Top浮世絵文献資料館浮世絵師総覧
 
☆ ろすい つるおか 鶴岡 蘆水浮世絵師名一覧
〔生没年未詳〕
 ※〔漆山年表〕:『日本木版挿絵本年代順目録』  ☆ 天明元年(1781)     ◯「絵本年表」〔漆山年表〕(天明元年刊)    鶴岡蘆水画『隅田川両岸一覧』二帖 鶴岡蘆水画    ◯『増訂武江年表』①203(斎藤月岑著・嘉永元年脱稿・同三年刊)   (「天明元年」)   〝「隅田川両岸一覧」二巻板行成る(軸物を刊行する事、其の類少なし。鶴岡蘆水の筆にして東江山人の    跋あり。この蘆水は翠松斎と号し、下谷金杉に住し、長寿を保ちて文政の末にも尚存在せしと聞けり)〟    ☆ 天明二年(1782)     ◯「絵本年表」〔漆山年表〕(天明二年刊)    鶴岡蘆水画『歌仙百錦集』一冊 鶴岡蘆水画    ☆ 天明三年(1783)    ◯『万歳狂歌集』「雑歌上」〔江戸狂歌・第一巻〕四方赤良・朱楽菅江編・天明三年刊   〝すみた川のけしきをゑがきてふたまきとし、両国一覧と名づけ侍るとて  鶴岡芦水      両国のきしによる波よるひるや舟のかよひ路一目わからん〟    ☆ 没後資料    ◯『古画備考』二十九「近世 文化」中p1234(朝岡興禎編・嘉永四年(1851)四月二日起筆)   〝鶴岡蘆水 号翠松斎、下谷金杉に住し、長寿を保ち、文政の末にも、尚存せしと聞く、    天明元年、隅田川両岸一覧二巻板行成、軸物を刊行する事、其類少し、鶴岡蘆水の筆にして、東江山人    の跋あり、武江年表     今按ニ両岸一覧ハ、今折本二帖ニシテ、一帖ハ東岸一帖ハ西岸ナリ、素人画ニテ、極メテ拙ナリ、無     款ナレドモ、蘆水ノ筆ナル由ハ東江ノ序文ニ記セリ〟    ◯『翟巣漫筆』〔新燕石〕⑤附録「随筆雑記の写本叢書(五)」p7(斎藤月岑書留・明治九年(1876)記)   〝翠松斎鶴岡露(ママ)水ハ、天明中隅田川両岸一覧の図二巻を画て、梓に行へり、東江源鱗の跋文あり、其    図麁略にして鈍筆にハ見ゆれと、工夫ハ面白く、はた絵巻を板にえりたるハ、其ためし少しと、覚ゆ、    この画巻出し時、いかがしてか、大川橋の上に鷹匠二人渡る所を画る、この橋は田沼侯の御指揮により    て出来たりし橋なれハ、貴賤絡繹として渉る所を画されハ、侯の機嫌如何あらんと、いふ人ありければ、    惣図に着色を施し(原板墨摺也)橋上多くの人物をかき加へて、侯の一覧に呈しけるとか、露水ハ長寿    にして、根岸に住し、文政八九年の頃も壮健にてありし由、小普請方大工棟梁依田弥八から絵の師にて    ありし由、同人の物語なりし、此絵巻板行すれと、今ハ行れす、書林にも少し〟    ◯『浮世絵師便覧』p204(飯島半十郎(虚心)著・明治二十六年(1893)刊)   〝蘆水(スイ)鶴岡氏、天明年間隅田川両岸一覧あり〟    ◯『浮世絵備考』(梅本塵山編 東陽堂 明治三十一年(1898)六月刊)   (国立国会図書館デジタルコレクション)(39/103コマ)   〝鶴岡蘆水【天明元年~八年 1781-1788】其の伝詳ならず、『隅田川両岸一覧』の挿絵を画けり〟  ◯『増補古今書画名家一覧』番付 大阪 石塚猪男蔵編集・出版 明治四十四年十月刊   (東京文化財研究所「明治大正期書画家番付データベース」)   〝今故浮世絵各派    〔東京〕菱川師房  北尾重政 西川祐信 歌川豊廣  柳川重信 勝川春英 窪春満        歌川豊久  鶴岡蘆水 鯉川春町 懐月堂安度 角田国貞 奥村政信 鈴木春信        細田栄之  諸積尭珍 西川照信 羽川珍重  烏山石燕 大石真虎 石川豊信        松本楓湖〟  ◯『浮世絵師伝』p223(井上和雄著・昭和六年(1931)刊)   〝蘆水    【生】  【歿】  【画系】  【作画期】天明~文政    鶴岡氏、翠松斎と号す、下谷金杉に住し文政の末頃まで存命せしと云ふ。天明元年版の『両岸一覧』は    彼の画く所にして、隅田川の東西両岸を乾坤二巻に収む、乾は永代橋より千住までの東岸を写し、坤は    西岸の上流より高輪海岸に至るまでを画く、乾巻には題字二枚と画十枚、坤巻には画十八枚と跋文二枚    をつぐ、題字跋文共に東江源鱗の撰併せて書する所たり、而して全巻の彫刻は関根柯影(カエイ)の刀に    成れり、則ち黒線のみを版刻して、其の上に数色の筆彩を加へたるものなり、用紙は丈長奉書を半裁し    て横長につなぐ、蓋し、隅田川両岸一覧の版画としてはこれを以て嚆矢とすべく、且つ浮世絵派の表現    とは異なれども、大作を写生に基きて特色を現はしたる事は偉とすべし〟    ◯『浮世絵年表』(漆山天童著・昭和九年(1934)刊)   「天明元年(四月十三日改元)辛丑」(1781)p137   〝四月、鶴岡蘆水の画ける『隅田川両岸一覧』出版〟    △『増訂浮世絵』p186(藤懸静也著・雄山閣・昭和二十一年(1946)刊)   〝鶴岡蘆水    蘆水は隅田川両岸一覧の筆者で、翠松斎と号す。下谷金杉に住し、長寿を保ち、文政の末まで存命した    といふ。この隅田川両岸一覧には、東江源鱗の序文があり、二巻で、天明元年に出版された〟    ◯「日本古典籍総合目録」(国文学研究資料館)    作品数:2    画号他:鶴岡蘆水    分 類:地誌1    成立年:天明1~2年(2点)       <東北大学附属図書館の「貴重書展示室ホームページ」上に、蘆水画もう一つの作品『歌仙百錦集』天明二年(1782)     刊(彩色絵本)の画像が出ている。解題して〝鶴岡蘆水は江戸中期の浮世絵師。「隅田川両岸一覧」などの作品もあ     る。本書は紅葉の百態に歌仙(俳諧)のことばを添えた絵本である。(狩野文庫)〟とあり>