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トゥルー・ストーリーズ |
ポール・オースター(著)/柴田元幸(訳) |
一文無しの日々から、9・11まで。
小説以上に面白く、感動的な、自伝的エッセイ。
これらはすべて本当の話 ----
(帯より抜粋) |
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わたくしの好きなアメリカ人作家、ポール・オースターの新刊は
エッセイ集でした。(まだ日本でしか発行されていないらしい!)
タイトルが「ほんとの話」ということで、
彼や彼の知り合いが遭遇した、ウソのようなホントの偶然話や
彼が有名になる前の、どん底だった頃の話、
そして、その他にも小話が並んだ一冊になっています。
最後には9・11直後のニューヨークの話もあります。
実体験なだけに、ニュースとは違った重みがあります。
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たとえば、
「高校生で小説を書いて、なんとなく賞に応募してみたら
一等賞になっちゃって、本も売れちゃって、
ふと気づいてみたら芥川賞まで獲っちゃった」という感じの
綿矢りささんのようなシンデレラ・ストーリーも
現実にあるわけですが、才能のある人がみんな
そんなトントン拍子に認められていくとは限らないことを、
改めて知らされた気分です。
ポール・オースターですら、こうなんだ!
と思っちゃった。
バカバカしいほどまでに(経済的に)奈落の底へと落ちていく
その姿が壮絶で、なんとなくわかる部分と
想像はできるけど"できれば体験したくないなぁ…"と
思ってしまう部分の、両方がありましたねぇ。
でも、それもある意味仕方のないことです。
彼は「フツーのサラリーマン」になろうとは
(最初から)思ってなかったから。
"生き延びること"と"言葉を書くこと"以外のために
働こうとは思っていなかったみたいだしね。
最終的には「どこまで自分(の才能)を信じられるか」!
この信念の強さがモノをいったんでしょう。たぶん。
一般的に「天才」と言われる人たちって、
こういう「信念の強さ」を持ってるからこそ
「天才」になれたんでしょう。
この「その日暮らし」という題名のエッセイを読んで、そう思いました。 |
posted on 2004.04.06 |
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