Top浮世絵文献資料館浮世絵師総覧
 
蕙斎政美(紹真)画「略画式」目録北尾政美
 ◯『山水略画式』一冊「蕙斎筆〔紹真〕」須原屋市兵衛板(国書データベース画像)   (巻末 蕙斎紹真画 須原屋市兵衛板 出版目録)   〝略画式 蕙斎先生筆 一冊 さいしきすり画早書の本也〈寛政7年刊〉     此画の手本は当世の人物数多出し 画の法を委く教へ 及び草木山水魚鳥虫尽しに至る迄 筆軽に書 彩色を加へ      学ずして即座に画の出来る本也    同 人物之部 同筆 一冊 さいしきゑの早書の本なり〈寛政11年刊〉      この本はあまねく人物斗を数品にしてさいしきをくはへたるおもしろき本なり    同 鳥獣略画式 同筆 一冊〈寛政9年刊〉     さきに出来たる如く鳥けだものを筆軽に画き 彩色を加へ けいこなく直に鳥獣の画かける本也    同 山水之部 同筆 一冊〈寛政12年刊〉     此山水の書は江戸名所古跡 江之島鎌倉東海道筋名所見物所 或はいせ近江八景大和路 京大坂西国すじ名所古跡     を筆かるに画    同 草木略画式 同筆 一冊〈文化10年刊『草花略画式』〉     草木花之類を集め彩色を加へ初心のためにはやく画の道に入らしむる本なり    画手本 同筆 折本一巻     この絵本はあらゆる絵の入用の職人雛かた并初心のために人物草木けだもの等をくはしく画たる本なり    絵本龍の宮つこ 蕙斎筆 一冊〈享和2年刊『竜の宮津子』『魚貝譜』〉     この絵本は諸の魚かひつくしを手軽く極さいしきを加へ 上品にしていたつておもしろき本なり        東都書林 室町二丁目 須原屋市兵衛    〈これらの絵本に対して、板元は画道入門用の手本あるいは諸職の雛形としての役割を期待している。つまり鑑賞用     というより実用に供するものと考えているようだ。とはいえ、多くの人々は、人物から花鳥風月に至るまで、軽妙     な筆致でまるで生きたもののごとく画いていく蕙斎政美の力量には目を見張ったはずである〉  ◯『略画式』寛政七年 神田菴主人序   〝隣の爺がもとに 梅一本あり 是を工みて一艘の舟の形になし 春ごとに花をひらかせ秘蔵せり これ    我好むところにあらず まことに花をめでぬるは 野梅こそよけれ 工まずつくらず 天然の風味あり    此画も亦しかり 形によらず精神を写す 形をたくまず略せるを以て略画式と題す〟    〈蕙斎は形を巧まず作らず、略画でもって天然の風味やものの精神を写しとる〉  ◯『鳥獣略画式』寛政九年 菫斎閑人   〝秋雨 無聊 蕙斎来ていふ たま/\半日の閑を得たり 雅事の消遣(気晴らし)すべきありやと 我忽    (ち)一計を生じ まづ彼に筆研を授け 傍(ら)なる字書を閲し 漫に鳥部の文字をあけて読む 随てよ    み随て写す 終に犭部に及ぶ 瞬息の間に飛走 帋上に群をなす 筆勢の妙いわむかたなし 戸庭を出    ずして 多く鳥獣の形を識りぬ」    〈菫斎閑人が字書の鳥から獣の部へと次々に読み上げるにしたがって、蕙斎はその都度その形状を瞬時に画いていった。     当意即妙のパフォーマンス(曲画)。蕙斎には、需(もとめ)があればそれが何であれ即座に画くという気構えが備わって     いたものと思われる〉