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No.161 南蔵王 |
白石スキー場を運営しているNPO法人の不忘アザレアの登山イベントを利用して、刈田峠〜屏風岳(1817m)〜不忘山(1705m)の南蔵王を歩きました。不忘山までは紅葉を愛でながらの楽しい山歩きだったのですが、不忘山から白石スキー場までの下山路に手こずりました。 日時 2012年(平成24年)10月9日(火) 天候 晴一時曇 同行 なし 所要時間 刈田峠(7.30) ←1時間15分→ (8.45)杉ヶ峰(8.50) ←20分→ (9.10)芝草平(9.15) ←55分→ (10.10)屏風岳(10.20) ←40分→ (11.00)南屏風岳(11.05) ←45分→ (11.50)不忘山で昼食(12.40) ←1時間5分→ (13.45)弘法清水(13.50) ←1時間→ (14.50)白石女子高山小屋跡(14.50) ←20分→ (15.10)白石スキー場駐車場 山行概要
南蔵王登山口と記した導標が立っている登山道へ入ると、道は下り坂です。下り始めるとすぐ刈田峠避難小屋と記した導標が登山道の左側に立っており、導標の矢印の方向に道が延びています。どんな避難小屋かと、この道を少し入ってみたのですが、避難小屋は近くになさそうなので、すぐ引き返し、先へ進みました。道はフラットになり、やがて登りが始まります。国土地理院の地形図には、この鞍部に刈田峠、との記載がありますが、これを示すような導標・標識はありません。鞍部を過ぎて始まった登りは緩いのですが、それでも徐々に高度が上がり、振り向くと刈田岳が眺められるようになります。ひとしきり登ったところで前山に到着しました。ここは進行方向の右側、つまり西側が開けており、正面はるか向うに飯豊連峰が眺められます。右に目を転じると霞の上に黒く頭を出している朝日連峰も眺められました。月山も見えると言われていたのですが、これは分かりませんでした。 目の前の景色を眺めながら前山で一息入れた後、次のピークの杉ヶ峰を目指しました。杉ヶ峰までの登りも緩やかで、しかも視界が開けているので、気持ちよく歩けます。杉ヶ峰の頂上に着いた時は、「もう頂上?」、というような感じでした。頂上は昨晩降りた霜が融けて水光しています。ここからは刈田岳や御釜の壁が一望できます。しばらくこの眺めを楽しみました。杉ヶ峰を後にするとすぐ、眼下に芝草平の一端が見えてきます。その向うに屏風岳の山すそが黒く見えますが、山頂は雲がかかっていて見えません。この辺りから、空の様子が少し気になりだしました。 杉ヶ峰を下ると木道が始まり、小さな湿原が右手に現われますが、道はすぐ樹林の中へ入ります。芝草平はこんなものかと思っていると、再び湿原に出ました。ここには木道沿いに休憩用のベンチも設置されています。ここが芝草平の中心かと思っていると、ここから5分も歩くか歩かないうちに更に大きな休憩所が現われ、芝草平と表示された標識が立てられていました。ここには短い距離ですが、芝草平の中へ向う木道の分岐もあります。ここが芝草平の中心部のようです。 ![]() この導標を見てなんとなくホッとした気持ちになり、ここで一休みしました。ここで休んでいる時、後から来た男性二人組みのパーティーと女性のソロに追い越されました。この2つのパーティーはこの後南屏風岳を登っている時すれ違いましたので、南屏風岳で引き返したようです。屏風岳からは最初緩い下りをを歩きますが、この辺りから周りにガスが立ち込めだしました。ガスの中を少し歩いたところで、導標が目に入りました。水引入道への分岐です。この後更に緩い下りが続き、やがて登りに変って、登りきったところが南屏風岳の頂上でした。周りは雲が湧いていて、景色は眺められません。私が着いた時、先着していた登山者が一人休んでいましたが、私が着くとまもなく刈田岳の方へ下って行きました。陽射しがなく、雲が湧いて周りの視界が殆どない山頂は物寂しさを感じます。私一人になると、早々に頂上を後にしました。 南屏風岳の頂上を出るとすぐ目の前にピークが二つ現れ、道はその先へ延びています。このピークを越えたところでガレ場が始まりました。固定鎖や固定ロープを頼りにして下り、下りきると目の前に急な登りが現れました。上の方は雲の中で見えません。不忘山の登りです。下から頂上までの高低差は50mほどですが、この日一番のきつい登りで、時には両手を使いたくなります。しかし、この登りもこれまで同様、以外にあっけなく終り、目の前の壁がなくなると、少し先に不忘山の頂上が現れました。頂上には何人か人がいるようです。 不忘山の頂上に着いてみると男女4人組のパーティーが昼食の準備中でした。20台後半から30台前半の若い人達のパーティーで、私がこれから向う白石スキー場から登ってきたようです。取敢えず何枚か写真を写し、私も山頂の一角で昼食の準備を始めました。山では実に久しぶりに空腹感があったので、湯を沸かしてカップうどんの昼食を取りました。うどんの後、更にココアを作り、味を楽しみました。このところ、山歩きでは食欲不振が続き、食事は楽しむというより、薬を飲む積りで無理やり口に押し込むことが多かったので、味が分かる昼食は久しぶりでした。しかもこの昼食の最中に、それまで辺りを覆っていた雲が切れて、周りの景色が見えるようになりました。隣の4人組のパーティーは、昼食をそっちのけで、大喜びをして写真を写しています。私も、釣られるように昼食の準備を中断して、周りの景色を楽しみました。 1時間ほどのんびりして昼食を取ったので下山です。不忘山の頂上を後にすると、不忘の碑までは一歩きです。ここには導標が立っており、真っ直ぐ進むと硯石、左折すると白石スキー場へ向います。導標を慎重に確認して白石スキー場へ向う道を進みました。道はすぐダケカンバの林の中に入ります。下りは緩やかですが、横倒しの木が邪魔をして、歩き易いとはいえません。ダケカンバの林はすぐ終り、道が徐々に湿ってきて滑りやすくなりました。