養殖サケに含まれるPCB類
EWG の調査とハイツ等の調査の比較

情報源:Similarities and Differences Between EWG's Salmon Study
and the Hites et al. Salmon Study
FOR IMMEDIATE RELEASE:January 8, 2004

Environmental Working Group
訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2004年1月9日


 [ワシントン] 昨年7月、エンバイロンメンタル・ワーキング・グループ(EWG)は”養殖サケ中のPCBs”に関する調査結果を発表した。今週、ロナルド・ハイツ等が『サイエンス』誌に”養殖サケ中のPCBs”に関する同様な調査結果を発表した。
 下記はこれら2つのレポートの比較対照である。
  • 2つの調査はともに、分析は、カナダのブリティッシュ・コロンビア州 AXYS 分析サービス(http://www.axysanalytical.com)によって行われた。
  • EWG の調査は10合成サンプル(3〜5切れ/サンプル)であり、ハイツらの調査では246合成サンプル(3切れ/サンプル)であった。
  • EWG はこれらのサンプルをアメリカの東海岸と西海岸のスーパーマーケットで購入した養殖サケであり、それらの産地はアメリカ、カナダ、アイスランド、及びチリである。
    ハイツらの調査ではアメリカ及びヨーロッパで購入した太平洋産の天然サケと養殖サケである。ハイツらのサンプルはアメリカとヨーロッパのスーパーマーケット及び卸し売り業者から購入した。
  • 2つの調査はともに、一般的に養殖サケは天然サケに比べて格段に多量のPCBを含んでいること示した。
    (訳注:)EWGレポートによれば他の食品に比べて最大40倍のPCBを含んでいる
  • 両調査ともPCBの汚染源として養殖のエサを挙げている。
  • 両調査とも、アメリカ環境保護局(EPA)のサケに含まれるPCB類の安全基準を妥当なものとする一方、アメリカ食品医薬品局(FDA)の基準は厳格に健康を守るものではなく、月に1回以上食べると危険であることを示唆している。
サケのPCB濃度に関する2つの調査の比較
  EWG Study Hites et al
サンプル数 10(養殖) 200(養殖)、45(天然)
養殖場所 アメリカ、カナダ、アイスランド、チリ カナダ、スコットランド、ファラオ、アイスランド、チリ、アメリカ
テスト対象汚染物質 PCB類 PCB類と13種の」残留性有機汚染物質
平均PCB濃度 ppb、(範囲)
アメリカ産養殖サケ中のPCB類 25.2 (25.0 - 25.3) 21.6 (9 - 35) *
カナダ産養殖サケ中のPCB類 26.8 (22.7 - 33.6) 35.9 (21 - 39) *
チリ産養殖サケ中のPCB類 7.8 (5.5 - 10.0) 20 (20 - 20) *
ヨーロッパ産養殖サケ中のPCB類 50.2 (32.6 - 67.8) 48.3 (34 - 53) *
(注 *)
濃度はハイツらのレポート中のFigure 2から推定した。
範囲はハイツらのレポート中のFigure 2から 地理的地域又は国毎の平均データの範囲を示す。



訳注:
1.この調査について報じた2004年1月8日付けのAP記事は、「ヨーロッパ産の養殖サケが一番PCBで汚染されており、続いて北アメリカ産、チリ産である。汚染源は養殖のエサ(小魚の肉)に含まれるPCBである」とハイツらのレポートが述べているとしている。

2.ENS も1月8日の記事で報道しています。   Farmed Salmon Found to Contain Cancer Causing Toxics
  BLOOMINGTON, Indiana, January 8, 2004 (ENS)
  http://www.ens-newswire.com/ens/jan2004/2004-01-08-05.asp

3.EWGのレポート PCBs in Farmed Salmon


化学物質問題市民研究会
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