Top浮世絵文献資料館浮世絵師総覧
 
☆ げんろく 源六浮世絵師名一覧
〔未詳〕
 ◯『浮世絵師伝』p67(井上和雄著・昭和六年(1931)刊)   〝源六    【生】  【歿】  【画系】政信の男  【作画期】享保    奥村氏、画を父に学びて細判漆絵の役者絵を描けり。落款に「大和絵師奥村源六」又は「奥村源六筆」    とせしを、従来政信の作と混同せられしも、政信の俗称は源八にして源六に非ず。彼は父政信が享保    九年頃版元を開業してより、専ら営業上の実務にたづさはり、殆ど作画を中止せしものゝ如し。彼の    作画年代は享保八九年頃にして、其の細判漆絵のうち、市川門之助の舞台姿を画きしものは、享保八    年十一月、中村座に出演せし最明寺時頼の役に相当するが如く、版元は芝神明前横丁江見屋なり。仮    りに、彼の出生を宝永六年(政信廿四歳)とすれば、享保八年には十五歳となる、斯くて数年の後に    は絵草紙屋としての経験を積みて、やがて父に替りて「版元奥村屋源六」と成りしものなり。彼の出    版物は、父政信の作品以外に、二氏清信の漆絵、清満・清広等の紅摺絵もあり、そのうち宝暦初期に    於ける清広の一作品には、版元印(瓢箪形に奥村)と共に「鶴寿堂」と記せり、即ち彼が店の商号な    り。而して、版元奥村屋の名は安永年間まで続きたれども、彼の歿年は明かならず。店は通塩町なり〟