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 2001年12月のお嬢(上)


 12月13日

 髪を切った。
 冷たい雨が降る中、傘をさして美容院へ。
 会社の友達は、雨降りの夜に髪を切ろうなんて、変わった奴だと言っていた。
 肩の辺りまであったのが、10pほどのショートカットになった。
 私は当然すっきりしたのだが、店の人が、もっとすっきりした顔をしていた。

 いやー、最近短く切る人いなくってさー、いいねー、真冬に短くしちゃうって!
 もー、なんていうか、仕事したーって感じするわ、こういうの。
 これから、どんどんどんどん短くしていきましょね!
 あー、ほんと、すっきりしたわぁ〜。

 普段から少しオカマっぽい美容師さんが、いつになくはしゃぎ倒していて
 少し気味悪くもあったのだが、出来が気に入ったのでそれもまたよしとする。
 自分で言うのもなんですが、切ろうか切るまいか、ずっと迷っていたのがバカみたいに、
 私の顔には短い髪が合うようで。
 そこで、美容師さんがまた一言。

 っていうかさー、なんか切った感じしないんだよねー。

 いえ、あの、20p以上、切ったと思うんですけど、まだ何か?



 12月9日

 ウイルスうざーーーーーーーーい!!!!

 毎日毎日毎日毎日あちこちから届きやがって、このやろ!このやろ!
 ここをご覧のみなさーん!
 ほら、そこのア・ナ・タ!
 アナタのパソコン、勝手に私にウイルス送ってきてるわよー!
 トップページにある対策HPに行って、とっとと退治しちゃってね!
 んもー、まじ、勘弁して、って感じ。
 こんな弱小HPなのに、そういう時にだけ役だって(?)るわ、うっうっ。
 知人の方には各種手段を使って連絡してるのでほぼ解決しましたが、
 私と面識のない訪問者の皆さん、是非今一度ご確認をお願いしますねー。
 よろぴこ♪



 12月8日

 「愛敬のある、敬愛されるお子さまに」
 まったく、ボキャ貧というか、なんというか、そのまんまやないかい、というコメント。
 中学生じゃないんだから、もうちょっと気の利いたこと言えないかね、総理。
 ま、別に彼に何かを期待しているわけではないので、どうでもいいか。

 小和田雅子さんのファンであった。
 あー神様、一日でイイから私を外務省北米二課の小和田雅子さんにして下さい。
 容姿才能双方がダメだというのなら、せめてどちらか片方でも。
 いや、でも、あの顔で頭がパー、ということはあり得ないから、やっぱり両方だ。
 とまぁ、そんな事を思っていたのである。
 その頃の雅子さんといえば、笑っても笑っていない厳しい眼差しが印象的で、
 当時中学生で、はやりの国際関係学部なんか目指しちゃえ!とか思っていた私は、
 いやーん、働く女たるもの、こうじゃなきゃー!!と熱狂していたものだ。

 そんな雅子さんが、すっかりお母さんの顔になってしまった。
 いや、別に残念とか言うわけではないのだけれど、実に自然で幸せそうなその表情に、
 なんか、どこにでもいる、出産直後のお母さんじゃーん、みたいな感じで妙に納得。
 あまりにも類い希な才能を持った彼女が、普通の幸せを得る唯一の方法がまさに、
 皇室に入ることだったのではないか、と思うのだ。
 教養を深め、公務をこなし、ボランティアめいたことをやり、旅行に出掛け、
 パーティに音楽会にスキーに出掛ける、皇后と並ぶ日本一のスーパー主婦。
 彼女ほどの才能があれば、それくらいの刺激がなければ、生きている甲斐もなかろう。
 警護もしきたりも、うざい事は多々あるだろうが、舅姑もそれなりに優しそうだし、
 子どもの名前も自分たち夫婦で決められたみたいだし、
 むやみやたらに家の格式を重んじる中途半端な家柄の金持ちに嫁ぐよりかは、
 ずっとずっと幸せになったんじゃないか、と思うのはこちらの勝手な想像か。

