Beyond Pesticides 2006年10月23日
農薬やその他の化学物質がMCSの症状を悪化させる

情報源:Beyond Pesticides Daily News, October 23, 2006
Herbicides, Other Chemicals Aggravate MCS
http://www.beyondpesticides.org/news/daily.htm

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html

掲載日:2006年10月27日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_06/06_10/061023_bp_MCS.html


 彼女の隣人が芝生の手入れのために標準の化学除草剤を使うたびに、キャリル・ションブルンは生命を脅かされる。彼女は、多種化学物質過敏症(MCS)とともに生きている多くのアメリカ人の一人である。ションブルンさん(52)は 、MCSは彼女の体が耐えることができない物質のわずかな臭いにも彼女を反応させてしまう−と言う。彼女は除草剤はもちろん一般的な農薬でもその成分に過敏であり、これらの化学物質に暴露すると彼女の体はアナフィラキシーショック(訳注:ハチの毒やペニシリンなどに過敏な体質をもつ人の体内にそれらが入ったときの激しい全身症状)の状態となる。

 これは彼女だけではない。”この病気は様々な症状を示すので、どの位の人がこの病気を持っているのかに関する信頼性あるデータはない”とサンアントニオにあるテキサス大学健康科学センターの環境医学教授クラウディア S. ミラー博士は記者に語った。”しかし、自分をMCSであると認識し人生設計を変えることを余儀なくされる多種不耐性(multiple intolerance)を持つと報告している人の数は全人口の3〜6%であると推定される。”

 MCSであると診断されて以来、ションブルンさんは化学物質から逃げるために、カリフォルニア州のサンディエゴからアリゾナ州のタスコンヘ、さらにコロラド州のフォートコリンズへと引っ越したが、どこに行ってもそれらの化学物質から逃げることはできなかった。この経験から彼女とその夫、ボブは、低アレルギー誘発性で非毒性の材料を使い、彼女が解毒するためのサウナ設備のある”安全な家”を建てた。同等だが標準の家より概略15%高かったが、彼女の家は、タールペーパーを使用しない金属屋根、化学物質を使わないコンクリート、水性防汚防汚処理、金属枠、浄水設備などを含む。フォートコリンズの建築会社 Natural Build のリック・ニューマンは98%の建材が化学物質を使用していないと見積もっている。

 しかし、彼らの家の安全領域の外ではションブルンさんは、MCSについて常には理解していないに近隣の人々と直面する。ションブルンさんは、農業用農薬散布が行われる場合には事前に知らせてもらうためにコロラド州農業局の化学物質過敏症登録者となっている。しかし近所の人々は相変わらず様々な化学物質を使用しており、必ずしも全ての人々が毒性のない除草剤を使用してほしいというションブルンさんの要求を受け入れてくれるわけではない。ある人は議論の末、ボブに対して(裁判所の)禁止命令を持ち出した。他の人は、例えばマイク・キャダはションブルンが購入して与えた代替品を使っているが留保付きで、”私はそれが効果的であり、値段も標準の除草剤より40%以上高くなければ、それを使いたい”と述べている。

 熱っぽく議論されしばしば誤解されながら、MCSは、その被害にあっている人と、それについてよく知らない人との軋轢をもたらしている。ションブルンさんは、”私達は無害の家を建てられたのだから幸せであるが、しかし、どこでも安全に暮らせるようになるための戦いは決して終わらない”と述べた。

 キャリル・ションブルンさんおMCSの体験についての詳細はニューヨークタイムズ紙コロラドアン紙をご覧ください。

MCSについての情報は:
The Dispossessed / Living with Multiple Chemical Sensitivities
Voices for Pesticide Reform / The stories of those who have been harmed by pesticides


訳注:(関連記事)
多種化学物質過敏症は健康被害だけでなく生活の困窮をも余儀なくさせる(当研究会訳)



化学物質問題市民研究会
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