J.B.伝説
第4回
いま、なぜかJ.B.(ジジー&ババー)の予感…
J.B.よ生き急げ!
若人は後に続け!
文と写真/平木ニコ
ひらき・にこ
コラムニスト。ニッポン男児普通化計画実行委員会・実行委員長。著作に『コイよ!ニッポン男児普通化計画』(デジタルハリウッド出版局)あり。
J.B.の背に見る平和へのメッセージ

今回リポートするのは、年末年始の期間限定J.B.スポット、世田谷ボロ市である。ボロ市は400年前、関東一帯を支配していた北条氏政が、市場税を一切省いた「楽市」を開いたのが始まりだという。江戸中期頃から、野良着のつぎはぎやわらじ用のボロ布が盛んに取り引きされた為、このような呼び名になった。現代では骨董品や工芸品、食料品等のフリーマーケットとして有名である。そんな「歴史、文化、グルメ」のるつぼとも言えるこの催しに、あらゆる年代の中で最も意識が高いと言われるJ.B.が集わない理由はない。
写真はボロ市にいたカリスマJ.B.の中でも群を抜いて目立っていた、ある淑女のショットである。手編み風のロマンティックなニット帽に、ナイキのメッシュコートを合わせている。これぞ、コンサバ系オシャレ雑誌「ヴァンテーヌ」言うところの、「甘辛」ではないか。また、アバンギャルド系オシャレ雑誌の「GINZA」にも「教科書通りのオシャレはダメ。自分らしいアレンジ、特にはずしのテクニックを駆使してこそ真のオシャレ」といったコメントをよく見る。これはつまりJ.B.が、コンサバとアバンギャルドを自由に行き来できるオシャレジプシーであることの証明とは言えまいか。経験という英知を持つ者のみに許された、小粋な大人の遊び。一朝一夕には真似できない。
J.B.のオシャレの独自性は今まで散々研究してきた。しかし、今回また新たな発見があった。それは時代性である。この淑女のコートに注目して欲しい。ナイキである。ナイキとは何か? 強いアメリカの象徴である。そんなナイキにロマンティックな帽子を合わせる…これは今まさに問題となっているアメリカの攻撃行動に対するアンチテーゼとは言えまいか?「メリケンさん、強いばかりじゃダメよ。もっと優しく、もっと柔らかく」そんなJ.B.の囁きが、入れ歯の端から聞こえたような気がしたが、気のせいか…。
●J.B観察大好きな筆者渾身?の連載。スペシャル版がやりたいです。
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