そのうちに登山道は沢床のような状態になり、水溜りがあちこちに現われ、泥田の中を頻繁に歩くようになりました。滑りやすいことこの上ない道で、滑って転べば最低限間違いなく泥まみれになります。小川山の足の骨折のことがあるので滑らないように慎重に歩きました。いい加減歩いたところで、道の右側に休憩用のベンチが現われ、弘法清水と書かれた導標が立っています。ここで一息入れました。 不忘山を出てから既に1時間ほど歩いており、目標とした白石女子高の山小屋跡までは、あと僅かだろうと思いながGPSで位置を確認してびっくりです。標高は1340mほどで、白石女子高の山小屋跡まで、距離にしてまだ1/3ほどしか歩いていません。少し急がなければと、立ち上がりました。しかし、登山道には水が流れるようになり、更に滑りやすくなりました。汗だくになって、アザレア平、ユキトリ沢と過ぎ、白石女子高の山小屋跡に着いた時は、ヤレヤレと思いました。ここは白石スキー場に隣接していて、朝車を置いたスキー場の駐車場までスキー場の中を歩きます。車を止めている駐車場に着いて、不忘アザレアに下山した旨の連絡をして、今日宿泊する福島市のホテルへ向いました。 今回歩いた刈田峠〜白石スキー場の間のうち、刈田峠から不忘の碑の間はガツガツした登りや下りがないので、体力にさほど自信がなくても、比較的ゆとりを持って歩けます。更に視界が開けているところが多いので、私のように体力が落ちてきている中高年者(高齢者?)でも、楽しく歩くことができました。道もしっかりしていて、これという所には必ず導標が立っており、よほどのことがない限り、道に迷うことは、ありません。今回てこずった、不忘の碑〜白河女子高小屋跡の下山路も、不忘アザレアの人の話によれば、数年後に新しいルートが作られるようです。 この日山中では、十数名の登山者と出会いました。昨日登った磐梯山は、人、人、人だったので、比べ物にならない少ない人数です。人が多すぎると落ちつけませんし、かと言って、山中で人と全く会わないと寂しさが募ります。ほどほどの人数だったと思っています。 NPO法人不忘アザレアの登山イベントについて 白石スキー場のホーページに以下の記事があったので、不忘アザレアに電話をして、白石スキー場から刈田峠まで車で送ってもらいました。この記事を見つけるまでは、刈田峠〜不忘山の往復を考えていましたが、この登山イベントを利用したので、ゆとりのある山歩きをすることができました。なお、登山イベントの最低人数は3名とありますが、1人でも所定の料金を払えば、イベントに参加できます。因みに、今回の参加者は私一人でした。 |
無料送迎付き!登山イベント企画中 気軽に登山を体験してみませんか?白石スキー場では、無料送迎付きで登山イベントを開催しております。 ◇基本コース:刈田峠〜杉が峰〜屏風〜不忘山〜白石スキー場 ◇最低人数:3名 ◇参加費:\2,500〜 (お一人目の方は2,500円・お二人目からは1,000円) 例えば4名様でのご参加であれば、2,500+1,000+1,000+1,000=5,500円となります。 天候・行程などにより参加料が変わる場合がございます。 内容・日程等詳細については、白石スキー場までご連絡ください NPO法人不忘アザレア |
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南蔵王登山口 蔵王エコーラインの道路沿いにあり、ここに立っている導標には、南蔵王登山口、杉ヶ峰〜硯石11.5kmの表示がある 今回は蔵王エコーラインを遠刈田から登ってきたが、この登山口近くに、駐車スペースが4〜5台程度の小さな駐車場が複数あった しかしこれら総てをトータルしても、車の収容能力は極めて小さい |
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登山道入口付近 登山口を入ると最初は下る 前方に見えるピークは前山 この辺りは木道もあるが、ない所はぬかるみが多い |
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![]() 南蔵王登山口を入って少し下ると、道の左側に立っていて、その先に道が伸びていた 避難小屋はここから少し離れているようで、確認しなかった 前山の登りでそれと思われる小屋が遠望できる(写真右) |
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前山 南蔵王登山口を入って最初のピークがこの前山 この日は、飯豊連峰や朝日連峰を見ることができた |
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杉ヶ峰 前山を過ぎると前方にその姿を現わした 頂上まで緩やかな登りが続いている 山肌の紅葉は、まだ日が当っていないためか、鮮やかさがイマイチだった |
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杉ヶ峰頂上 着いた時は下が融けて一面に薄く水が張っていた ここからは、刈田岳や蔵王のお釜の壁が良く見える |
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芝草平の遠望 杉ヶ峰の頂上を過ぎると芝草平の一端を眺められる 芝草平の先にある屏風岳は雲に包まれていた この頃から空の雲が次第に増えてきた |
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![]() 草紅葉の状態で、花は見かけなかった 樹木があちこちに散在しているので、はるか先まで見通せるということはない 杉ヶ峰を下りきったところから屏風岳の登り口まで木道が敷かれていて、右の写真のような休憩所が2ヶ所設けられている |
