Top浮世絵文献資料館浮世絵師総覧
 
見世編大田南畝(四方赤良・蜀山人)の詩・狂歌 〔見世編〕大田南畝関係
(遊郭・芝居・商家・料亭等)
【こ】※◯は欠字、◎は表示不能文字
店名(屋号)詞書・詩歌出典巻・頁年月日
こううんどう
広運堂 (薬種店)
「浅草蔵前、堺屋長兵衛広運堂の紫金錠の効能いちじるしときゝて
 やまひけのいる事はなし紫のこがねの錠のある御蔵前」
紅梅集②376文政2年
1819/10/
こうおうてい
狎鷗亭
「秋雨、諸子と同じく二歌妓を携へて狎鷗亭に飲す 洲辺一雨過蒹葭 露滴梧桐墨水涯 我狎海鴎々狎我 息機心酔眼中花」南畝集18
漢詩番号3913
⑤321文化11年
1814/08/
こうこうてい
向耕亭(雑司ヶ谷)
「東奥の熊坂子彦、酒銭を恵む。因りて岡公修・関叔成・山士訓と同じく曹司谷に遊び、向耕亭に宴す
 共弄春光歩緑蕪 雑司幽谷接城隅 一双北雁伝書素 千里東風送酒須 嵆阮元非白眼侶 河山転邈黄公壚
 美人為是投金錯 我輩猶能対玉壺」
南畝集5
漢詩番号0914
杏園詩集二
③314
⑥62
安永10年
1781/02/
「曹司谷に過りて旗亭に飲す【亭、向耕と名づく】
 指点曹司谷 林間酒旆青 難逢収穫日 猶訪向耕亭 冉々秋将晩 潺々水灑庭 此生能幾許 託酔遣沈冥」
南畝集13
漢詩番号2181
④232享和2年
1802/09/17
こうのいけたろべえ
鴻池 太郎兵衛
「世の中の定の小判六十目桐の葉わくる月の光次
 銭時の相場は上り下りにて青海波の汐のさし引
 にた山の多き世の中時がしは不仕と書て候
〔これは鴻の池【欄外。太郎兵衛】の家にてたはぶれに書あたへしなり〕 」

〈光次は小判を鋳造した金座の当主後藤庄三郎光次。小判には「武蔵壹兩光次(花押)」と墨書あり〉
万紫千紅①295文化12年
1815/11/
こしょしえん
巨勝子円
「横大工町巨勝子円うるもとにて、あるいらつめによみておくる
 千早ふる神田まつりの申酉のわたらぬ先にみてし君かも」
〈神田横大工町、秘薬・神仙巨勝子円を商う朝田八郎治方〉
七々集②257文化12年
1815/09/14
ごせんろう
呉船楼
「仲春、呉船楼に宴す 呉門舟楫集通溝 満酌軽寒覚気柔 相見粲然三婦艶 春光偏在主人楼」南畝集19
漢詩番号4137
⑤385文化13年
1816/02/11
「きさらぎ十一日、呉船楼にて歌ひめお勝、あすは眉を落し歯黒めすときゝて
 しろい歯のけふが見をさめあすよりは又くろうととなりてさかえん
 千金の眉をおとして万金の歯をもそめなばよはひ十千万」
七々集②298
こまつや
小松屋
「小松屋といふ飴屋の釜に、はつ春注連をひき置けるが、その釜鳴しを祝ひて歌よめと人のいふに
 此釜のうなるねの日の小松屋に千とせの春のしめやひくらん」
七々集②249文化12年
1815/08/
ごめいろう
五明楼 (吉原)
扇屋主人墨河
狂名 棟上高見
「むつき七日、五明楼にあそびて人々歌よみけるに、八日はねの日なればけふもとどまり給へかしと、あるじのきこへければよめる
 きのふからよそにねの日のまつなればけふはひと先うちへひかまし
 五明楼のあるじたはれうたの名をこひ侍りしかば、棟上高見と名づくるとて
 家の風もとより夏をむね上のたかみに見せやはるのひ扇
 おなじく家童子【棟上高見が妻】を、赤じみの衣紋とよび侍りければ
 たはれ歌よめどもよめどもあかじみの衣紋をけふのきそはじめ哉」
巴人集②390天明3年
1783/01/07・08
「むつき七日、五明楼にあそびて人々歌よみけるに、八日はねの日なればけふもとどまり給へかしと、あるじのきこへければよめる
 きのふからよそにねの日のまつなればけふはひと先うちへひかまし」
徳和後万載集①25天明3年
1781/7・8
「はるのよ五明楼棟上高見がもとにて、あげ屋のくらちか、蔦のから丸など物語し侍りしに、そばいでゝのち、おぼろ豆腐をすゝめければ
 御馳走の御そばにはらもはるの夜は朧豆腐にしくものぞなき」
巴人集②392天明3年
1783/02/