Word in Black 2025年3月7日
気候正義は死んでいない 元ホワイトハウス高官がトランプ政権による 環境保護策の廃止が失敗すると考える理由を語る ウィリー・ブラックモア|フリーランス記者 情報源:Word in Black, April 7, 2025 Climate Justice Isn't Dead A former White House official tells why he believes the Trump administration's efforts to kill environmental protections will fail By Willy Blackmore| a freelance writer https://wordinblack.com/2025/04/climate-justice-isnt-dead/ 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2025年4月16日 このページへのリンク: https://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_25/ 250407_CJ_Climate_Justice_Isnt_Dead.html
ハサウェイは今年初めまで、バイデン政権下で環境正義局長と環境正義に関する省庁間評議会(IAC)の議長を兼任していた。 ハサウェイの言葉を借りれば、IAC は”連邦政府全体が環境正義への取り組みを調整する中心機関”であり、各省庁がそれぞれ巨大な海軍艦艇を操舵し、ハサウェイらは環境正義に向けて舵取りしようとしていた。比喩を少し広げすぎるかもしれないが、トランプ政権は環境正義を指導理念として放棄しただけでなく、連邦政府から完全に排除しようとしているため、これらの船は今や漂流している、いや、それ以上にひどい状況にある。 関連記事:Trump's EPA Shuts Down $3B Environmental Justice Program(トランプ政権のEPA、30億ドル(約4,300億円)規模の環境正義プログラムを廃止) ハサウェイは、それができるとは考えていない。”環境正義を根絶やしにすることは決してできない”と彼は言う。”政府のウェブサイトから環境正義を削除しようとすることはできるだろうが、今後開催されるパブリックコメントのたびに、そのことを突きつけられることになるだろう”。 ハサウェイの役職は専門職であり、政治的な任命によるものではないため、バイデンが1月20日に退任した後も彼の仕事は継続された。 ”厳密に言えば、トランプ政権下で環境正義に取り組んだのは3時間だけである”とハサウェイは笑いながら言う。 1月20日にトランプ大統領が”多様性、公平性、包摂性(Diversity, Equity and Inclusion)”に関する大統領令に署名したことで(この大統領令には、環境正義関連の職位とプログラムの削減条項が含まれている)、ハサウェイのホワイトハウスにおける職務は事実上消滅した。 現在、良き政府のための弁護士会(Lawyers for Good Government)の環境・気候正義担当ディレクターに就任したハサウェイは、トランプ政権による環境正義プログラムの積極的な解体に対する、法的・政治的な反発の高まりに一役買っている。同団体は、連邦政府の補助金(その多くはインフレ抑制法を通じて資金提供されたもの)を受け取った数百の非営利団体と協力して活動しているが、環境保護庁(EPA)は現在、支給された補助金の回収をを試みている。 右派の一部が”目覚めた”気候政策と位置づける、環境正義に対する保守派による広範な反対運動の中で、共和党議員らは低所得者層やマイノリティコミュニティにおける汚染格差への取り組みをますます標的にし、無駄遣いで人種間の分断を招くものとして退けている。 しかしハサウェイは、こうした反発は裁判官の前でも世論の法廷でも通用しないと考えている。 ”過去 2か月で見てきたのは、人々がボンネットを開けると、多くの国民、そして多くの議員−両党の議員でさえ−が、’これらの助成金の多くは実に良いものだ’と言っていることだ”と彼は言う。”彼らは政権に言い返し、’おい、愚か者、なぜこんなことをしているんだ? このプログラムの凍結を解除しろ’と言っているのだ”。 しかし、たとえすべての助成金が最終的にそのまま維持され、連邦政府全体に何らかの環境正義の基盤が維持されたとしても(これは大きな「もし」であるが)、その瞬間に代償が伴うであろう。そして、それは甚大なものになるかもしれない。 ”私たちは将来、行動を起こすための備えがはるかに少なくなり、無駄な時間が増えるだけである”とハサウェイは言う。 ”彼らは人々の命を救うはずの資金を滞らせているのだ”と彼は続けた。”環境正義活動に投じられた資金の多くは、将来の苦しみを軽減するだけのために使われている。政治的な争いや、ちょっとした話題作り、見出しを作るためだけに、子どもたちががんになるリスクを負っているのは、本当に悲しいことである”。 |