 ちなみに、この私も、主婦向きだ、と言われることがある。
 「意外と」女らしいだの、「意外と」尽くすタイプだの、「意外と」愛情深いだの、
 まさに意外性の女である(のか?本当に)。
 っていうか、私って「意外と」以外では、どんな風に見られとんねん、という疑問は、
 この際無視する方向で。



 12月7日

 離婚直後の姉さんと、背中に未完の昇龍を飼育中の兄さんと、濃い酒を。
 どちらも私が大好きな人である。
 で、この二人を会わせたらオモロイかなー、という私の企みでご対面。
 別に深い意味は何も無く、ただ、私が楽しみたかっただけ、という意味では、
 まったく二人には楽しい時間を作ってくれて、ありがとう、というより他無い。

 二人は人を本当に好きになったことなど無いかも、という。
 誰かが自分のことを好きだと言ってくれるけど、自分が誰かを好きになることはない、と。
 私など、自分ばかり好きになって、相手の心を最後まで掴めている自信がないから、
 なんだかいつもドタバタドタバタする羽目に陥って、それで自分からその関係を切ってしまう。
 なんと生産性の無い事よ。
 彼らは、それでもやっぱり自分から好きになりたい、と思うのだろうか。
 モテてモテていても、それだけじゃ、やっぱりつまらないのだろうか。満たされない?
 どっちがどうだかなー、と考えながら、ちびりちびりとバーボンを。

 それはそうと、2軒目に着いた直後、激しい胃痛に見舞われうずくまってしまった。
 店主に胃薬を貰い、それから酒を。
 やっぱまずいかなぁ、まずいよなぁ、こういうの。



 12月6日

 知人から苦言提言。
 最近ここがいまいちである、と。
 書きたいこともないままに、ただただ文章が長くダラダラしていると。
 ごもっとも。
 でも、そういうこともあるんです。
 どうやって治すとか、どうやって抜ける、とかわからないので、
 しばらくこの調子です。
 また、気が向いたら来て下さい。



 12月5日

 BONNIE PINKのライブ。
 こういうオールスタンディングのライブに出掛けるのは何を隠そう、生まれて初めて。
 特別好きなミュージシャンがいるわけでもなく、まぁ、CD聞いてりゃいいかー、
 てな感じで、これまでそういう場に足を運んだことがなかったのだ。
 すし詰め状態の会場で早くもこなつさん、バテ気味モード。
 足いたーい、腰いたーい、と散々連れを困らせつつも、結局大満足で帰途につく。
 良い歌はたくさんあって、彼女の歌唱力も文句なしだし、若干楽器の音が大きくて
 彼女の声を殺してしまっていたのだけが不満だったが、それもまた、連れに言わせれば、
 ライブってのは大概こんなモンである、のだそうだから仕方ないか。
 いつか是非、アコースティックライブを。

 しかし、何と言ってもやはり『Heaven's Kitchen』は名曲であった。
 曲が始まった瞬間から、会場はそれはそれは、どこかの宗教儀式のような、
 恍惚の空気に包まれた空間と化し、愛のイニシエーション魂のコラボレーション?
 なんだかよくわからないけど、いい具合にイッちゃってる感じでとても良かった。
 なんというか、ファン層が独特で(と言っても、他の人のライブを知らないのだが)
 どことなーく寂しそうな、悩んでそうな、ウジウジっとしてそうな、そういう若者が多いのが
 印象的であった。
 っていうか、私もその場にいたんですけどね。

 彼女は今NYに暮らしているようで。
 ドリカムもこの数年ずっとNYにいるようで。
 必然的に連れと、NY行きたいねーという話になる。
 テロ直後に聞いた話だと1泊3日で¥29800というツアーが有るんだそうだ。
 今はもう無いかも知れないが、それでもかつてよりはずっと安く行けるはず。
 この3年、毎冬、妹と外国に旅行してきたから、いっちょ今年も!と言いたいところだが、
 私もプー太郎暮らしのツケで借金返済の日々だしなぁ。
 なんか、考えることがちっちゃいなぁ、幅がないなぁ、とくすぶってみたりする。
 それに、NYに行ったからと言ってナニが見える、というわけでもないからなぁ。
 あの街に足を踏み入れるのは、もう少し自分に自信がつくまで、我慢したい気もして。

