IIISD 2015年10月26日 POPRC11 概要
デカブロモジフェニルエーテル (商用混合、商用 decaBDE)に関する リスク管理評価(RME)草案 情報源:International Institute for Sustainable Development (IISD) Summary of POPRC11, 26 October 2015 Draft risk management evaluation (RME) on decabromodiphenyl ether (commercial mixture, c-decaBDE) http://www.iisd.ca/vol15/enb15237e.html 訳:安間武 (化学物質問題市民研究会) 掲載:2015年11月2日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/IISD/IISD_COPs_POPRC11_Summary_decaBDE.html 月曜日(2015年10月19日)、事務局はリスク管理評価(RME)草案(UNEP/POPS/POPRC.11/2)と補足情報、及びリスク管理評価(RME)草案に関連するコメントと応答(UNEP/POPS/POPRC.11/INF/6 and INF/7)を提出した。 インドは、事務局は INF 文書を”補足情報(supporting documents)”と呼んでいると述べて、手続き上の問題を提起し、INF 文書が手続き規則の規則11に示される補足情報かどうかを明らかにすることを求めた。事務局は、INF/6 のタイトルは decaBDE のためのリスク管理評価(RME)草案に関連する”補足情報(supporting documents)”であることを明らかにした。インドは、手続き上の問題点を繰り返し、事務局はインドのコメントを留意すると述べた。議長ガスタルデロ・モレイラは、INF 文書中の情報は検討されるであろうと述べて裁定した。 会期間作業部会議長ジャック・ホランド(オーストラリア)は、リスク管理評価(RME)草案を提示し、decaBDE の製造量が 100万トンであるということがリスク管理の仕事の規模を示していると強調した。彼は、欧州連合、アメリカ、中国、及び韓国における国家行動に言及した。廃棄物管理に関して、彼は 3つの選択肢:埋め立て、焼却とエネルギー回収、及びリサイクルを報告した。彼は、代替は利用可能であり、使用されているが、異なる用途には異なる代替戦略が必要であると述べた。リスク管理評価(RME)草案は decaBDE は免除なしに付属書Aにリストされるべきと結論付けていると言及しつつ、彼は自動車、航空宇宙産業、及びリサイクルに求められる 3 つの免除を概説した。 パキスタンは、商用 decaBDE を含むプラスチックの何パーセントがリサイクルされているのか;織物での使用のために何か代替品はあるのか?;そしてどのような監視データが利用可能なのかと問うた。インドネシアもまた、監視及び管理能力の状況に関する情報が存在しないことに言及し、代替品のあるものは POP 様の特性を持つかもしれないと述べた。 ガボンは、多くの途上国が中古の織物とコンピュータを輸入していることを観察しており、このことはどのようにリスク管理評価(RME)草案中で考慮されれているのかと尋ねた。 フランスは、EU は最近、その科学委員会から自動車及び航空宇宙産業での使用のための免除は必要であるが、リサイクルには免除は必要ないとする勧告を受けたと述べた。彼は、EU レベルでの決定は2016年までないであろうことを明らかにした。彼はノルウェー及びオランダとともに、ある化学物質の義務が生じる日又はそれ以前に製造された又はすでに使用されていた製品中に存在する化学物質は付属書 A 又は B にリストされているように考慮されるべきではないと述べている付属書 A 及び B の備考に関して法的助言を求めた。彼はこの備考(note)とリサイクル免除を明記することの必要性との間の潜在的な関連を観察した。 法務官は、ストックホルム条約は廃棄物を定義していないが、バーゼル条約はその前文で廃棄物を定義しており、どの条約がそしていつ、適用するがを決定するのに役立つバーゼル条約を含む他の関連条約の条項を参照していると述べた。 