2009年2月11日 12:00開演
『 マルグリット 』
於 赤坂ACTシアター


赤坂ACTに行くのは、何年ぶりでしょう。
きっと宝塚花組公演『不滅の棘』以来。
しかも当時はまだプレハブ小屋だった。
いま、自分のレポを観たら(なんて便利!)
なんと千秋楽が2003年4月1日…約6年前!!
そりゃ、お互い年を取るわけだよね…(って誰に向かって言ってるんでしょ)。

まだ「Apasionado!!」千秋楽のレポを書いていませんが、
先にこっちを書いてしまいます。熱いうちにね。

赤坂サカスの、バブルの香りがふくいくとして移ろいませぬ中を進み、
赤坂ACTシアターに入りました。
入り口すぐ、
瀬奈じゅんさん、真飛聖さん、彩吹真央さんから
春野寿美礼さんに向けた胡蝶蘭が並んでいます。
そのほかの大きなお花もいっぱい。

ペットボトルのお茶が250円もしたことにとてつもなくびっくりしたのですが、
でもカフェではなんだか美味しそうなジュースなども売っていたり、
スパークリングワインなんかもあったり☆
客席も段差がそれなりにあって見やすい劇場でした。
プレハブ時にはなかったはずの2階席はどんな感じなのかな。

あ、客席と言えば、
客席に着こうと段差を降りながらふと目を上げた緞帳に、
オサちゃんマルグリットの顔が大写しになっていました。
おお、主役だわね〜、でもちょっと大きすぎるかもね〜、
と感慨深く(?)うなずいたそのとき!
そのマルグリットが大きく瞬きしたのです!!
「こわ!」
…スミマセン、口から漏れました。

そして初っぱなからネタバレして申し訳ありません。
これから観劇予定であまり情報を手にしたくない方は、
とりあえず回れ右してくださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、よろしいかね? はいるひとらー。

…そう、舞台は第二次大戦下のパリ。
ナチスに占領されたヴィシー傀儡政権のもと、
ナチスの将校オットー(寺脇康文)をパトロンに持つ
元歌姫のマルグリット(春野寿美礼)は
周りのナチスにすり寄るフランス人たちとともに贅沢三昧な暮らしを
送っている。
マルグリット40歳(!)の誕生パーティーの日、
パーティーを盛り上げるために呼ばれた
バンドの若いピアニスト・アルマン(田代万里生)は
イギリス軍による空襲の中、マルグリットに想いを告げ、
吊り橋効果よろしく二人は熱い恋に落ちるーー。

アルマンのバンド仲間がレジスタンス活動をしていたり、
ユダヤの友人(アルマンの姉の恋人)をパリから逃がしたり、
といったような時代に絡めたストーリー展開が
飽きさせない、とても面白いお話でした。

以下、キャストごとに感想を。

■マルグリット(春野寿美礼)

「女優」でした(*>_<*)。
当たり前なんだけど。
でも、もっと「春野寿美礼」色が出るのかと思ってた。
ところどころどうしても「明智クン」と思ったり、
「あ、今のすみれチャンぽい」と思ったりしたところもあったけれど、
気づいたら、ナチュラルに「マルグリット」として
世界に入って観ていたです。

だから、情熱的なラブシーンも、実はそんなに違和感なく。
40歳設定の分、「まあ、若いツバメちゃん…☆」とかは思ったけど(爆)。

でもやっぱり、冒頭やラストで
パリ市民の皆様から「裏切り者」「売女」扱いされて
ボロボロにされているのを観たときには
「春野サマになんてことを…!」と手を差し出したくなったり、
ドレスの裾を踏んづけたり
薬を飲もうとして一錠落としちゃったりしているのを観たときには
「ああ、春野さん、変わらない…」と安心したり、しましたよ☆

ああ、後は声、のことも書いておくべきかな。
春野さんのソプラノヴォイス、綺麗なんだけど、
私としては、実はまだもっとできるだろう、春野サン! と思っちゃった(^ ^;;。
春野さんだったらもっと前に声が出るはず、と思うんだけどな…。

 

■アルマン(田代万里生)

ミュージカル初挑戦、なんですよね。
でも、ところどころ棒読みっぽい台詞回しになっちゃう
(「まるぐりっとー!」が可愛かった☆) のを除けば、
舞台度胸も、感情表現もとても良かったと思います。

20代前半の、
青臭い(こういう書き方をする時点で、もう若くないよね私…)愛の理想を
語るあたりとか、
とても似合ってたと思う。
歌声も、正当派なテノールで☆
個人的には、可愛らしい容姿が、
実はお仕事上お付き合いのあるAカントクを思い起こさせるため、
微妙に入りきれなかったりするけれど…(爆)。

こっそり白状すると、
マルグリットをベッドに押し倒した後、
右手がマルグリットの足あたりに行ったので
「きゃ☆」と思…おうとしたら、
その手が一生懸命彼女のスカートをベッドの内側に押し込んでいたのを観、
思わず肩を震わせてしまいました。
私の周囲4名だけ、たぶん笑ってたよね、そこ。
ゴメンナサイ(^ ^;;。

 

■オットー(寺脇康文)

もともと役者さんだものね。
歌についてとやかく言ってはいけないよね。
ちょっとばかし、手をグーにしたくなってしまったけれど、
なにげにオットーもちゃんとマルグリットを愛していて、
私の頭の中では微妙に薫(『夢の浮橋』)とリンクさせて
考えてしまっておりました(*>_<*)。
「♪私とて愛して〜いた〜」みたいな。

 

■アネット(飯野めぐみ)

アルマンのお姉さん。
ユダヤの恋人を持ち、バンドの仲間とレジスタンスに参加する彼女。
ある意味、一番感情移入しやすい役かもしれない。
やっぱり弟を置いて、パリを離れることは、できない、よね。

けっこう地声でガツンと歌うシーンなどもあって
とても上手かったです☆

 

■ルシアン(tekkan)

…「学研」みたいなお名前なのね(^ ^;;。どうでもいいですが。

アネットの恋人の、ユダヤ人。

というか、本当にマルグリットとアルマンを破滅に導く、
周りの人たちの逃げ切れない状況、という作りが上手かった。
もう一人、ちょっとちゃらんぽらんな、ピエロ(山崎裕太)の不注意で
ルシアンがユダヤだとばれ、
一緒にパリから逃れようとするも、
マルグリットに熱を上げているアルマンを置いていくことはできない
お姉さんはパリに残ってレジスタンスの手伝いをしようとする。
アルマンの危険を知った彼女が
危険を知らせようとアルマンのアパートに行くと、
そこに、ナチスが…。
そして暴行を受けている彼女を助けようと、
マルグリットがオットーに対して交換条件を出し…。
…次々と展開していく伏線に、
本当に息を詰めて見入っておりました(*>_<*)。

オサちゃんの女優デビュー作、
いい作品に出会ったね、と心から思えましたよ。
いい意味で、一気に「女優」になじんだ。
最初「情熱的なラブシーンが」と聞いたときには、
ファン(私もファンだから)の目から観て
「女」である彼女を受け入れることができるのか、と
こっそりドキドキしていたのですが、
本当にナチュラルに「マルグリット」として観ている自分に気づいて、
ああ、これはすごい、成功だな、と思ったわけでございます。
正直、宝塚時代よりも「役」に入っているのかもしれない、くらい。
うん、素敵でした(*^ ^*)。

 

fin