参考資料「懐月堂派と俳諧に関する一試論」門脇むつみ著(『浮世絵芸術』145巻 2003年刊)
(上記論文に「戯画 音雪安知図之」という肉筆の落款が紹介されている。安知と音雪が同人であることは
これで明らか)
別号 貞布舎 冬信
※①〔国書DB〕:「国書データベース」〔国文学研究資料館〕
④〔早大〕 :「古典籍総合データベース」
☆ 享保七年(1722)
◯『俳度曲』識月(露月)編「享保七孟春」刊 吉田宇兵衛板 ①(画像)
(画)「画工 冬信図」「音雪筆」挿絵多数〈冬信は音雪の別号〉
他に鳥居清倍 北窗翁 一蝶など
(句)沾洲 艶女など
☆ 享保九年(1724)甲辰
◯『五重軒月次』五重軒識月(露月)編「享保九年六月」跋 ①(画像)
(句)「音雪」 他に 素丸 長水 湖十 水光
☆ 享保十年(1725)乙巳
◯『句霊宝』露月編「享保乙巳冬」刊 ①(画像)
(画)「音雪(「貞」の字の花押)」能に取材した画あり 他に 米仲など
(句)「音雪」他に 莎雞 素丸 湖十など
☆ 享保十一年(1726)丙午
◯『秋の雛』露月編「享保丙午仲秋」④(画像)
(画)「貞布舎音雪(「貞」の字の花押)」
(句)沾洲 青峨 素丸 長水 暁雨 財峨 莎雞 秀圃 湖十など
◯『寄進能』豊島治九衛門(露月)撰 享保十一年序 西村源六板「享保己酉春」刊(画像)
(画)「貞布舎音雪画〔貞〕」他に 白鳳軒画〔福王〕 財峩 十洲画
(句)「音雪」他に 湖十 秀圃 財峩 艶女 素丸 莎雞など
〈刊記は「己酉」で享保十四年刊だが、序は「享保丙午」露月の跋は「享保丙午中冬」とあり、句や挿絵は
享保十一年のものと思われる〉
☆ 享保十二年(1727)丁未
◯『誹諧百人一句(閏の梅)』露月編「丁未上巳(三月三日)」序 ①(画像)
(画)「音雪(「貞」の字の花押)」画 他に 狩野興栄 山元財峨 青瓐など
(句)「音雪」他に 水光 豊島秀圃など
音雪画『誹諧百人一句』「壬生忠峯」月に雁図 落款(「貞」の字の花押)
◯『青海波』五重軒露月編「享保十二未霜月」跋 ④
(句)「音雪」他に沾洲 莎雞 素丸 秀圃 財峨 水光 長水 蓮之など
◯『宮遷』露月編 露沾・白雲序「享保丁未閏陬月(正月)」序
(句)「音雪」他に 莎雞 財峨 秀圃 露月 素丸 沾洲 水光 長水など
☆ 享保十四年(1729)己酉
◯『寄進能』豊島治九衛門(露月)撰 享保十一年序 西村源六板「享保己酉春」刊(画像)
(画)「貞布舎音雪画〔貞〕」他に 白鳳軒画〔福王〕 財峩 十洲画
(句)「音雪」他に 湖十 秀圃 財峩 艶女 素丸 莎雞など
〈序は「享保丙午」露月の跋は「享保丙午中冬」とあり、句や挿絵は享保十一年のものと思われる〉
☆ 享保十七年(1732)
◯『倉の衆』露月編「享保十七中夏」刊 ①
(画)「音雪冬信画」他に 懐月堂指水 英一蝶 白鳳雪岑 政信
(句)常仙 乾什 秀国など〈常仙は懐月堂(安度)。画像は下巻のみ〉
☆ 享保十八年(1733)
◯『冬の塵』露月編「享保十八癸丑冬」刊 ④
(句)「音雪」他に 露月 素丸 長水 宗瑞 橘沾
☆ 享保十九年(1734)甲寅
◯『二重染』五重軒露月編「甲寅六月」跋
(画)「音雪画」他に 青瓐 財峨 英一蝶 両峨 雪峯
(句)沾洲 露月 橘沾 宗瑞 素丸
☆ 元文四年(1739)己未
◯『跡農錦(あとのにしき)』露月編「元文四年長月中の四日」序 ①
(画)「音雪画」他に 米仲 英一舟 東窗
(句)「音雪」他に 常仙 紀逸など
☆ 延享二年(1745)
◯『宝の槌』鵑翁露月編「延享二年五月」刊 ①
(画)「音雪画」他に 米仲
(句)露沾 立圃 楼川 紀逸 湖十など
☆ 没後資料
◯『浮世絵師便覧』p210(飯島半十郎(虚心)著・明治二十六年(1893)刊)
〝長陽堂安知(ヨウドウ)懐月堂門人、年代詳ならず〟
◯『浮世絵備考』(梅山塵山編・東陽堂・明治三十一年(1898)刊)
(国立国会図書館デジタルコレクション)(24/103コマ)
〝長陽堂安知【宝永元~七年 1704-1710】 懐月堂の門弟、其の伝詳ならず〟
◯『浮世絵画集』第一~三輯(田中増蔵編 聚精堂 明治44年(1911)~大正2年(1913)刊)
「徳川時代婦人風俗及服飾器具展覧会」目録〔4月3日~4月30日 東京帝室博物館〕
(国立国会図書館デジタルコレクション)
◇第一輯(明治四十四年(1911)七月刊)
〝長陽堂安知画 「婦女図」 正徳享保頃 東京帝室博物館蔵
同上 「婦女図」 高嶺俊夫蔵〟
◯『浮世絵師人名辞書』(桑原羊次郎著・教文館・大正十二年(1923)刊)
(国立国会図書館・近代デジタルライブラリー)
〝安知 安度門人、懐月堂と号す、他の同派のものが度何々と称するに、独り安知と称するゆより見れば、
或は安度の子なるやも測り難し〟
◯『罹災美術品目録』(大正十二年九月一日の関東大地震に滅亡したる美術品の記録)
(国華倶楽部遍 吉川忠志 昭和八年八月刊)
◇小林亮一所蔵 懐月堂安知「美人図」〈小林文七嗣子〉
◯『浮世絵師伝』p201(井上和雄著・昭和六年(1931)刊)
〝安知 【生】 【歿】 【画系】懐月堂安度門人 【作画期】正徳
落款に懐月末葉とし、また長陽堂と号す、大判墨摺及び肉筆の美人画あり〟
〈井上和雄は「やすとも」と読んで「ヤ」の項目に収録している〉