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☆ ぶんしょう きし 岸 文笑浮世絵師名一覧
〔宝暦4年(1754) ~ 寛政8年(1796)4月12日・43歳〕
(狂名・つぶりの光)
 ◯『巴人集』〔南畝〕②399(天明三年四月詠)  〝つぶりの光におくる  夕顔のやど屋の軒におつぶりの光源氏とあやまたれぬる〟    〈馬喰町奈万須盛方宅、伯楽連の狂歌会か〉    △『判取帳』(天明三年成る)   (浜田義一郎著「『蜀山人判取帳』補正<補正>」「大妻女子大学文学部紀要」第2号・昭和45年)   〝四方先生をとひ侍りけるとき御茶の水をすぎける時ほとゝぎすを聞きてよめる   御仏の産湯にあらでお茶の水てつぺんかけてほとゝぎす鳴 つむりの光〟    (四方赤良(大田南畝)注〝号文笑〟    〈四月八日頃の詠である〉   〝筆跡師匠の所にて昼寝し侍りてよめる     転寝のあさきゆめみしゑびす様アヽよいかなと忘れせす京 襖の明立     つむりの光画〟    (絵は「ゑびす」の由)    〈襖の明立は南畝の注に〝橋本町唐紙屋久二郎〟とあり〉    ◯『四方の留粕』〔南畝〕①207(天明四年六月明記)     〈狂文「角田川に三船をうかべる記」。蔦屋主催、宿屋飯盛、鹿津部真顔等四方側の狂歌師による船上狂詩狂歌合わせ。    つぶり光も参加。判者は四方赤良〉    ◯「三保の松」〔南畝〕②508(天明六年九月記)     〈宿屋飯盛とつぶり光、南畝の妾(しづ)宅逍遥楼を訪問する。しづは吉原・松葉屋の新造・三穂崎。南畝は同年七月十    五日に身請けしたばかり〉    ◯『狂歌才蔵集』〔南畝〕①50(天明七年一月刊)  〝紀みじか、二歩只取、宿屋めし盛、つぷり光、鹿津部真顔、紀定丸等よみかうがへす 天明七のとし初春〟    〈四方赤良序。文笑は狂名つぶり光として校訂者に名を連ねる〉    ◯「識語集」〔南畝〕⑲701(寛政八年五月記)  〝「新吉原遊女町規定証文」  北里規定証文一冊、城東亀井町桑揚庵岸氏 岸名教明。称宇右衛門、善夷曲、又号後巴人亭、法諱恕真    斎徳誉素光 病中使人繕写、将以贈予。未達而死。友人六樹園斉来伝遺命、因紀其事。字雖数行、涙亦    数行矣。政辰夏五 杏花園〟    〈つぶり光は吉原に関する古文書を南畝のために病気をおして写し繕い贈ろうとした。しかし、果たさないまま四月十     二日逝去した。つぶり光の友人宿屋飯盛が遺命とともに、この「証文」を齎したのである〉    ◯『浮世絵考証』〔南畝〕⑱444(寛政十二年五月以前記)   〝一筆斎文調 (以下朱筆)門人岸文笑【絵冊子ニ此名アリ/狂歌士頭光】〟    男女風俗、歌舞伎役者画ともにつたなき方なり〟    〈文笑は文調の門人で絵本にその名が見え、つむりの光はその狂歌師名だという記事である〉    ◯『古画備考』三十一「浮世絵師伝」中p1392(朝岡興禎編・嘉永三年四月十七日起筆)   〝岸文(ママ) 門人 画草紙ニ此名アリ、一狂歌 頭光(ツムリノヒカルのルビ) 同上〟    〈「岸文」は「岸文笑」の誤記であろうか。「門人」とは『古画備考』上で前項に当たる一筆斎文調の門人という意味     か。また「同上」とは前項の文調の出典『浮世絵類考』を指すか。文調の項参照〉    ◯『浮世絵師便覧』p225(飯島半十郎(虚心)著・明治二十六年(1893)刊)   〝文笑(セウ) 岸氏、文調門人、◯明和〟  ◯『浮世絵備考』(梅本塵山編 東陽堂 明治三十一年(1898)六月刊)   (国立国会図書館デジタルコレクション)(34/103コマ)   〝岸文笑【明和元~八年 1764-1771】文調の門弟にて、絵草紙を画けり〟  ◯『浮世絵師伝』p166(井上和雄著・昭和六年(1931)刊)   〝文笑    【生】宝暦四年(1754)  【歿】寛政八年(1796)四月十二日-四十三    【画系】文調門人     【作画期】明和~安永    岸氏、名は誠之、俗称宇右衛門、亀井町に住す、初め文調に就て画を学び、明和七年版の『往古ッ模様    亀山染』(黄表紙風の浄瑠璃絵草紙)其他若干の挿絵本あり。後ち画を廃して、蜀山人の門に入り狂歌    師となる、桑楊庵・頭(ツムリ)の光(ヒカル)・後の巴人亭等は狂歌に用うる所なり。法名恕真斎徳誉素光    居士、駒込追分の瑞泰寺に葬る。     茲に一考すべきは、宝暦半ば頃の紅摺艶本の一図に「岸文笑画」と落款し、画風豊信に似たるものあり、    若し前記の文笑と別人ならば、初代二代の区別を附すべきか。一説に文笑は、享保十二年に生れ、寛政    八年に七十歳にて歿すと云へり、此の説に従へぼ同一人と見るべきも、文調門人と称するは如何にや、    記して尚ほ後考を俟つ〟    ◯「日本古典籍総合目録」(国文学研究資料館)   (作画作品のみ収録)   (岸文笑名の作品)    作品数:1点    画号他:岸文笑    分 類:黄表紙1    成立年:記載なし    〈『昔往模様亀山染』黄表紙・岸文笑画〉   (つむり光名の作品)    作品数:1    画号他:つむり光    分 類:狂歌1    成立年:天明5年    〈『狂歌評判俳優風』唐衣橘洲、朱楽菅江、四方赤良評・つむり光画・天明五年(1785)刊。署名の表記は所蔵者「大     妻女大浜田」の「書誌詳細」に従った〉   (全作品)    作品数:14点    画号他:頭光・岸・誠之・文笑・光甫・光曜真人・桑楊庵・岸誠之・桑楊庵光・桑楊庵主人・        頭の光・一筆斎文笑・桑楊庵大人・岸文笑    分 類:狂歌10・読本2・黄表紙1・随筆1    成立年:天明5年   (1点)        寛政4~5年 (6点)        享和3年   (1点)        天保5・11年(2点)
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