさんマサヨさん、 小池さんK春さん、 山ちゃん、 雄一郎さんなど、多くの方にお世話になりました。 歩いたのは7人でした。 こうして書いてみると、沢山の方にお世話になったのだなと、つくずく思います。 有難うございました。




●8月12日 雨 薬師沢のはずが

 「こんな雨の日に登るのですか?」と村中さんに聞いてしまいました。 そのぐらい朝から雨が降ってました。 何時もの有料道路は、今年は通れないので、遠回りでの折立行きでした。

 愛知大の遭難碑に手を合わせ、太郎平小屋への登り開始です。 登る人も降りてくる人も沢山いてビックリしました。 そうなんですよね、休みがたくさんある訳ないし、雨だからと言って、止められないですよね。

 三角点を下った所で雨の中の昼食。 僕はザックの脇にしゃがみ、ポンチョで身体とザックをくるみました。 こうするとザックの蓋を開けても、雨が入らないのです。 サラダ巻きの寿司を、一所懸命食べました。

僕は食べるのが非常に遅いのです。 自分だけ遅れるは訳には行きません。 サラダ巻きだけでは満足せず、アンパンを一つ食べました。 これがいけなかった。 ポンチョの外に出て見ると、既に食事を終えられたマサヨんとHさんが、歩く準備を終えて立っておられました。


 石田畳の路は、川になってました。 この頃になると、今回卸した、おニューのハイキングシューズは、ビショビショでした。

 高価な革の登山靴の村中さんは、殆ど濡れなかったようでした。

 沢登り用の靴を履いておられた、マサヨさんやHさんや旭山さん、それに岳君はどうだったのでしょうか?

 この日は暴風雨で、薬師沢が大増水し、通行止めになった為、太郎平小屋泊まりとなりました。 個室が取れたのは、村中さんのお陰です。 贅沢をさせて頂きました。



●8月13日 曇り 高天ケ原へ。

 僕の役目は、薬師沢小屋から高天ケ原に、岩魚を上げることでした。 残念ながら大雨による大増水の為、岩魚が流されてしまい、その役目は果たせませんでした。

 A沢とB沢のトラバースは危険です。 2箇所鎖が欲しいところがありました。 聞けば、村中さんが鎖をつけたり、ザイルを張って下さったのこと。 頭が下がります。

 高山植物を守る為に、木道を敷設するこも大切ですが、人の命を守る為に、危険な箇所の整備が大切だろうと、思った次第です。

 B沢の出会いで昼食。 マサヨさんの作って下さったフランスパンに、高級ソーセージをはさんだものは、美味かったです。 生のソーメンを持ってきて頂いた旭山家に、感謝です。 麺ツユに、ショーガまでついているではありませんか、びっくりです。 みなさん、ご馳走さまでした。

 岩苔小谷で試し釣り。 岳君がヒットしたそうで、良かったですね。 岩魚釣りを見るのは初めてでした。凄いですね、皆さんには水の中の岩魚が見えるのですから。
 毛ばり造りの奥の深いこと。 岩魚は下流から上流に向かって釣ることなど、新鮮な驚きがいっぱいでした。 高天ケ原の湿原に、岩魚を放せたらいいのになと思いました。

 高天ケ原の風景と温泉は天国ですね。 湿原の向こうに見える水晶岳、歩いてたどり着いた人だけに与えられる、特権なのですね。 温泉の帰り、美穂子さんと野生のブルーベリーを食べながら、ゆっくり散歩をしました。 ひたすら歩くだけじゃない、景色を楽しむ心のゆとりが、必要だと感じた次第です。

 太郎平と薬師沢と高天ケ原の三箇所に泊まりました。 限られた食材で美味いものを食べさせて貰える。 有難いです。



●8月14日 雨 薬師沢小屋へ。

 黒部本流の増水が予想されたので、雲の平経由で、薬師沢小屋に下りました。 足を折った人や行方不明の人が出ましたから、村中隊長の判断は大正解でした。

 雲の平の小屋は新装され綺麗でした。 高天ケ原小屋びいきの僕としては、悔しかったです。 8月24日から、高天ケ原の小屋の改修工事が始まるそうです。 あの小屋の雰囲気は是非残して欲しいです。

 この日の昼食は大雨の為、小屋飯でした。  みんなはラーメン、岳君と僕はカレーでした。

 村中さんによりますと、太郎平小屋のより美味かったそうです。 3000m付近で雨風にあたることなく、温かい昼飯にありつけるのですから、有難いです。

 晩御飯を頂いてから、雨が強くなり轟音と共に、見る見る内に薬師沢の水かさが、増して来ました。

 そしてもっと増水すると、小屋の周りが湖状態になり、水の流れる音がしなくなるそうです。 自然は恐ろしい。


●8月15日曇り。折立へ下山。

 朝方、防災ヘリが雲の隙間をついて、薬師沢小屋へ骨折した登山客を救出に来ました。 てきぱきとした隊員の動作に、感激しました。 無事に患者をヘリに収容し、再び雲の向こうに飛んで行ったヘリを見て、涙が出そうになりました。

 薬師沢左俣で竿を出しました。 僕は二回ほど投げさせて貰いましたが、難しいです。 Hさんのみごとな竿さばきに、見入っていました。 村中さんの鮎釣りのように、やることに無駄がない。 竿を投げるホームが綺麗でした。

