Science News 2016年2月11日
幼児の脳内に発見されたジカウィルスは
小頭症との関連を補強する

グレッチャン・フォーゲル

情報源:Science News, Feb. 11, 2016
Zika virus discovered in infant brains bolsters link to microcephaly
By Gretchen Vogel
http://www.sciencemag.org/news/2016/02
/zika-virus-discovered-infant-brains-bolsters-link-microcephaly


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2016年2月16日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/news/
160211_Science_Zika_virus_discovered_in_infant_brains.html


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 研究者らは、何人かの小頭症の幼児の脳内にジカウィルスを発見したが、これはこのウィルスが出生障害を引き起こすとする疑いを補強するものである。

昨日、『The New England Journal of Medicine』に発表された論文で研究者らは2015年2月に妊娠した時にブラジルに住んでいたが、妊娠後期にスロベニアに帰国したスロべニア人の女性の例を報告している。彼女は妊娠第13週にジカ熱の症状があった。29週と32週での超音波検査で厳しい脳の形成異常の証拠が示されて、その女性は中絶することに決めた。ソルべニアでその女性を担当した医師らは、写真で矢印で示されるジカウィルスを赤ちゃんの脳中に、また形成異常の兆候を胎盤中に見つけた。

 また、昨日、 『Morbidity and Mortality Weekly Report(罹病率と死亡率 週刊報告)』に発表されたもう一つの論文で、 ブラジルとアメリカの研究者らがブラジルのリオグランデ・ド・ノルテ州において出生後数時間で死亡した二人の小頭症の新生児の脳組織にジカウィルスが存在していたと報告している。赤ちゃんの母親は二人とも妊娠初期にジカ熱の症状があったが、赤ちゃんを出産したときは健康であった。(母親はウイルス検査を受けていなかった。)

その研究者らはまた、ジカウイルス感染症の症状を示した後、妊娠初期に流産した二人の女性の胎盤及び胎児の組織中にウイルスを発見した。

 これらの発見はジカウイルスがブラジルで見られる小頭症の増加に関与しているという証拠を強化するものではあるが、感染した母親のどのくらいの割合がウイルスを胎児に感染させるのか、そして感染した赤ちゃんの何%くらいが発生欠損(developmental defects)を被るのかについてはまだ不明確である。これらの疑問は、現在いくつかの国で行われている長期的研究によってのみ、答えが得られるであろう。

訳注:関連情報
The Telegraph 2016年2月15日 ジカウィルス:ブラジルは殺幼虫剤と小頭症との関係を退ける



化学物質問題市民研究会
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