◯『葛飾北斎伝』(飯島半十郞(虚心)著・蓬枢閣・明治二十六年(1893)刊)
◇飯島虚心の按記 p109
〝東京橋場町、真崎の石浜神社にある杉戸の牛馬の図に、安政屠維協洽之玄月、葛飾北斎謹画とあり。
印章は左の如し(模写図あり)。何人なるを詳(つまびらか)にせず。画風は葛飾にあらず。土佐の風
に近し。甚だ拙なり〟
〈「安政屠維協洽之玄月」は「安政己未の九月」の意味。安政己未は同六年(1859)〉
◇岩波文庫本『葛飾北斎伝』の校注者・鈴木重三氏の上記「葛飾北斎」に関する脚注 p331
「伝不詳。一説に赤松宗旦著『利根川図志』(安政二〈一八五五〉年自序)の挿絵を一部分描いた葛飾北
斎も同一人かとの説あり」