8月11日 晴れ

今日はこの縦走最後のピークにして最終目的地である杁差岳に登ってから足の松尾根を下山する。17:30頃に中条駅を出る特急に乗れば、その日のうちに帰宅できる。下山口の奥胎内ヒュッテで入浴したりする時間を考慮すると、15時までにはヒュッテに到着していたいところだ。もし遅くなっても、ヒュッテに泊まるかテント場を利用することができるだろう。
5:19 出発(1590m, 22.4℃)

大石山への道も花がたくさん咲いていた。マツムシソウやアザミなど、秋の花が多かった。
5:54 大石山(1535m, 24.1℃)

ここにザックをデポして杁差岳へ向かう。サブザックに水などを詰め込んでいると、頼母木小屋に泊まっていた人たちが2パーティやってきて、杁差岳を目指していった。
6:41 鉾立峰(1570m, 31.1℃)

展望は申し分ない。目の前の杁差岳が大きくて立派だった。昨日ガスの中をひたすら歩いた稜線がよく見えた。ああ、この晴天の中を歩きたかった・・・
7:20 杁差岳(1645m, 35.3℃)


山頂直下・小屋周辺の花畑では、ニッコウキスゲはすでに終わりマツムシソウが咲いていた。ここはハクサンイチゲやニッコウキスゲが斜面一面を埋めることで有名だが、マツムシソウはまだ咲きはじめだからかそれとも花の性格なのか、わーっと一面、という感じではなかった。ハクサンシャジンやらタカネナデシコといった花が入り乱れて咲いている。
花はまあまあだったが展望は最高で、朝日連峰もよく見えたし、一昨日登った飯豊本山もきれいに見えた。しかし大日岳は門内岳の影に入って見えないようだ。歩いてきた山並みを見ても、一番長かった中核部がガスの印象しかないため、「ホントにあそこ歩いたのかな」という感じだ。
8:09 杁差岳発(1595m, 29.0℃)


8:41 鉾立峰(1555m, 28.0℃)

9:20 大石山着(1545m, 29.4℃)

大石山には、朝一番で足の松尾根を登ってきた人が休んでいた。ふと気になって尾根の途中の水場のようすを聞くと、登山道からかなり下らなければならないという。この人は地元の人で、いつも足の松を登るときは水は下から担いでくるという話だった。我々の残りの水は2リットルほどと、ウィダーインゼリーくらい。途中で補給できるからとたかをくくっていたので、ちょっと心配になってきた。後悔しても始まらないので、とりあえず下ってみて水場に着いてから考えることにする。また、道は乾いていて特に問題になるようなところはないということだった。
パッキングを直しているとじりじりと暑くなってきた。
9:49 下山開始(1565m, 34.2℃)


標高1400mあたりからようやく樹林帯となり、木陰で少し涼めるようになってきた。するとササはなくなったが今度はザレて滑りやすい道が続く。それから木の根の階段が登場。なんか斜度がとんでもない感じになっている。こんな急坂見たことない。そして木の根は足の置き場に神経を使う(濡れてなくてよかった)。もう泣きたくなってきた。
10:47 水場(1110m, 31.7℃)


11:33 滝見場


11:53 岩場

12:36 姫子の峰


13:31 足の松尾根登山口着(540m, 33.6℃)

わずかな日陰にザックをおろしてしばし休憩してから林道を奥胎内ヒュッテに向かう。まだ苦行は続く。
14:27 奥胎内ヒュッテ着(455m, 38.0℃)
林道は、完璧にアスファルト舗装されたダム建設用の道を途中で合わせたあたりから日陰がほとんどなくなって、灼熱地獄と化した。工事用車両がひっきりなしに行き交い、暑さとやりきれなさは最高潮に達した。30分ほど歩いたところでザックをおろし、水筒に最後に残った水を飲んでからまた歩きだす。かなり参ってきて、もうどうにかなっちゃうんじゃないかと思いはじめたところでようやくヒュッテに着いた。足の松登山口から約40分だった。プロトレックの温度が体温を越えているのを初めて見た。飯豊をあとに
16時に迎えに来てもらうようタクシーを予約してからヒュッテの風呂に入った。干からびたまま入って脱水症状になってしまうといけないので、まずはペットボトルのお茶を買って飲んでから入った。山から下りて風呂に入るといつも充実感を感じるが、このときのそれは今まで味わったことのないほどのものだった。それくらい厳しい下りだった。風呂からあがり、冷房のきいた涼しいロビーでコーヒーを飲んでタクシーを待っている時間は、あまりに気持ちよくて眠ってしまいそうだった。タクシーは羽越線の中条駅まで45分、8000円。駅についても次の電車が40分来ないので、冷房のきいたいささか涼しすぎる待合室で残りの行動食をたいらげた。その後、特急いなほ・新幹線ときと乗り継いで帰った。新潟の駅弁「まさかいくらなんでも寿司」はます・さけ・かに・いくらの押し寿司で、まさに味の宝石箱だった。容器の蓋のつまみなど、細かいところに気が利いているのもいい。こういうところはまっさきにコストダウンの対象となるだろう。最近やたらと食品表示偽装が多いが、こういう儲けのあがらないところで地道にがんばっている会社もあるのだなあと、(山行直後にありがちな)感傷にふけった。
高崎から先で3箇所くらい花火大会があった。家には22時すぎには着いた。朝にはあれだけ深い山にいたのに、その日のうちに帰宅できるのが凄いと思った。