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絵描きの植田さん |
いしいしんじ(著)/ 植田真(絵) |
その瞬間、世界が色つきになった。
植田真の絵が彩る、いしいしんじの書き下ろし小説。
雪を踏みしめていきながら、植田さんはひとりごちた。
自分は絵描きだ。
一本のか細い筆なんだ。
この白い森にあの子を見いだすまで、
どこまでだって歩きつづけてやる。
(帯より) |
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この本のことを知ったのは、インターネットで紹介されてるのを 見てのことでした。 タイトルのとおり、絵描きの植田さんの物語です。 絵描きの植田さんは、事故で聴力を失い、 そのほかにも大切なものを失って、ひとり湖畔の村に 引っ越してきました。そこで出会った人たちや 自然との触れ合いを通して…、というお話です。
最初に書いたことと矛盾しますが、 これは絵描きの植田さんだけの物語ではありません。 村で知り合った10歳の女の子の物語でもあります。 この子の純粋さに、一体どれだけの人々が救われたんでしょう。 それぐらいに懐の深い女の子なんです。 白い雪に埋もれた村に、真っ白な心を持ったオトナ(植田さん)と コドモ(女の子)が共鳴しあっていく。
なんか、感動した!
女の子の純粋さに感動した。 植田さんの感受性に感動した。 山男たちの包容力に感動した。 村に住む人たちの暖かさに感動した。 そして、なにより、植田さんの描く絵に感動した!
あの絵の不思議さを、どうやって書き表したらいいんだろう? あの絵の不思議な空間を、どう言い換えればいいんだろう? なんかね、すごくガラ〜ンとしてるんだけど、 寂しい感じではないんだよね。 逆に、見てると安心できるんです。 今にも絵の中の人や動物や植物が動き出しそうな、 そんな気さえしてくる絵なんですよ。 奈良美智さんに通じる絵かもしれません。
興味のある方はぜひ見てみてください。 |
posted on 2004.04.21 |
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