影響力は持ちたいが責任はとりたくないという
                             国の身勝手

 大阪府下で大阪市と高槻市の2市だけが、公営交通として市バスを運営しています。高槻市ではこの市バスを利用して、70歳以上の高齢者を対象として1972年(昭和47年)、「高齢者の社会参加の促進」「生きがいづくり健康づくり」を目的に発足した市民サービスとして、70歳以上の方が無料で乗れる「敬老無料パス制度」を行ってきました。このサービスを市税収入の減少、民生費の増大という財政的理由と、一部の高齢者しか利用していない不平等感の是正、いわゆる「受益と負担の原則」のもと見直し、1回乗車につき100円、1ヵ月1000円のシルバーパスの有料化という見直し案が、6月議会に提案されます。可決されれば、今年の10月1日からの実施となります。
 私はこの見直し案には反対ですし、論点をぼかしたような市の説明、提案の仕方に納得することができません。現在、市バス会計には市の補助金が年間6億円使われています。
 このような敬老パス制度は、公営バスを持つ全国の市町村で実施されています。そもそもこの補助金がなぜ使われているかといえば、京都市などが市バスを運営する企業局(市の外郭団体)が赤字でどうしようもなくなった際に、一般会計からお金を企業局に持ち出す手法として福祉施策を口実に使ったのを、全国の公営バスを持つ市町村がまねをしたのです。ですから、市バスを維持するためで純粋な福祉施策としての補助ではありません。何故こんな回りくどいことをしなければならないのか? 私は、必要ならば福祉施策にかまけた補助金ではなく市バス維持のためと位置付けて補助金を使うべきだと思います。そうすれば、市バスが本当にいるのか、といったストレートな議論になるのですが、でもできないのです。
 国は、各市町村の一般会計から特別会計、公社、企業局等への持ち出しを良しとしません。一般会計から持ち出すと「赤字の補填が出来るほど一般会計が潤沢なら交付金はいらないでしょう」といって、交付金や補助金をカットしてくるからです。だから、各市町村はこういった手法を使わざるを得ない仕組みです。そのくせ、責任が持てなくなった国保特別会計については、いくら一般会計から持ち出しても文句を言いません。それどころか、今年度からは国の負担率を下げて、その分を都道府県に押し付けることを決めました。
 三位一体改革、地方分権といいながら、各市町村に対しては影響力を持ちたいが責任はとりたくないという国の身勝手には頭にきます。各市町村の今議会には一斉に国保条例の一部改正がだされていますが、私も議会でこの国の身勝手さを批判しなければと準備をすすめています。    
                              (高槻市議・松川泰樹)