The Telegraph 2016年2月15日
ジカウィルス: ブラジルは殺幼虫剤と小頭症との関係を退ける ドンナ・ボウター 情報源:The Telegraph, 15 Feb 2016 Zika virus: Brazil dismisses link between larvicide and microcephaly By Donna Bowater http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/zika/12157747/ Zika-virus-Brazil-dismisses-link-between-larvicide-and-microcephaly.html 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2016年2月18日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_16/ 160215_Telegraph_zika_larvicide_microcephaly.html
ブラジルの保健当局は月曜日(15日)、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)を駆除するために用いられる殺幼虫剤ピリプロキシフェンが小頭症で生まれる赤ちゃんの数の急増に関連するかもしれないとする主張に対し、ある州がそのその使用を中止していると述べたので、言及せざるを得なかった。 アルゼンチンの医師団体(Physicians in the Crop-Sprayed Towns(農薬散布作物の町の医師ら))よる先週の報告書は、胎児の脳発達を損なうピリプロキシフェンが奇形の原因であかもしれないことを示唆している。 ブラジルで感染影響を受けた地域で2014年以来、飲料水供給系にその物質が加えられていたと同団体は述べた。 ”最も多くの病人が住んでいる地域で、蚊を奇形にする化学的殺幼虫剤が18か月間散布されており、この有毒物質(ピリプロキシフェン)が感染影響を受けた地域の住民らに使用されている飲料水に州当局によって加えられた”と同報告書は述べた。 同報告書は、ピリプロキシフェンが使用された地域で見いだされている小頭症の発症は”偶然の一致ではない”と付け加え、ブラジル保健省はその責任を無視していたと述べた。 同報告書はまた、ブラジルに次いでウィルスの発生が高いコロンビアのような、ジカにより影響を受けた他の諸国で小頭症の発症がなかったことを指摘した。 これに対応して、ブラジルの南部にあるリオグランデ・ド・スル州の地方政府は土曜日(2月13日)にピリプロキシフェンの使用を見合わせた。 ”我々は、保健省の見解が示されるまで飲料水中でのこの薬剤の使用を延期することを決めた。そして我々は蚊が発生する可能性のあるどのような場所をもなくすよう住民に強く訴える”と、リオグランデ・ド・スル州の保健省長官ジョアン・ ガブバルド・ドス・レイスは述べた。 しかし、連邦政府は、ピリプロキシフェンを小頭症に関連付ける科学的な研究は存在しないと主張して、そのような恐れを即座に打ち消した。 ”血液、組織、及び羊水のサンプル中のウィルスの存在を示したテスト中で確認されているジカウィルスと小頭症の間の関連とは異なり、ピリプロキシフェンの使用と小頭症の関係には科学的な根拠はない”とその声明は述べた。 ”ピリプロキシフェンを使用しないいくつかの地域でもまた小頭症が報告されていたことを明言することは重要である”。 政府は、世界保健機関(WHO)により勧告された殺幼虫剤を使用しただけであると述べた。 ある専門家らは、ブラジルの小頭症の急激な上昇の、そして特にそのウィルスの影響を受けた他の地域では同じような上昇がないということの背景は何かについて疑問を呈している。他の専門家らはまた、それはブラジルでは非常に過大に報告されていることを示唆した。同国では合計 3,852 の疑われる症例を登録したが、現在までのところ調査された概略 1,200 症例のうち 462症例だけが確認された。ジカ感染症の証拠は影響を受けた赤ちゃん41人だけに発見された。 先週、最もひどく影響を受けた地域のひとつであるパライバ州の研究者による報告書は、同州は2012年以来、多数の小頭症の発症があったが、ジカウィルスがブラジルで初めて記録された昨年より2014年の方に多く見られたとことを発見した。 しかしWHO は、この疾病とその状況の決定的な関連はこの数週間で確認されていることの中にあると述べてる。先週、二つの異なる研究もまたジカウィルスが、小頭症であった流産した胎児及び出生後すぐに死亡した赤ちゃんの脳組織中に入り込んでいた証拠を見つけた(訳注1)。 世界中の科学者らが、現在このウィルスのワクチンの開発を競っており、臨床試験には1年から1年半かかると予想されている。 。 マルセロ・カストロ環境大臣は、ブラジルでジャーナリストに、ジカと小頭症の間に直接的関連があることは”疑いない”と述べた。 ”我々にとって小頭症の発症は、以前にはアメリカ大陸に存在していなかったジカウィルスの流行の結果であることは全く疑いない”と、O Globo により奉告されたコメントの中で彼は述べた。 訳注1 Science News 2016年2月11 幼児の脳内に発見されたジカウィルスは小頭症との関連を補強する |