◯『浮世絵師便覧』p239(飯島半十郎(虚心)著・明治二十六年(1893)刊)
〝師宣(ノブ) 春川氏、大坂の人、◯宝暦〟
◯『浮世絵備考』(梅山塵山編・東陽堂・明治三十一年(1898)刊)
(国立国会図書館デジタルコレクション)(30/103コマ)
〝春川師宣【宝暦元~十三年 1751-1763】大坂の人、其の伝詳ならず〟
◯「菱川師宣画譜」宮武外骨編 雅俗文庫 明治四十二年七月(1909)刊
(『浮世絵鑑』第一巻所収・国立国会図書館デジタルコレクション)
〔『大阪滑稽新聞』引用〕(45/50コマ)
〝古本書肆の如きも頗るイカサマをやる、それは上巻とか中巻とかの端本の巻名を削り去つて「全」の
字を記入したり、又は其著書者の名を妄に変更する等である、現に記者が先頃京都で実見したものゝ
如きは、春川師宣筆とある絵本の「春」の字を削つて之を「菱」に改め菱川師宣筆としてあつた。菱
川師宣は天和頃の人、春川師宣は宝暦の大阪人であつて、其筆意は固より年代も大に相違して居る、
それを春川では高く売れないと云ふので、菱川と改めるなど、実にイカサマも甚だしい〟
◯『浮世絵師伝』p200(井上和雄著・昭和六年(1931)刊)
〝師宣
【生】 【歿】 【画系】 【作画期】宝暦
大阪の人、春川氏、宝暦九年版『絵本列仙画伝』三冊に「春川師宣図」とあれど、実は菱川師宣の
『異行仙人絵本』(元禄二年版)の図を剽窃したるものなり。春川師宣とは、或は仮設の人ならんか〟
〈上掲記事はいずれも春川師宣の存在を前提とするが、井上和雄は疑問視している〉
◯『浮世絵年表』p114(漆山天童著・昭和九年(1934)刊)
「宝暦九年 己卯」(1759)
〝正月、江戸の書肆辻村五兵衛、元禄二年出版の菱川師宣の画ける『異形仙人絵つくし』を再版して『絵
本列仙画典』と題し、画工春川師宣と署せしより、世人は此当時春川師宣なる画工あるものと信じて、
飯島虚心氏の其著『浮世絵師便覧』には師宣、春川氏、大阪の人、宝暦年間と記せり〟
◯「日本古典籍総合目録」(国文学研究資料館)
収録なし〈「日本古典籍総合目録」は『絵本列仙画典』を菱川師宣画としている〉