新・秘宝手帖
第十回目
文と秘宝/池松江美

いけまつ・えみ
辛酸なめ子の名で『千年王国』(青林堂)
。『ニガヨモギ』(三才ブックス)などの漫画作品。
7/18〜9/7まで、NYのグループ展に参加しています。お近くにお立ちよりの際はぜひ…
『カゲキ・メトニミクス(過激な換喩)』
2002年7月18日(木)〜同9月7日(土)
STEFAN STUX GALLERY
住所:529West.20th Street,9th Floor,NY,NY10011
電話:212.352.1600
開館時間:火〜土 12〜6pm (入場無料)
参加アーティスト:秋山ようこ、有馬かおる、ティム・エバンス、かんひろし、木村太陽、キム・キョンヤ、たけだたいぞう、やまぐちあい
参加漫画家:丸尾末広、ねこぢるy、駕籠真太郎、古屋兎丸、辛酸なめ子、 高浜寛

目線グラス

このところ芸能人のあられもないプライベート写真がゴシップ雑誌をにぎわせています。その多くは第三者からの持ち込みだそうですが、一説には写真現像所から流出したというまことしやかな噂もささやかれています。安心して写真に写ることのできない世の中に、セレブの皆さんは戦々恐々としていることでしょう。セレブでなくとも、例えば自主的に全裸モロ出し写真を素人投稿写真雑誌に送る場合は、本当にモザイクをかけてくれるのか、目線を入れ忘れられないか、雑誌が出るまで心配で食事が喉を通らない素人さんもいらっしゃることと思います。
そのような万人の不安感を墨で抹消してくれるのがこの「目線グラス」です。どんな猥褻な場面でもあらかじめこれを付けて目線を入れておけば匿名性が保たれ、不本意な写真が流出する心配もありません。投稿写真を見る側も、興ざめな目線が最初から入っていたと思えばあきらめもつくというものです。他に、心霊スポットで撮影する際なども、目線グラスをかければ編集者の手間を省くだけでなく霊障が軽減されるかもしれません。
さらにこの「目線グラス」には、将来有名になりそうな人と一緒に写真に写る時、(どうせ私なんてあとで目線を入れられる"その他大勢"の一人なんでしょう……)という卑屈な思いをこめてかける活用法もあることも最後に申し添え筆を置きます。

●カエルブンゲイのニッチビジネス? 一発当てたいものです。入稿しながら欲しくなります。どんどん商品化して!
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