《特集》A北朝鮮の核問題―基本的な変化は
見られず
北朝鮮情勢はこの間、小幅な動きはあるものの基本的な変化は見られず、米朝間の腹の探り合いが続いている。北朝鮮側は韓国を通じて米側に妥協点を提示しているが、対米交渉における「瀬踏み」であると同時に、米韓の間に楔を打ち込む意図が窺われる。米側も韓国との「基本原則の一致」を強調するなど抱き込みを図っており、その結果、米朝間で韓国が板挟みになる構図が浮上した。
◇北朝鮮、6者協議に復帰の意向、期日示さず
マコーマック米国務省報道官は7日、6日の米朝接触で、北朝鮮が期日を示さずに6者協議に復帰する方針を米国に伝えていたと公表。また、北朝鮮が米国に「核保有国」としての認知と、相応の処遇を求めていたことが判明。◇北朝鮮「6者協議再開は米国次第」
北朝鮮外務省報道官は8日、6者協議復帰には米国の譲歩が必要とのコメントを表明。
◇北朝鮮外務次官、「核保有」改めて強調
北朝鮮の金桂冠外務次官は8日放映された米テレビで、「我々は米国の攻撃から身を守るのに十分な核爆弾を持っている。個数は秘密だ」と言明。
◇中国「北朝鮮の核開発、把握せず」
中国外務省の劉建超副報道局長は9日、北朝鮮の核兵器保有について、「北朝鮮が核兵器を開発しているとの状況は了解していない」と言明。
◇北朝鮮の核、安保理は「今後の話」 米大統領
ブッシュ米大統領は8日のテレビで、北朝鮮の核問題について発言。安保理での制裁論議について「今後の話だ」と語り、中国のより一層の努力による外交解決が可能との見方を強調。
◇北朝鮮、6者協議復帰で2条件(10日)
6日の米朝接触で、米国が6者協議復帰の最終決断を遅くとも7月半ばまでに下すよう要求、北朝鮮は@ライス米国務長官の「圧政国家」発言撤回、A金正日体制転覆を狙わないとの確約〜の2点を協議復帰への最終条件と示唆したことが判明。
◇米韓首脳会談、強固な同盟強調(10日)
ブッシュ米大統領と韓国の盧武鉉大統領は会見で、両国間に若干の見解の相違はあるが、北朝鮮の6者協議への早期復帰という基本原則では一致していると強調。
◇脱北記者、米大統領と異例の会談
北朝鮮を脱出して韓国に亡命し、韓国紙の記者になった姜哲煥氏が13日、ブッシュ大統領の招待でホワイトハウスを訪問。
◇「金総書記、正気かどうか知らない」
ライス米国務長官は13日のテレビで、金総書記は正気と思うかとの質問に「分からない」と回答。「北朝鮮の政権が核兵器開発を続けながら、国民が栄養不良に対処するため、食糧支援に完全に依存しているのは悲しむべきことだ」と批判。
◇米国務次官補、北の人権問題重要
6者協議の米国首席代表・ヒル国務次官補は16日、「米朝対話が活性化されれば、人権問題が重要な議題の一つにならざるを得ない」と言明。
◇金総書記「6者協議に7月復帰も」
北朝鮮の金正日総書記は17日、韓国の鄭東泳統一相と平壌で会談。「米国が我が国を相手として認め、尊重するなら、7月中にも6者協議に復帰する用意がある」「体制の安全の保証が貫徹されれば、核兵器を持つ理由がない」と言明。▼これに対して、エレリ米国務省副報道官は「我々はいかなる前提条件も受け入れない」と反応。
◇米国務長官、圧政国家発言撤回せず
ライス米国務長官は19日、北朝鮮が6者協議復帰の条件として撤回を求めている「圧政国家」発言について「北朝鮮の体制の本質は自明だ」とし、撤回しない考えを表明。
◇「米と国交ならミサイル廃棄」金総書記
韓国の鄭東泳統一相は20日、金正日総書記が17日の会談で「米国と国交正常化し米国が友邦になれば、ミサイルはすべて廃棄する用意がある」と述べたと公表。
◇北朝鮮、韓国に肥料の追加支援を要請(20日)
◇南北閣僚級会談、共同会見で合意発表(23日)
「朝鮮半島の非核化が最終目標」との原則を再確認した上で「雰囲気が整えば、核問題の平和的解決に向け実質的な措置を講じる」と明記。韓国側は北朝鮮への食糧支援を約束。
◇米政府、北朝鮮に食糧支援
エレリ米国務省副報道官は22日、米政府が「北朝鮮の困っている人々を支援する目的」で、世界食糧計画(WFP)を通じ、北朝鮮に5万トンの食糧を支援すると発表。
◇北朝鮮で食糧危機
WFPは24日、緊急援助を要請。北朝鮮では経済改革の影響で穀物価格が高騰。政府は国民への食糧配給を段階的に減らしているという。