Victor S-VHS HR-S9800

1990年の製品です。今のビクターからは想像出来ない程しっかりとした作りで、画質もすっぴんなら今の製品より数段上です。今回は2台入手することが出来ましたので、とりあえず1台をある程度使えるようにしてみました。

まず。1台のほうはヘッドかドラムのトラブルで画面半分が出ない状態。もう一台は一応絵が出るというレベル。今回は絵の出るほうを仕上げてみました。これならドラムが正常ですからヘッド交換である程度蘇るはずです。

 

早速あけてみます。なかなかしっかりした作りです。サイドパネルは高比重の樹脂製。電源部は銅メッキされています。一見ただのスイッチング電源ですが、トランスもついています。おそらくオーディオ部は独立電源のようです。とてもしっかりした電源ですね。

メカが動くたびにLED表示などが暗くなるほど強烈なコストダウンを強行した今時のビクタービデオの電源とは次元が違う仕上がりです。

 

 

 

 

 

BSチューナー部のシールドケース内のようすです。銅メッキされたシールド板がICに取り付けられています。だいぶこだわって作られたようで、DDコンバーターのチップもついています。高級オーディオ回路をそのまま持ってきたようなものですね。

 

 

 

 

 

BSオーディオ回路のアナログ部。これはなかなかすごいです。オーディオ専用パーツで固めてあります。更に、オペアンプにはあの5532が4つも使われています(でもさすがに標準クラスですが)!!20万円クラスのDAT並です。

ビデオとは思えない入魂の回路。実は、この作りの良さに惚れてリペアを決意しました。

 

 

 

 

 

リペアに入ります。メカ部を点検してみると、年式のわりには程度が良いようです。問題箇所は見あたりませんが、グリスが乾いて固形化していたのですべてふき取り、パーツクリーナーを綿棒にしみこませて掃除していきます。けっこう根気のいる作業です。

 

 

 

 

 

本来ならモリブデン系のグリスを使用しますが、個人的に気に入っていて、ラジコンでその効果 の高さが確認されているセラミックグリスを使用しました。キャプスタンローラーを交換したいところですが、今回は見送り。またの機会にしたいと思います。

「開けたら交換」のスライドエンコーダーは確認したところ、一度やってあるようですので、今回は見送りました。一応、部品は取っておきます。

 

 

 

 

キャプスタンローラーと一緒に交換したいのがこのヘッドクリーナー。かなりボロボロで効果 は期待出来ません。というか、新品のヘッドを汚してしまいそうなので交換します。

 

 

 

 

 

S9800本来の画質を引き出すため、ヘッドも交換します。毎度お馴染みの藤商ヘッドです。価格は5300円。とってもリーズナブルです。

まず、インピーダンスローラーと軸アースを外し、ヘッド基板上のハンダをすべて吸い取ります。電動ハンダ吸引機があれば1分もかかりませんし確実です。すべて取り除くことができたら2枚の基板を外します。

ヘッドには取り付け向きがあります。よく確認してから交換作業に入ります。

 

 

 

新品ヘッドを取り付けたようす。くれぐれも無理な力を加えないようにします。うまく乗せられたら2本のビスをしめて、基板を元通 りにのせてハンダ付けして完了です。

 

 

 

 

 

ヘッドまでやったのですから、このさいある程度長く使えるようにしてみることにしました。

まず上の基板を外します

 

 

 

 

 

この奥に見える有名な基板...

 

 

 

 

 

 

悪名高い表面 実装電解コンデンサが6個もついている基板が現れました。

このコンデンサが劣化するとハイファイ音声が不調になりますので、そうなる前にやっちゃいましょう。

 

 

 

 

 

基板を外して作業した方がやりやすいので外しました。コンデンサはすべてリード線タイプに交換しました。

 

 

 

 

 

 

次は電源部です。電源部はコンデンサにかかる負担が大きく、リード線タイプでもこの年式になるとボチボチやばいです。

コンデンサチェッカで調べたところ、いくつか怪しいものがありましたので、これらも交換しました。

電源は大切な所ですので、105度規格のものに全交換すると良いでしょう。

 

 

 

次はメカにいきます。

フロントパネルやカセコンを外してメカを取り出します。

 

 

 

 

 

66メカほど壊れませんが、念のためスライドエンコーダーも交換します。

 

 

 

 

 

 

下ドラムのコンデンサもお約束コース。余命あと僅かといったところでした。

 

 

 

 

 

 

その他、定番消耗品を交換します。ブレーキなどはまだ大丈夫でしたので今回は見送りました。

グリスはセラミックをおごってやりました(モリブデンはきらいなので)

スライドエンコーダーも含まれていたんですね。ダブってしまいました(^^;

 

 

 

キットの中身はこんな感じです。

 

 

 

 

 

 

結果

メカ系は快調そのものでGOOD!。画質はこれがなかなか良いです。ノイズもうまく押さえられていてキレイな絵です。デジタル厚化粧もなく個人的には今時のデジタルで誤魔化してるクソVHSなんかよりずっと良いと思います。。安物Sテープで録再チェックしてみましたが、かなりいいです。ヘッド交換によるトラッキングのズレもなく、交換した効果 が目に見えて現れています。ヘッドをポン付けしただけでこれほどの絵が出れば大成功といえるでしょう。メカもなかなかキビキビしていてソコソコ快適です。今時の強烈なデジタル厚化粧もなく素直な映像は見ていて気持ちいいです。若干、ビクターっぽい色付けがありますが、このさい許しちゃいましょう!

 

 

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