△『増訂浮世絵』p93(藤懸静也著・雄山閣・昭和二十一年(1946)刊)
〝東月堂文鶴
米国フリヤーギャラリー所蔵の六曲屏風に、女鉢木雪之段を画いたものがある。それに、倭絵一流東月
堂万徳斎文鶴と落款を施してゐる。人形芝居の出語りの舞台面を画いたもので、政信の画風を追ふもの
である。門人であるかも知れないが、或は政信の追随者が、芳月堂に対して東月堂、文角にならつて文
鶴とまぎらはしき名をつけたのであるかも知れない。画技の可なり優れたものであることは、六曲屏風
を画きこなしてゐることによつても知られる〟