(奈良県宇陀市) |
奈良盆地の南端から、伊勢方面に向かって山を分け入った辺りに位置する榛原は、伊勢本街道と初瀬街道(伊勢表街道・あを越え)とが分岐する交通の要衝として栄えた宿場町。中世以来の歴史を持つが、特に江戸時代には伊勢参りの参拝客で賑わった。 どちらの街道沿いにも、古い町並みが残る。また、街道筋から少し裏手に入ってみると、思いがけず立派な建物が見つかったりする(写真二枚目)。山間の狭い平地という地形のせいもあって、狭い道が入り組んだ複雑な構造をもつ町だが、その分歩き回るのが楽しいとも言える。 二つの街道の分岐点としての名残を色濃く残し、榛原の町並みを代表する場所とも言える「札の辻」。アイストップとなっている正面の「あぶらや」は、本居宣長が宿泊したという非常に由緒ある旅館だ。以前訪れたときに比べると、痛みが少し修復されてきれいになっていた。前回訪れた時以降に取り壊されたと思われる家屋もいくつかあったが、大切に保存していって欲しい町並みである。