鎌 倉 紹 介
北鎌倉
東慶寺
「縁切り寺」「駆け込み寺」という名で親しまれている禅宗寺院。
女性がこのお寺の山門に一歩でも足を踏み入れると、夫も権力者も手を出すことができないという「縁切り寺法」という独自の寺法を許されていた。
かつて離縁は夫の側からしかできなかったが、ここで3年間修行を積むことで、女性も夫と縁を切ることができたという。1285(弘安8)年、北条時宗夫人だった覚山尼が開祖となり創建。夫の横暴や、姑の嫁いびりなどで苦しむ女性を救済しようと縁切り寺法を定めたのが「縁切り寺」の始まりと伝えられている。
その後、後醍醐天皇の皇女用堂尼、豊臣秀頼の娘で徳川家康の側室だった天秀尼など、代々名尼とよばれる女性が住職を務めたことでも有名。
江戸時代には縁切り寺法も整備され、多くの女性の救いの場となった。
現在は普通の禅寺となっている。花が美しいお寺としても有名。西田幾太郎、和辻哲郎、小林秀雄などの墓もあり、訪れる人が絶えない。
鎌倉市山ノ内1367 TEL0467-22-1663 開門8:30〜17:00(冬期〜16:30) 拝観料100円
円覚寺
1282(弘安5)年、北条時宗が宋から高僧の誉れ高い無学祖元(むがくそげん)を招き、元寇で戦死した両軍兵士を弔うために建立した臨済宗円覚寺派の総本山。
鎌倉五山の第2位の寺院。
寺名は建立工事のときに「円覚経」という経典が入った石櫃が発見されたことにちなんでいる。
国宝になっている舎利殿をはじめ、鎌倉禅文化の精髄を集めたような貴重な建築物が数多く残され、さまざまな寺宝が保管されている。
現在、寺内には17の塔頭(たっちゅう)があるが、最盛期には40以上の塔頭があった。
毎年11月の「宝物風入れ」には寺宝が一般に公開され、普段は入れない塔頭のいくつかも公開される。
鎌倉市山ノ内409 TEL0467-22-0478 開門8:00〜17:00(冬期〜16:00) 拝観料200円
明月院
「あじさい寺」としてあまりにも有名。6〜7月は花見客で参道がいっぱいに。
ここにはかつて鎌倉幕府8代執権、北条時宗が建立した禅興寺というお寺があったが、現在は明月院のみが残されている。
梅雨時のあじさい以外にも、5代執権北条時頼の墓や、室町時代の関東管領上杉憲方の墓である鎌倉最大規模の「やぐら」(鎌倉特有の洞窟のような墓)、さらには本堂(紫陽殿)横にあり、今も使われている「鎌倉十井」のひとつ「瓶の井」など、みどころはたくさんある。
鎌倉市山ノ内189 TEL0467-24-3437 開門9:00〜16:30(6月7:30〜17:00) 拝観料200円
葉 祥明美術館
明月院に向かう途中、緑の中に突然現れるレンガ造りの美術館。
絵本作家として知られる葉 祥明氏の水彩画や絵本原画など、約100点を展示しているところだ。イギリスの家庭をイメージしてレイアウトしたという館内は、葉 祥明氏の絵の雰囲気にぴったりの穏やかな空間が広がっている。絵や絵本を見ながらソファでのんびり過ごすスペースもある。
オリジナルポストカード(1枚150円)をはじめ、各種グッズも販売している。
美術館というと重々しい空間をイメージしがちだが、鎌倉散策の途中、気楽に立ち寄れる美術館として、隠れた人気スポットになっている。
鎌倉市山ノ内318-4 TEL0467-24-4860 開門10:00〜17:00 無休 入館料600円
鎌倉
鶴岡八幡宮
もともとは鎌倉にあったものではなく、1063(康平6)年、源頼義が奥州の戦乱前九年の役を鎮めた際に戦勝を記念し、京都石清水八幡宮を勧請して材木座の近くの鶴岡の地に八幡宮を建立したのがはじまりと言われる。
その後1180(治承4)年、鎌倉を本拠地に定めた源頼朝が現在地に移した。このときの社殿が現在の若宮にあたる。さらに1191(建久2)年、火災で焼失したため新たに社殿を修築し、改めて源氏の守護神を祀る宮とし、これが現在の鶴岡八幡宮になっている。
鎌倉幕府滅亡後も足利、豊臣、徳川と武家政権が武運の神様として手厚く保護し、現在に至っている。
約8万5000uの広大な敷地はすべて国の史跡に指定されている。
鎌倉市雪ノ下2-1-31 TEL0467-22-0315 拝観自由
鎌倉十井(じゅっせい)
極楽寺切り通し近くに「星月夜の井」とよばれる井戸がある。このあたりは昔、山深いため昼間でも暗かったそうだが、この井戸にはいつも星が映って明るかったという。ところがある日、村人が水をくむ際に、うっかり井戸に包丁を落としてから星が輝かなくなった。そんな逸話が残る井戸だ。
鎌倉には「鎌倉十井」と呼ばれる井戸があって、中から鉄の観音様が掘り出されたという鉄の井(雪の下)、弘法大師が掘ったと伝えられる棟立の井(覚園寺)というように、それぞれ言い伝えが残されている。
鎌倉十井にはこのほかに、瓶の井(明月院)、甘露の井(上智寺門前)、扇の井(扇ケ谷)、泉の井(泉水ケ谷)、底脱の井(海蔵寺門前)、銚子の井(長勝寺前)、六角の井(飯島崎)がある。