質問に反応して、国際作業部会における起草国のひとつであるノルウェーは、ある情報は利用可能ではないか、あるいは締約国によって提出されなかったと説明した。彼女は、ある代替物質は有害な特性を持つかもしれないが、POP であると確認されたものはなかったと述べた。 オランダは、 decaBDE を付属書 A にリストするという勧告を支持したが、特に下記理由で現状のリスク管理評価(RME)草案を支持することはできないと述べた: decaBDE を廃止している諸国の経験についてのデータ、情報、及び会期間に提出されたコメントの脱落;矛盾した情報;及び現実的な措置を含めない理論的なアプローチ。 ノルウェーは、リスク管理評価(RME)はバランスが取れており;廃棄物はもとより、製造、使用、及び代替 を含む問題に目を向けており;すでに20ページの限界を超えていると、言及した。 インドネシアは、包括的な情報を含めることを求めた。ベラルーシは、免除要求のためのもっと詳細な根拠とともに、現状の製造量と可能性のある規制措置を示すことを求めた。インドは、多様な地域からのデータの検討を求めた。 ノルウェーは、ストックホルム条約の交渉の意図は、POPs を含む製品ではなく、化合物を禁止することであることを思い起させた。 臭素科学・環境フォーラム(BSEF)は、 decaBDE の製造と使用は減少していることを強調し、代替に向かう時には、技術的な性能、コスト、及び化合物の組み合わせが検討されなくてはならないと言及した。 日本からのオブザーバーは、decaBDE を含む製品のリサイクルの禁止は高価で困難なものになるとし、新たなソーティング技術の開発のための猶予期間を求めた。オランダからのオブザーバは、decaBDE の製造をやめることは大きな成果となるであろうが、先進国及び開発国の両方で廃棄物を焼却する能力が欠如しているので、decaBDE を含む製品の取り扱いは技術的に困難であろうと強調した。 国際POPs廃絶ネットワーク(IPEN)は、decaBDE のリサイクルはストックホルム条約の目的と矛盾し、子どものおもちゃの様な製品を汚染するであろうと強調した。 欧州自動車製造者協会(ACEA)は、自動車のためだけではない予備品のための免除を求めたことを強調し、これらの部品リサイクル経路が子どものおもちゃの汚染をもたらすことはないであろうと述べた。 中国からのオブザーバーは、免除の必要性を支持し、途上国は先進国と同じ速さで製造の廃止及び代替の導入をすることができないと述べた。 ノルウェーは、リスク管理評価(RME)は行動にともなうコストを考慮する必要があるが、同時に人の健康と環境のための不作為のコストも考慮する必要があると答えた。彼女は、リサイクルの問題は POPs を含む製品の管理の喪失であると強調した。 オランダは、リサイクルされた材料の用いて製造されたおもちゃ又は食品接触材料の中に有害化学物質が入り込むことを禁止している EU 内及びその他の法律に言及し、彼はどのような場合でもリサイクルを促進しているのではなく、”現実的な見解”を求めていると述べた。オーストリアとノルウェーは、少量の難燃プラスチックがノルウェーでリサイクルされており、このことが産業に対するjコストを最小にしていると報告した。 議長ガスタルデロ・モレイラは、ジャック・ホランド(オーストラリア)を議長とするコンタクト・グループの設立を提案し、 POPRC は同意した。コンタクトグループは、水曜日(21日)から金曜日(23日)までの起草グループの会合前の月曜日(19日)から水曜日(21日)まで会合を開いた。 金曜日の夕方、ホランドはリスク管理評価(RME)草案(UNEP/POPS/POPRC.11/CRP.12)を提出したが、それは締約国会議(COP)は decaBDE を、自動車産業及び航空産業のために、今後定義されるべきいくつかの重要な予備品を免除することで付属書Aにリストすることを検討するよう勧告している。 インドは、規則11 (手続き)に関する質問を繰り返し、なぜヨーロッパの自動車産業だけが助言を求められるのかと問うた。事務局は情報文書(nformation documents)と補足文書(supporting documents)の違いを説明し、規則11 は補足文書だけに適用されると述べた。 