ROAD TO BLUES NashvilleTennessee

 

ブロードウェイ この街についても思い出はたくさんあるんだけど、なんせフィルムが切れてしまって写真がほとんどないので、簡単に記そう。そのかわり、ロサンゼルスのエピソードを添えようと思う。

 僕がブルースに出会う前は、カントリージェントルマンにあこがれていたんだ。というのも、幼い頃に見た名犬ラッシーとか、大草原の小さな家といった、白人の古きよきアメリカの時代の素朴な風景に憧れていたんだな。まぁそれが一気に黒一色に塗りつぶされてしまったわけだけど、でも、カントリーって好きなんだ。今でも僕の生活に影響しつづけている。そういや大学に入って音楽サークルへ入るときも、カントリー&ウェスタンというサークルにはじめ入ったんだな。そこではハードロックばっかりで、すぐやめて、そのうちキリギリスのメンバーと出会ったんだ。サークル名、変えて欲しいな。まあキリギリスもみんなサークルやめたけどね。

 僕の予想とは裏腹に、ずいぶんとこじんまりしていライマン公会堂た。でもとても歩きやすい街だったし、昔ながらの街並みはとてもきれいだった。Nashvilleといえば、かつてはアメリカ音楽の大部分をこの街でレコーディングしていた街でもあり、ミュージックロウという地域に、レコード会社やスタジオが密集しているんだ。中心地からは徒歩で40分位かな。日本のミュージシャンがここでレコーディングした音楽も数知れない。さっそく行ってみた。

 閑静な小さな丘といった感じで、ちょっと拍子抜けしたところもあったけど、今この瞬間も、世界中に向けての音楽が作られていると思うと、おーい、俺ここにいるよーって叫びたくなった。いつかここでレコーディングしてみたいもんだな。

 雨が降ってきたもんで、マーケットのアーケードでポップコーンとペプシで午後を過ごしながら、カントリー音楽、いわゆるナッシュヴィルサウンドの歴史的な、ライマン公会堂を見学して、夜を待ったんだ。そういえば、ギターショップでギブソンのLG−1はいい音してたな。

ミュージックロウ、チェットアトキンス通り 街じゅうがカントリー&ウェスタンしていた。その夜、いくつかのクラブへ出向いたんだけど、ブルースクラブも何軒かあったけど、スティールギターとバイオリンの音に誘われて、「TOOTSIES」というカントリークラブに行ったんだ。店の客は、けっこう地元の人が多くて、ウェスタンブーツ、ウェスタンシャツ、テンガロンハット…ホントにそうなんだ、と思った。まさに映画に出てくるような感じで、みんな馬に乗ってきたんじゃないかと思うほどだったな。白人特有のキザな振る舞いやジョークも飛び交っていた。そこの、バイオリン弾き(フィドル)がすばらしくて、(若くてとても美人な女の子だったせいもあるけど)僕の視線はくぎ付けだったな。ずっとそのクラブでショーを見ていたもんだから、ボーカルの女の子も、帰り際、僕に軽く挨拶してくれた。

 その後、もう一軒行ったら、ちょっと頭のおかしい白人がまとわりついてきて、ちょっといやな気持ちになったな。まあ終始無視して、しまいには「うせろ!」と言ってやった。まったく酔った白人(一部の白人)はハングリーな黒人の数倍タチが悪い。でもこの頃からだろうか、夜のブロードウェイ僕は"アメリカに来た日本人"というよりは、"一人の人間"として、「自分を出せる」ようになっている自分を自覚したんだな。平たく言えば図太くなった、という事か…。

 

 でも、カントリーミュージックはやっぱりよかったなぁ。ブルーズが黒人のワークソング(労働歌)ならカントリーは白人のそれだな。日本人は全く得だ。

 

 

グランドオールオープリー、ホールオブフェイム、RCAスタジオ、「Nashville」。
ジャックダニエル、カウボーイ、ショーボート、ブルーグラス、「Nashville」。
ハンクウィリアムス、マーティロビンス、ガースブルックス、アイリーン、ロンサムボーイ、「Nashville」。
テネシーワルツ、「Nashville」
―バイバイ「Nashville」

 

 

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