 なんか、そういう心の奥の隅っこをコチョコチョッとされたようなライブでございました。



 12月3日

 あなたはツキノワグマを知っていますか。

 会社での出来事である。
 お絵かきしりとりをしていた二人がいる。
 「ろうそく」の次に「くま」を描いたSちゃん。
 クマさんのお腹にはドラえもんのポケットが縦になったような大きなお月様が。
 それを見たAちゃん「あークマさんポシェット下げてるー!」。
 そこには「え?ポシェットじゃないよ。ツキノワグマだって」と答えたSちゃんが居た。
 もちろん真顔である。

 これを、アホと思うか、え?そうなの?と思うか。
 そして、その比率はどれくらいのものなのか。
 こなつ家5人家族。正答率60%。
 誤答者その1(祖母82歳):喉ぼとけ下にペンダント大のお月様(縦位置)
 誤答者その2(母54歳):頭上から後頭部にかかる、モヒカン状お月様

 母は初め「絵に描いて」と言った妹に「それは描けんわぁ」と言ったのである。
 おかしいなと思った妹が、だったら何処よ?と聞いたところ、母の手は額に向かった。
 そこで、妹がえ゛っという顔をしたのに気付いた母は、考えながらその手をゆっくりゆっくり、
 上へ上へとずらしていったのだ。そして、モヒカン。
 え?私ってもしかして、アホから生まれた子ですか?

 ちなみにAちゃんの旦那は、Sちゃんと全く同じ、腹に縦型タイプ。
 そして、Sちゃんのお母さんはというと「絵に描いて」というSちゃんに
 「それは描けんわぁ」と言った後、しばらく考え込んで、こう答えたのだそうだ。
 「あーわかったわかった、そうそう、あのやわらかーいアソコ、ほら、『肉球』」。

 まったく、世の中、知らないことが多すぎて、楽しすぎるというもんだ。
 ちなみにSちゃんの母とうちの母が遠い昔にPTAで一緒にやっていた知人だった、
 という事実は、娘同士が互いが信じたくない、驚愕の真実である。



 12月1日

 ウイルス感染のショックがでかい。
 パソコン自体のダメージは大したこと無かったのだが、何より私の精神的ダメージが深い。
 これまで、4年近く付き合ってきた、このパソコンを自分なりに大切にしてきたつもりだが、
 ふと気を抜いた瞬間に、敵にまんまと踏み込まれてしまった。
 自分の不注意で子どもをケガさせてしまった親の気持ちとは、こういうものか。
 実はそろそろ新しいパソコンに乗り換えようかと思っていたのだが、この一件で、
 この子がどうしようもなく、可愛く離れがたい存在に思えてきた。
 新調したウイルスバスターは、この子にはかなりの重荷なようで、起動するのも一苦労。
 それでも、私のわがままな操作に一生懸命付いてこようと、頑張っている。
 ADSLを売っていてこんな事をいうのもなんだが、特に動画のやりとりをするわけでも無し、
 このまましばらくのんびり付き合って行こうかな、と思った。
 とりあえず、なんかイイ名前をつけてやろう、と考えている。

 ある友人も、似たような古いパソコンのユーザーなのだが、
 彼は今度外見はそのままに、中身を自作するのだ、と言っていた。
 いつだったか新聞で、マイクロソフトかどっかが古いパソコンの再生ソフトを出した、
 というコラムを読んだ。
 その時はへー、としか思わなかったのだが、今になってその意味がようやく分かる。
 治すよりもバージョンアップするよりも、新しいのを買った方が安くて便利。
 パソコンには、決して安くもない代物であるにもかかわらず、そんな常識がまかり通る。
 だけどやっぱり、古くさい私にとってはそんなもんではないらしく。
 バカでかいモニタにどっしりした本体、幅も重さも人一倍でケーブルだってごっちゃごちゃ。
 それでも、私はこのパソコンと当分の間、付き合っていくことになるだろう。
 それぐらい、この子をスキだったんだなぁ、と初めて気付いた。

 何はともあれ、皆様、ウイルスには充分にご注意を。