インドネシアは、リストすることに反対しないが、管理と監視の能力についての懸念を表明し、締約国は次回の POPRC に付属書Fのすべての情報のリストを満たすよう提案した。 カメルーンは、リストすることに反対しないが、発展途上国は寿命の尽きた自動車の取り扱いに支援を必要とするかもしれないと指摘した。インドは、免除はまた、特に発展途上国の織物の中小企業にも与えられるべきであったと言及した。 オランダは、次のことを強調した:特に管理措置と廃棄物管理の実施影響に関する基準の情報は限定されている;バーゼル条約締約国会議は、締約国の decaBDE 廃棄物の取り扱い経験に関する情報を要求した;及び締約国の実施能力は POPs 廃棄物に関して考慮されるべきである。彼は decaBDE をリストすることを支持すると述べつつ、これらの懸念は会議録に反映されるよう求めた。 日本からのオブザーバーは、COP4で合意された他の4つの BDEs のリサイクル免除の下に現在リサイクルされている製品はまた decaBDE を含んでいるかもしれず、このリスク管理評価(RME)は、他の BDEs のリサイクルに関連する経済的社会的影響に関するどのような議論も含んでいないことに言及した。 臭素科学・環境フォーラム(BSEF)は、”重要な予備品(critical legacy spare parts)”の定義を求め、自動車産業は EU 及び他の地域での要求を満たすために decaBDE を含むいくつかの計器をリサイクルする必要があるので、結論の記述にリサイクルを参照するよう求めた。 アメリカからのオブザーバーは、付属書 A にリストすることを支持し、アメリカは国内法で何が必要であるか決定しなくてはならないと述べ、”狭義でよく定義された”免除を求めた。IPEN は同意し、 decaBDE のリサイクル材料は、”廃棄物の流れを汚染し、そのような材料の発展途上国への移転を合法化する”と述べつつ、リサイクル免除に関してリスク管理評価(RME)草案を支持した。 クウェートは狭義の免除付き付属書 A へのリスティングを支持し、ケニアとスーダンとともに発展途上国が彼らの義務を果たすために発展途上国を支援する必要を強調した。ケニアとスーダンはリサイクル免除に反対した。 インドは織物分野の、特に中小企業のための免除の必要性を繰り返した。 ノルウェーは次のように応答した:修正された草案は、ハイテク及びローテクのオプションを含んで監視と管理及び可能性ある管理オプションに関するかなりの新しい情報を含んでいる;多くの代替が特定されており、多くの供給源で使用されている;そしてアジアの自動車産業がヨーロッパの産業とは異なる必要性を持っているということを示す情報は提出されていない。 リサイクル免除に関して、彼女はリスク管理評価(RME)草案は、一国の文化的、政治的及び経済的状況 が考慮される必要があると述べていることを強調した。 インドは、リスク管理評価(RME)草案中にリストされている代替物質は POPs なのか POP の特性を示す物質なのかを問うた。ノルウェーは、リスク管理評価(RME)のレビュー段階では代替物質の POP の特性を評価していないが、織物産業のためのものを含んで多くの選択肢があると強調した。 インドは、織物産業の中小企業のための免除は問題とならないと述べた。 議長ガスタルデロ・モレイラは小規模グループの問題に目を向けることを提案した。協議の後、事務局はリスク管理評価(RME)草案(UNEP/POPS/POPRC.11/CRP.12)の結論に加えるべき文言の提案を示したが、それは、”発展途上国における織物産業の中小企業に関する情報は非常に限定されているので、彼らのための免除が不必要であると結論付けることはできない”と明記するであろう。 インドは、非 POP 代替の利用可能性を参照する文言の追加を提案し、議長は、”そして、非 POP 代替が利用可能であることに留意する”を加えることを提案した。 POPRC は口頭で修正されたようにリスク管理評価(RME)を採択した。 事務局は次に、織物産業に関連する情報提供の要請を含めるために決議案(NEP/POPS/POPRC.11/CRP.11)を修正する文言提案を示した。いくつかの締約国が文字通りの提案に応じた。 POPRC は口頭で修正されたように決議を採択した。 最終決議:(UNEP/POPS/POPRC.11/CRP.11) POPRCは:
訳注:関連情報
|