◯『浮世絵師人名辞書』(桑原羊次郎著・教文館・大正十二年(1923)刊)
(国立国会図書館・近代デジタルライブラリー)
〝柳村 小倉氏、西洋画風の風景版絵あり、明治〟
◯『浮世絵師伝』p220(井上和雄著・昭和六年(1931)刊)
〝柳村
【生】 【歿】 【画系】五姓田芳柳門人か 【作画期】明治
小倉氏、本名は明かならず、明治十三年・十四年に出版されし東京名所絵の届出でには「画工築地小田
原町二丁目十四番地、小倉柳村。出版人同番地新井八蔵」と刷込あり。此の頃は、清親の風景画を錦絵
版元にて売出し中なれば、それに刺戟されて試みたるものなるべし。洋画と日本画及び南画などを融和
して画きしもの故、頗る興味をひく所あり。彼の風景画は少数なれども、大略左の如し。
◯日本橋夜景 ◯湯島の景 ◯向島八百松楼之景 ◯浅草観音夜景 ◯愛宕山の景
以上各図の輪廓は金又は銀にて刷り込み、後に淡緑に替へたるものあり、外に水道橋之月夜、品川之月
夜、隅田川畔(釣竿持つ人)等あり〟
◯「幕末明治の浮世絵師伝」『幕末明治の浮世絵師集成』p94(樋口弘著・昭和37年改訂増補版)
〝柳村(りゆうそん)
小倉氏、本名は明らかでなく、その履歴も、画業も明らかでない。五姓田芳柳の門人らしい。明治十三、
四年頃に清親の風景画に類した東京名所の新版画を描いて出版している。明治期の注目すべき画人であ
る。履歴、生歿年不明〟