EurActiv 2016年9月20日
火災安全化学物質が公衆の健康を脅かすと 連合体が警告 サランティス・ミカロポウロス 情報源:EurActiv, September 20, 2016 Fire safety chemicals threaten public health, alliance warns By Sarantis Michalopoulos / EurActiv.com https://www.euractiv.com/section/science-policymaking/news/ fire-safety-chemicals-threaten-public-health-alliance-warns/ 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2016年11月13日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_16/ 160920_EurActiv_Fire_safety_chemicals_threaten_public_health.html 火災安全を改善するために家具の中で使用されている化学的難燃剤はまた、公衆の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があると、連合体が警告した。 家具製造者、環境 NGOs、がん防止団体、消防士組合、労働団体などを代表する利害関係者の連合体が、家具中で使用される難燃剤の安全性について懸念を表明した(訳注1)。 難燃剤は、火災の防止や延焼の遅延を目的にプラスチックや織物のような材料中で使用される化学物質である。 家具製品の場合、これらの化学物質は発泡体や織物(ソファ、寝椅子など)の中に見られる。それらは火災安全基準に寄与するが、それらのあるものは公衆の健康に全く有害なものとなり得ると専門家は言う。 健康影響 この連合体は2016年9月8日にブリュッセルでの会議で彼らの見解を発表した(訳注1)。 公衆健康 NGO である健康環境連合(Health and Environment Alliance (HEAL))の上席政策顧問リゼッタ・ファン・ブリエ博士は、難燃化学物質は生殖問題、子どもの発達の問題(出生体重、注意力、知能、運動整合)、がん、及び免疫系や代謝への影響と関連していると EurActiv に述べた。 知られた事例には、家庭用織物製品や家具などにしばしば使用される臭素系難燃剤があり、それは内分泌かく乱化学物質としてリストされている。 ”そして、これらの難燃剤はしばしば残留性があり、我々の体内に入り込むので、我々は製品からこれらの難燃剤をなくし、火災防止をもっと効果的にし、汚染をもっと減らすことが重要である”と彼女は述べた。 ”家庭や事務所で起きる長期的な暴露は潜在的に有害である”と、政策見解書の中で専門家らは述べ、これらの物質は通常の使用中に放出され、埃の中に浮遊すると付け加えている。 ”これらの化学物質は発泡体に結合しているわけではないので、暴露は家具への直接的な接触に限らない”と彼らは書いている。 子どもに焦点を当てる 子どもたちは、床を這いまわり埃に接触する機会が多いので、最も脆弱な難燃剤の標的である考えられる。 デンマークの環境食品大臣エスベン・ルンデ・ラーセンは最近、子どもたちが接触する可能性のある製品中の難燃剤に関する EU での禁止を提案するであろうと述べた。 ”子どもたちは、化学物質に特に脆弱なので、彼らが危険な化学物質に曝露することがないよう取り組まなくてはならない”と、彼は警告した。 しかし、消防士らもまた火災の時に有害な煙への曝露を通じて影響をうける。 ”消防士は様々ながんについて民間人より高いリスクを負っていおり、我々は懸念ある難燃剤がそのリスク増大に寄与していることを知っている”と、欧州消防士連合(EFFUA)のミカエル・スバンバーグは述べた。 彼によれば、火災安全は煙検知器やスプリンクラーのような他の手段で確保できる。 調和のとれた基準 現在、EU レベルでいくつかの可燃性基準とテスト方法 が存在し、その結果家具製造者らにとって高い費用をもたらす。異なる基準のために、家具製造者らはいくつかの欧州市場に合わせるために別の製造ラインを設置する必要が生じる。 欧州家具産業連合(EFIC)の事務局長ロベルタ・デッシは、人の健康と環境への影響のほかに競争力の側面があると、EurActiv に告げた。 ”家具産業は家具に難燃化学物質を用いることなしに適合することができる欧州の調和のとれた可燃性基準を望む”と彼女は述べた。 ■Background HBCDD のような難燃剤のあるものは 2011年にすでに禁止されている。その決定は、EUの歴史上最大規模のロビーイング合戦の中で 2006年に採択された化学物質規則 REACH の下になされた。化学物質を使用することを望むすべての会社は、安全問題を管理しているか、又は経済的及び社会的便益がリスクに勝るとこと示す必要がある。 ■EU は家庭用プラスチック製品中の 6種の有害化学物質を禁止予定 欧州連合は、3〜5年以内に 6種の有害化学物質を禁止する。そのうち 3種類はプラスチック家庭用品中で一般的に使用されていると、欧州委員会は2011年2月17日に述べた(EurActiv.com)。 他の難燃剤は現在、生殖系に影響を及ぼす潜在的な内分泌かく乱化学物質としてリストされようとしている。増大する脳、甲状腺、及び生殖問題と共にがんの発症率が上昇していることが、国際的な科学者のグループが日常品中で使用される化学物質に関してより厳格なEU機銃を求めるきっかけとなった。 2013年ベルレモン宣言に署名した 89人の科学者らは、化学物質暴露に関する現状の規制は、多くの内分泌かく乱物質が閾値なしに作用し、どのような濃度でもかく乱を引き起こすかも知れないという可能性を無視していると述べた。 ■89人の科学者がホルモンかく乱化学物質に行動を起こすようEUに求めベルレモン宣言に署名(訳注2) 脳、甲状腺、生殖系などの障害やがん発生の増加を背景に、科学者の国際的グループが、日常的な生活で使用されているある化学物質にEU規制をもっと強化するよう求めた。(EurActiv.com) 訳注1:関連情報:
・EurActiv 2013年5月24日 89人の科学者がホルモンかく乱化学物質に行動を起こすようEUに求めベルレモン宣言に署名 |