EurActiv 2013年5月24日
89人の科学者がホルモンかく乱化学物質に
行動を起こすようEUに求めベルレモン宣言に署名


情報源:EurActiv, 24 May 2013
89 scientists join call for EU action on hormone-disrupting chemicals
http://www.euractiv.com/health/top-scientists-call-eu-action-ho-news-519969

訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2013年5月25日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/edc/EU/130524_EurActiv_2013_Berlaymont_Declaration_on_EDCs.html


 脳、甲状腺、生殖系などの障害やがん発生の増加を背景に、科学者の国際的グループが、日常的な生活で使用されているある化学物質にEU規制をもっと強化するよう求めた。

 世界中からの89人の指導的な公衆健康科学者が、2013年内分泌かく乱物質に関するベルレモン宣言(2013 Berlaymont Declaration on endocrine disruptors)に署名した。

   欧州委員会の象徴であるベルギーのブリュッセルにある本部の建物ベルレモン・ビルディングにちなんで名前が付けられたこの宣言は、欧州全土で増加している内分泌関連の障害は、遺伝子や生活様式だけでは説明がつかないと述べている。

   ”主要な問題は、多くの内分泌かく乱影響について、科学的手段や実験室での手法は利用可能なのに、国際的に合意され実証されているテスト方法は存在しないということである”と、イギリスのブルネル大学のスーザン・ジョブリン教授は述べた。

   ”広範な人への健康影響について、実行可能な実験室での手法が見つからない。このことがリスクの全体を理解するのに妨げとなっている”と彼女は説明した。

   難燃剤、農薬、その他多くの種類のプラスチック等を含む非常に多くの様々な製品中で一般的に使用されている化学物質は人の内分泌系にある影響を及ぼすことを研究が示している。

 科学者らは、単一物質及び他の物質との組み合わせ複合物質の両方への暴露を含んで、これらの化学物質への人々の暴露が、深刻な障害の高いそして上昇しているレベルに関係しているかもしれないということをますます懸念するようになった。

   ”我々が見てきた内分泌かく乱化学物質を規制するための提案は、利用可能な最良の科学的助言をフォローしておらず、人と野生生物の健康よりも商業的利益を重視している”と、ジョブリン教授は述べた。

   ”私は仲間とともに欧州委員会に、適切な科学的原則に基づく内分泌かく乱化学物質のための規制制度を実施するよう求めている”と同教授は付け加えた。

EUの化学物質規制は”不十分”

 宣言は、すでに利用可能である国際的に認められたテスト手法がEUではまだ実施されていないと述べている。それはまた、現在のEU化学物質規制は、内分泌かく乱化学物質を特定するために”まったく不十分”であると述べている。

 署名者らは、現在の規制はこれらの化学物質への低レベル暴露は安全であると述べ、内分泌かく乱化学物質は閾値なしに作用し、どのような濃度であってもかく乱を引き起こす可能性があるということを無視していると述べている。

 宣言はまた、化学物質の使用を管理する行動はもちろん、暴露評価と内分泌かく乱特性を物質の特定対象とされる内分泌かく乱物質研究プログラム、実験室モデルを作り出すための分析開発、及び人の健康に関する調査を支援するさらなる研究に焦点を当てつつ、絞り込んだ内分泌かく乱物質研究プログラムを求めている。

   ”不確実性が残るものの、欧州委員会の資金提供による研究が、内分泌かく乱物質に由来する深刻で、不可逆的な有害性の疑いを実証することに貢献している”と、スウェーデンのストックホルム大学アケ・バーグマン教授は述べた。”したがって、科学的不確実性を理由に規制措置を遅らせるべきではない”。  この宣言は、欧州委員会副委員長アントニオ・タヤーニ、健康消費者政策委員トニオ・ボルジ、研究革新科学委員モイラ・ゲーガン=クイン、及び環境委員ヤネス・ポトチュニック. Janez に提出された。

立場:

 健康環境連合(HEAL)の上席政策顧問リゼッタ・ファン・ブリエは、次のように述べている。
 ”この宣言は、科学専門家が緊急の包括的な規制措置を求めて発言した最新でおそらく最も鋭い声明である。科学的に適切な方法で内分泌かく乱物質を分類する規制制度の必要があることは明らかである。また、様々な法のテスト要求を更新する必要性は絶対的であり、それがなければ我々の内分泌かく乱規制は失敗するであろとこの宣言は述べている。EUが公衆の健康を守るために行動する前に、我々の上席科学者らが如何に大きな声でより明確に述べなくてはならないのだろうか。我々は、欧州委員会委員が、REACH がどのようjに内分泌かく乱化学物質を取り扱っているかを見なしつつ、内分泌かく乱物質のための欧州連合の戦略とそれらを特定するための基準に関する来たるべき決定に備えて完全に理解することを希望する”。


訳注:関連情報
 


化学物質問題市民研究会
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