◯『江戸花海老』〔南畝〕①96(天明二年(1782)十一月一日刊)
〈『江戸の花海老』は、五代目市川団十郎の倅・徳蔵(五才)の海老蔵襲名を祝うとともに、狂名を花道つらねとも称す
る五代目のわざおぎぶりを祝福した南畝の狂歌集。出版は襲名披露のある顔見世興行に合わせたようだ。挿絵二葉のう
ち一つに〝宗角十三才書〟とあり。もう一葉は宗角の父で絵師の吉田蘭香か。絵師の方も役者親子同様に息子を披露し
たのであろう〉
△『判取帳』(天明三年(1783)頃成)
〈画中に〝雙鶴十四歳画〟。赤良の注〝吉田蘭香子土山宗角〟とあり。ただしこの宗角が父のように絵を画き続けたかど
うかは未詳。吉田蘭香の項参照。注は吉田蘭香の子と読めるが、この土山宗角は、姓名からすると、当時の勘定組頭・
土山宗次郎にゆかりのある子供のような気もするのだが、どうだろうか〉