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芝草平と杉ヶ峰 屏風岳の登りの途中で振り返ると箱庭のような芝草平とその向うに杉ヶ峰が眺められた この写真では分からないが、今歩いてきた道が縫うように芝草平から杉ヶ峰の頂上に向って延びていた 今回の山行で最も印象に残った景色の一つ |
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烏帽子岳への分岐 導標には烏帽子岳、倉石・秋山沢コース、芝草平0.4km、屏風岳0.6kmなどの表示がある |
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屏風岳頂上 標高1825mではなく1817.1mの低い方のピークに屏風岳を示す導標が立っていた ここには休憩用のベンチが設置されている この日は、ここから下り始めるとガスで日射しが閉ざされ、不忘山までガスの中を歩いた |
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水引入道コース分岐 屏風岳から緩い下りを下ってきたら登山道の左側に立っていた 導標には白石スキー場7.8km、屏風岳0.4km、南屏風岳1.1kmと表示されていた |
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南屏風岳への登り 屏風岳からダラダラ下ってきて、再びダラダラ登る 紅葉の中を歩いたが、周りはガスに蔽われて、日射しがないため見事な紅葉とは言えなかった |
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南屏風岳頂上 晴れていれば気持の良さそうな所だが、この日はガスの中で、寂しい感じが強かった 写真の導標には、屏風岳1.5km、不忘山1.5kmの表示があるので、屏風岳と不忘山の真中に位置していることになる |
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不忘山への下り 南屏風岳の頂上を後にすると、前方にピークが2つ現われた 不忘山は写真右側のピークを右から左へ乗り越えた先にある |
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ガレ場 上の写真のピークを乗り越えたところから始まる 刈田峠から歩いてきて、この日初めての本格的な下りだが、固定鎖や固定ロープが張ってあり、特に緊張するようなところでは無かった |
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不忘山の登り 上の写真のガレ場を下ってくると、今度は急な登りが始まる ガスの中を登ったので上方が見えず、思ったより簡単に登りきった 国土地理院の地形図では標高差は50mほど |
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不忘山頂上 頂上は岩が積み重なっていて、これまで歩いてきた杉ヶ峰や屏風岳の頂上とは趣が異なる 上山市辺りと思われる盆地が遠くに望まれる この日ここで昼食を取っていたのは私を含めて3パーティー、7人だった |
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不忘山から見た南屏風岳 昼食中に僅かの時間だが雲が切れて、不忘山の頂上から周りを一望できた ラッキー、と思わず顔がほころんだ |
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![]() ここに白石スキー場への分岐がある 不忘山から下ってきて、ここを真っ直ぐ進むと硯石、左折すると白石スキー場 不忘山から下ってくると登山道の傍らに季節はずれのハクサンイチゲが咲いていた |
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![]() 白石スキー場へ下る道は不忘の碑から落葉樹林の中へ続いている 硯石へは写真右のカエル岩の脇を進む |
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ダケカンバ 不忘の碑で南蔵王の縦走路から分かれるとすぐ紅葉の始まったダケカンバの林に入る 不忘山から下って来てここまでは、ルンルン気分で歩けるが、これから先が大変 |
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![]() 標高1330mほどのところにあり、休憩用のベンチがある ベンチと反対側に湧き水(右の写真)があり、これが弘法清水らしい 導標には白石スキー場に至る2.7km、不忘山に至る1.5kmの表示がある 登山道にはここから更に水が多くなり、滑りやすくなる |
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登山道 上の写真の弘法清水から少し下った場所で、下から上方を写している 登山道は水でえぐられており、沢の中を歩く感じになる 粘土質の土が露出していて滑り易いことこのうえない |
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アザレア平 ここで道が平坦になったので、もう滑りやすい道は終わったかと思ったら、この後も悪路が続き、この後白石女子高山小屋跡まで30分近く歩いた 明るい感じで、時間があれば休むのに丁度良い |
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白石女子高山小屋跡 廃屋が残っていると思っていたが、すっかり整理されて更地になっていた 白石女子高山小屋跡地と表示した看板が立てられていた 白石スキー場と隣接しており、ここから車を止めたロッジまで、スキー場の中を歩いた |