日韓首脳会談でも「靖国」
            -自ら招いた“八方塞がり”


 6月20日、ソウルで行われた日韓首脳会談は、2時間のうち1時間50分が歴史・靖国神社問題に費やされました。「会談内容」が翌日の新聞で紹介されましたが、やり取りの中身は伏せられたままでした。中身が激しすぎて詳細をおおやけにできなかった、というのが真相でしょう。
 小泉首相は、事の真相を国民に対して明らかにすべきであるにもかかわらず、いまだに口をつぐんだままです。彼に何かやましいところがあるのではないかと、疑わざるを得ません。
 日本がサンフランシスコ講和条約に調印して国際社会へ復帰した以上、極東軍事裁判で下された判決を否定することはできません。東條英機ほかA級戦犯7人が死刑判決を受け、処刑されましたが、靖国神社側は彼らの霊を祀りました。これに首相が参拝することは、公式であれ非公式であれ、外国からサンフランシスコ講和条約否定と受け取られても、日本に弁解の余地はありません。
 東北アジア地域の中でも、我が国と最も近い中国と韓国。これらの国々と仲良くできないで、「北東アジア共同体」など、戯言(たわごと)に過ぎません。今年10月、ハノイでAPEC首脳会議が開かれることになっていますが、ここで北東アジア地域共同体形成の話を進める絶好のチャンスあるにもかかわらず、彼は自ら潰してしまいました。
 小泉首相は自民党内における自らの支持基盤を弱さから、遺族会など右派勢力との依存度を強めざるをえません。従って、彼がこの党内の支持基盤を固めようとすればするほど、日本と近隣諸国との摩擦を強めざるをえません。 (渡辺)