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 2001年12月のお嬢(下)


 12月31日

 とはいうものの、何とか、間に合った。
 慌ただしい一年は、最期の最期まで、慌ただしく過ぎていくのでした。
 そして、これから忘年会。
 あたりめでバーボンをなめ、ピザでバーボンをなめ、鴨でモエ・シャンドン。
 カウントダウンをしようとした店主がラジオをつけると、
 鈴木重子の眠たい声がとぎれたと思った瞬間、
 「あけましておめでとうございます、新春寄席でございます」とな。
 え?年明けた?
 やっぱ、カウントダウンにNHK第2はいかんだろ。
 そういうわけで、今年はカウントダウンをしそびれましたが、
 昨年のような年明けよりはずっとまし、というわけで。
 今年も一年、ごくろうさん。



 12月30日

 レポートもまだ終わっていないと言うのに、昨日は盛大なる忘年会。
 むさぼるように肉を食い、浴びるように数リットルのマッコリをあけ、
 それでも私は酔ってない。
 危機感か、緊張感か、やけっぱちか。
 おいおい、まじで、終わらないぜ、今度のレポートは。。。



 12月29日

 初めて正夢というものを見た。
 あったらいいなぁ、と思っていたことを、その日の朝に夢見たのだが、
 午後になってそれが現実になったと報せが入った。
 私とは直接関係がないといえばない話なのだけど、でも、とてもとても良い報せ。
 信じるってスバラシイ!
 あたしは大きな力をもらったよ。



 12月26日 ドンペリ×キムチを超えるか?

 飛騨牛のステーキをつまみにイワナの骨酒をどんぶりで。
 異議あり?



 12月25日

 金沢出身のハンセン病の元患者で、母校の先輩でもある浅井あいさんに、
 卒業証書が手渡されたニュースがテレビで流れた。
 浅井さんと同い年のうちの婆さんがひとこと。
 「見てんまっし、ほんっとに気持ち悪い顔しとることっ」

 仕方ない。
 仕方ないとは分かっていても、私はやっぱり婆さんを叱りつけてしまった。
 趣味は買い物。洋服など、私よりも遙かに多くの数を持ち、
 遙かに多くの数を買い、そして1、2度袖を通して、飽きたと捨てる。
 体調が悪いと言って、医者の言うことも、家族の言うことも聞かずに、ただただ横になり、
 食欲がない、固い物は食べられないと言ってはいても、
 寿司屋ではトロを4ツと鉄火巻き1本ととフグの握りをペロリと平らげる。
 なんだこれは。
 とにかく、自分のことだけが可愛くて可愛くて仕方のないウチの婆さんは、
 親戚に限らずカリスマ性を持ったキャラであり、時にどうしようもなく憎たらしい、
 それでいて憎めないキャラでもある。
 が、実際の所、結構色々腹が立つ。
 よくもまぁそんな酷いことを口に出来るものだ、その神経がさっぱり知れない、と、
 婆さんに負けず劣らずの醜い言葉で、婆さんを叱りつけてしまった。
 血は争えないのか。

 これって、どうなんだろう。
 やっぱり、未熟者だよなぁ、やっぱり。
 しかし、あの婆さんにどう言えと。どう説明しろと。どう話せと。
 瞼が鉛のように重い。



 12月24日

 ローストチキンで一杯。

 あれ?大晦日締め切りのレポート(7本)が手つかずだ!



 12月23日

 フレンチで一杯。



 12月22日

 寿司屋で一杯。



 12月17日 10年来の夢叶う

 大学受験前に神戸を下調べしていたときからずっとずっと気になっていた店。
 神戸元町『伊藤グリル』。
 本当は昨日の夜も電話を入れたのだが、満席で予約できなかったのだ。
 にっくきルミナリエめ。
 そしてこの日の昼、ついについに、その店に足を踏み入れた。
 おー、なんと品のあるたたずまい。「老舗の洋食屋」とはこの店のためにある言葉。
 私はビーフカツレツ、友人は魚介のブイヤベース風のコースを。
 スープは体が心から温まりそうな優しくて柔らかくて甘い甘い下仁田ネギのポタージュ、
 サラダは寝起きに冷水を浴びたようなパリッパリの野菜に、
 少し酸味の効いた爽やかなドレッシング。
 うーわー。
 今思い出してもよだれ出てくる。美味かった。ホントに美味かった。
 涙出るかと思った。いやー、美味かった、あー、美味かった、美味かった。

 人間、美味いものを食っていると、自然と顔がニヤけるものである。
 しかめっつらして食われている料理に、美味いものなど無い。
 たとえどんなに旨い料理だろうとも、相手、体調、気候、金額、雰囲気などなど、
 とにかく全ての条件が揃っていないときは、人間そんなに笑わないものである。
 しかし逆にその条件が全て揃ったときには、その場に会話は不要になる。
 そういうわけで、私と友人は最小限の会話を交わした以外は、
 ほとんど、ニコニコと飯を食うことに集中した次第である。
 いやぁ、なんとも良い時間を過ごさせていただいた。
 ご苦労さん、というか、おめでとう、私の胃袋。……(以下同文)。
 ありがとう、友よ。

 帰り際に、マネジャーが「夜に来て下されば良かったのに」と言う。
 夕べ予約が間に合わなかったのだ、と言うと、あのお客様でしたか、次回は是非に、と。
 たぶん、次に行くときは、もう、何週間も前から予約を入れることになるだろう。
 そんな気になる店に出逢えて、私は心から嬉しく思う。
 ホントにホントに嬉しく思う。



 12月16日 初めてのアメフト

 こんなん見てきましたー。
 こういうときには、有名大学出ときたかったなー、と心から思います。
 久々に腹の底から面白かった。
 いや、昨日の晩も、腹の底から笑っていたのだが。
 それにしても昼から球場で飲むビールの美味いこと美味いこと。
 泥酔して野次ったり歌ったり怒鳴ったり、どうしようもない関学OBもまた一興。
 それでこそ、関西。
 それでこそ、甲子園。
 夜は韓国料理で、極楽一直線。
 マッコリうめー。
 今日もご苦労さんでした。わたしの胃袋。……(以下同文)。
 ありがとう、皆々さま。



 12月15日 大阪の夜はふけて

 めし食って、飲んで笑って、また飲んで、ラーメン食って、また飲んで。
 ホテルに帰ったら午前4時。
 ご苦労さん。わたしの胃袋。わたしの脳味噌。わたしの肝臓。
 ありがとう。皆々さま。