東慶寺1998.2.16

友人の蘭子さんと一緒に、北鎌倉の東慶寺(縁切り寺)に行ってきました(^^)近いのでつい行ってしまいます(^^; 暦のうえではもう春だけど、まだまだ冷たい風が吹く名のみの春。おまけに前日は「春嵐」というのでしょうか。関東は雪でした(^^;;。(すぐに溶けましたけど)そのためか、気温が上がりません。前回訪れたときに、こっそりと願懸けをした梅が、どれくらい咲いているのか確かめたかったのが、今回の北鎌倉行きの理由です。「東慶寺」の梅はまだ5分咲きでした。花を楽しむには少し頼りなく、春の息吹きを感じるにはちょうどよい、と感じました。私の好きな白梅が、鈍色の空には少し淋しげでした。

東慶寺にきたら必ずお参りするのが、後醍醐天皇用堂尼の墓所です。参道を進んで山の入り口(墓地の入り口)とおぼしき所の右手に階段があります。その階段を上ると、そこは霊気をピーンと感じる場所です。 そばに覚山尼、天秀尼の墓もあり、この一角は東慶寺に来たらぜひ訪ねていただきたいと思います。
三脚にカメラを構えたアマチュアカメラマン(なぜかおばちゃんが多い(笑))や 観光バスでやってきた団体さん(やっぱりおばちゃんが多い(笑))で少しにぎやか、そんなことでも春を実感しました。そして、冬眠から醒めたのでしょうか。「りすにエサをあげないでください」とまだ芽吹いていない桜の木に、張り紙がしてありました(^^)。残念ながら、りすの姿は見られなかったけれど。

冬の日に見た黄色い蝋梅の花はすっかり枯れていましたが、代りに金縷梅(まんさく)と山茱萸(さんしゅゆ)が、黄色い小花をつけていました。山はすっかり冬枯れで、雪催いの空が私の心を連れ去ろうとしてします。

春寒の鈍色の空に咲く白梅の花
あえかに匂ひて心なぐさむる
はだれの雪に吹く風は
いと冷たくも春遠からじ

それから、鎌倉街道を徒歩で鎌倉駅方向へ。小町通りにある古い小さなレストラン「ミルクホール」の薄暗い店内に小さく流れる静かなJAZZ、軋む床、古びた白い薬品棚、壊れたラヂオ、夢二の描いた女性の絵、懐かしいだるまストーブ、ふちの欠けた姿見、時の流れを拒むように止まったままの柱時計に、しばし現実の我が身を忘れて大正ロマンに陶酔してしまいました。

金縷梅の花咲きければ恋ふる日のけ長くなりぬ君に逢はずして

闇夜にはあえかに匂う白梅を挿頭し(かざし)にさして君をし待たむ

抱き合えぬ人を恋ふれば萌えいづる梅花となりて飛んでいきたし



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