 太郎平小屋で昼飯。 岳君は折立まで駆け下りた様子。 一番後ろの僕たちを、折立で一時間半も待ったとのこと。 素直で子供らしい岳君は、来年には中学生。 今時珍しい、純な心の岳君の成長が楽しみです。 いい子です。

 有峰ハウスの前で小熊を見かけました。人間にじゃまされず生きて行けますように。



●村中さん家でうちあげ

 キヨカさんご馳走さま。 白樺ハイツの温泉で汗を流し、いよいよ夕食。

 野菜サラダ・ タコとキュウリの酢の物・ こごみの煮付け・ 大好きな煮豚・ 鯛の昆布締め・ お隣さんのキューリ・ 初めて食べたしろ海老の押寿司・ 二種類の老舗店の鱒寿司。

 そしてコゴミやサトイモの入った富山芦峅寺の郷土料理、“つぼ”などを頂きました。

 村中さん家の料理は本当に美味いのです。 いつもいつも有難うございます。
 心からお礼を申し上げます。



●あとがき


 今はジリジリする日差しの大阪にいます。 セーターを着て夜を過ごした太郎平小屋が、嘘のようです。

 みなさんのお陰で、楽しい山の旅を楽しむことが出来ました。 お礼の言葉がみつかりません。 楽しかったです。 ありがとうございました。


8月22日記す
文および写真 辻田希代彦





●追伸


旭山さんご一家へ

 大和屋のコーヒーをありがとうございました。 私にまですみませんでした。

 山の中ではお世話になりました。 ソーメンやお菓子などご馳走さまでした。 自分の持ってきた魚肉ソーセージやチーズは、はずかしくってみんなに出せずじまい。 旭山家の食べ物の種類には、とてもかないません。

 旭山さんは車の運転・重い荷物・岩魚釣りまで凄いですね。「子供達は目が覚めたら富山や日光に着いていると思っている」と云う旭山さんの言葉が、心に残ります。 お疲れさま。

 美穂子さんと僕だけ、釣り人ではありませんでした。 山を歩くだけでしたね。 素晴らしかったのは、高天ケ原の風景でした。 それにしても、美穂子さんは甘いものを良く食べる。 最後の日、太郎平で変形したアンパン3個、平らげてくれてありがとうございました。

 岳君は村中さんに将棋で一勝六敗でしたね。 ごまドレは日光に帰ってからも食べていますか? 将棋も釣りも、来年はもっと強く上手になっていることでしょう。 岳君を見ていると日本の正しい小学6年生だ、日本はまだ大丈夫だ。 そんな気がしました。


 9月末に黒部に入るお話を頂きましたが、10月1,2,3日と白山に登る約束があり、続けて休みは取れません。 悪しからずご了解下さい。

 日光も暑いでしょうね。 もうちょっとすると秋の足音がしてきます。 我慢、我慢。
 お元気で。




Hさんマサヨさんへ

 ヨットと黒部行きではお世話になりました。 楽しかったです。 ありがとうございました。

 岩魚釣りを見たの、初めてでした。 毛ばりについている蛍光色の浮き(?)は岩魚には見えないのだそうですね。 毛ばりを一つ作るのに、どの位手間がかかるのでしょうか。 毛ばりによって食いが違うのでしょうね。 また話しを聞かせて下さい。 Hさんの話はおもしろいです。

 竹田の油あげは美味しかったです。 豆腐は大豆とにがりと水、これを揚げたのが油揚げ。 工程が複雑でないので全ての素材と腕が良くないと、ダメですものね。 買って帰った油あげは、半分に切ってトースターで焼いて頂きました。 店で食べたのとほぼ同じ味がしました。

 マサヨさんに教えて頂いた、ソーセージとトマトのディップは楽しんでいます。 ソーセージは75度ぐらいにして30分ぐらい蒸かせば良いようです。 本に書いてありました。 五香と云う香料があります。 今度はこれを入れて中華風に作ってみます。


アルペン村で買ったナスとピーマンのカレーを作りました。 今一つコクがなかったので、トマトのディップを入れたら、美味しくなりました。 お二人のお陰で美味しいものが3つ増えました。

 大阪に戻ってきて、普段の生活が始まりました。 黒部行きは、ほんの一瞬の楽しみでした。 次の楽しみの為に仕事をします。  また、遊んで下さい。  お願いします。




村中さんとキヨカさんへ

 お世話になりました。 何とお礼をして良いか分かりません。

 今回初めて会の方々と山に入りました。 気がついたのは、山に登る人は頂上を目指します。 頂上に登らないと達成した感じがしない。 一方、釣り人は魚のいる処をめざします。 釣り人は沢を見ると目つきが違います。 動物が獲物を狙う眼です。 黒部源流は広い広い狩場なんでしょうね。

 黒部源流の岩魚を愛する会は、村中さんとキヨカさんがいらっしゃるから会が続いているのだなと、つくづく思いました。 うまく言えないのですが、お二人の人柄なんですね。 また、お邪魔します。 有難うございました。


 キヨカさんは、この写真をご覧になっていないので。 写真にはいろんな思い出があります。 お二人のお酒の肴にどうぞ。




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(C)黒部源流の岩魚を愛する会