Top浮世絵文献資料館浮世絵師総覧
 
見世編大田南畝(四方赤良・蜀山人)の詩・狂歌 〔見世編〕大田南畝関係
(遊郭・芝居・商家・料亭等)
【り】※◯は欠字、◎は表示不能文字
店名(屋号)詞書・詩歌出典巻・頁年月日
りょうてい
料亭 (日本橋)
「遊侠屈に飲す 日本橋東酒肉林 結交遊侠窟中深 傲然笑煮揚州鶴 焼却佳人緑綺琴」南畝集18
漢詩番号3583
⑤227文化9年
1812/01/
りゅうかえん
柳花苑
「春雨に柳花苑【新橋の酒家】に宴す
 躋寿館前楊柳枝 春風吹雨颭青旗 杜康所造忘憂物 正是神農竟不知」
「又 午衝風雨入旗亭 節近晴明気杳冥 美景良辰何足羨 平陽第一得娉婷」〈娉婷は美女。芸者お勝〉
南畝集19
漢詩番号3991
⑤346文化12年
1815/02/
「春雨、柳花苑に宴す、狂歌并びに序
 柳花苑は躋寿館の南にあり。かの千草万木をなめて、五昧八珍をあぢはひ給ひし神の御徳にあやかり、こゝに高どのく出居をまうけて、いづ喜とよべる旗亭あり。春は青柳のいとかけ鯛に、なびくみどりのみだれ酒をくみ、夏は嵆康が柳かげに鰹のさしみの庖丁を鍛ひ、秋は一葉のちり蓮花にはつたけのうす葛をすくひ、冬籠の茶碗むしに鳥の子の十づゝ十も、雪をれのなき枝をかさねてまとゐするもの日々にたえず。まづ落付の吸物に赤みそをあげて、上がたの白味噌をわらひ、すまし汁の塩梅をちよっと一口すいぜんじのり地になりてのみ過ず。瓊筵をひらきて花にうかれ、羽觴を飛して月の夜も雨のふる日も一しほゆかしと、桃李園の序の声色をつかひて、柳花園の記とするもおかし。今日こゝにあつまりて、酒をのむものはたそ、文蝶北馬の画にたくみなる人、伊勢伝福甚の興にのる人、詩は吾山、役者は杜若と、世にきこえたる駿河町の名妓になんありける
 春雨にぬるゝとかしりながらおりたつ脛のしろきをぞみる
 雨ふれば柳の糸の長/\と長さかもりもかつはうれしき」

〈「桃李園の序」とは李白の「春夜桃李園に宴するの序」。この酒宴に参加した人々は絵師が文蝶・蹄斎北馬、新橋の伊勢伝、そして「詩は五山役者は杜若傾はかの藝者は御勝料理八百善」と称えられた駿河町芸者のお勝〉
六々集②231文化12年
1815/02/