関西よつ葉連絡会の田中事務局長(左)
ドゥレ生協連合会の金起燮常務理事(右)
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活動報告―韓国ドゥレ生協訪問(上)


協同の関係は矛盾の中でこそ進化=深化する

 去る4月はじめ、関西よつ葉連絡会が、この間交流を続けてきた韓国ドゥレ生協と、今後の交流関係について打ち合わせをする機会に同行し、韓国を訪問した。世界金融危機の影響を受け、厳しい景気が続く韓国。しかし、そんな中でも生協は成長し続けているという。変化の過程にある韓国の生協について、ドゥレ生協連合会の金起燮(キム・キソプ)常務理事にインタビューを試みた。


成長する韓国生協

 【研究所】昨年ドゥレ生産者会(注1)がよつ葉を訪問された際に、ドゥレ生協が伸びていると伺って、驚きました。

 【金氏】昨年は40%伸びました。今年に入ってからは12~3%です。組合員実数としては、昨年の12月で6万数千人あたりです。といっても、うちだけではなく、韓国の生協全体が伸びているんです(やや古いが、表を参照)。韓国の生協はまだ若いですから。

【表】韓国生協組織の供給額および組合員現況

      (単位)供給額=百万ウォン、増加率・年平均=%、組合員数=人
区  分 2006 2007 2008 増加率
年平均 '08/'07
供  給  額 ハンサルリム 93,592 108,955 132,598 19.0 21.7
iCOOP生協連合会 73,407 94,220 130,150 33.2 38.1
ドゥレ生協連合会 31,707 30,285 36,815 16.1 21.6
民友会生協 7,479 8,604 11,352 23.2 31.9
その他 18,107 19,882 23,839 14.7 19.9
合 計 224,292 261,946 334,754 22.2 27.8
組  合  員  数 ハンサルリム 132,787 147,339 170,793 13.4 15.9
iCOOP生協連合会 30,725 34,674 54,660 33.4 57.6
ドゥレ生協連合会 37,670 37,157 44,575 8.8 20.0
民友会生協 12,911 14,382 17,187 15.4 19.5
その他 31,795 33,957 37,420 8.5 10.2
合 計 245,888 267,509 324,635 14.9 21.4
(注a)iCOOP生協連合会の2006、2007年の組合員数は組合費組合員(19,971人、22,538人)を含めた推定値。
(注b)iCOOP生協連合会の供給額には(組合費)組合員外への供給額を含む('06年約204億ウォン、'07年約   267億ウォン、'08年約450億ウォン)。
(注c)ハンサルリムの2008年供給額には学校給食事業供給額約10億ウォンを含んでいない。


【出典】趙完衡氏のブログ『Local Organic Foods Sharing』http://blog.naver.com/lofsism/60063031934

 【研究所】一昨年からの世界金融危機の影響で、世界的に厳しい経済状況が続いています。日本では、不況の中で切り詰めるのは、まず食べ物です。たぶん韓国でも同じだと思いますが、その中で伸びているというのは不思議です。

 【金氏】韓国の生協は、成り立ちの面で日本の生協とはちょっと違うところがあります。扱っているものも違います。日本の生協はもともと労働者の生活防衛といった面が強かったと思いますが、韓国の場合は安心・安全というところから出発しました。だから、もちろん不景気の影響もありますが、一昨年の米国産牛肉反対運動に象徴されるように、一般市民も含めて社会全体の食べ物の安全に対する関心が高くなってきた結果ではないかと思います(注2)。

 【研究所】日本では、一昨年の中国製冷凍餃子の中毒事件に象徴されるように、生協に対する信頼は低くなる一方です。それに、社会全体の関心が高くなったとしても、実際に買える人と買えない人がいる。やはり、生協で買えるのは相対的に収入が高い層です。これは韓国でも同じだと思います。
 一方、社会全体の食べ物の安全に対する関心が高くなれば、そこに「ビジネスチャンス」を見出して、一般の食品流通業界でも「安心・安全」を売りにする動きがあると思います。

 【金氏】たしかに、一般の食品流通業者も安全・安心を打ち出して、どんどん市場に入り込んでいますが、いまのところは、まだ生協のほうが勝っています。一般の流通業者は厳しいです。生協の伸び率とは全然比較できないくらいです。

 【研究所】そこは何が違うんでしょうか。

 【金氏】むしろ、外から見て比較していただきたいですね。我々はいつも業界の中で動いていますから。

 【研究所】先ほど「まだ若い」と言われましたが、それだけではないはずです。一般の食品流通と同じような道を歩む日本の生協に比べて、韓国の生協は民主化運動の歴史を引き継ぐ形で、対抗的な価値を模索する側面が非常に強く、それが信頼感につながっているように思います。

 【金氏】そうかもしれません。ただ問題は、そうした歴史を体験しているのが30代後半までだということです。昨日、ある人と会って話をした際に、最近はいわゆる「左」と「右」の区別が、我々の世代とは違うという話題が出ました。最近の若者からすれば、「右」は自分の将来の生活安定を願って、そのために安定した職場を探しているような人。それに対して、「左」は将来に向けて何かに挑戦するような人だそうです。(笑)

 【研究所】たしかに、それだけ急激に伸びると、品物の供給など実務的にも大変でしょう。それに、新しい人を入れた場合、それまで発足のときから一緒にやってきた人なら、事業に関する考え方について共有できていたとしても、新しく入った人には伝わりにくい場合も多い。組合員も、古くからの人と新しい人ではかなり違うはずです。そうした中で、困った問題も出てこざるを得ないと思うんですが。

 【金氏】そうです。昨年、組合員が増えて供給額が増えたのはいいことですが、職員がそれについていくには、かなり厳しい面もあります。そのあたりを、鄭燦珪さん(注3)のような立場の人が面倒を見てくれています。それから、供給についていえば、韓国の場合はいまのところ、需要よりも供給の方が多い状態でなので、新しく組合員が増えても、その組合員に供給できないということは、現状ではありません。

 ただ、いろいろと頭の痛いことはあります。今年に入って、連合会と生産者会を含めて職員を6人ほど新しく採用しますが、それは職員全体の20%くらいに相当します(単協は別)。しかし、新しい人でも確保しなければならない。また、組合員も、新しい組合員がドンドン入ってきて、昔の組合員とは生協の扱っている品物に対する考え方も、組合員という立場に関する考え方も違う。


変化する状況の中で

 【研究所】よつ葉の場合も、もともと社会運動の一環として産直事業を始めたわけですが、事業の源流を開拓した世代は徐々に亡くなり、それを実務的に拡大していった世代も還暦を迎えつつあります。それ以降の年代は、そもそも社会運動の体験がない世代です。最初から産直事業が存在していて、それと社会運動とのつながりが見えているわけではない世代が中心になってきた。

 【金氏】昨日用事があって、韓国のお嬢さん学校と言われる梨花女子大に行きましたが。学校の中に映画館や劇場があるし、スターバックスも入っている。そんな中でお嬢さんたちがアメリカのコーヒーを飲みながら、アメリカの映画を見たりしている。一方、そのスターバックスで安い賃金でアルバイトをしているのは、同年代の若い女性たち。そんな光景を見ていて、そういう嬢さんたちが生協の組合員になったとき、生協はどうなるんだろうかと思いました。

 【研究所】そうした変化について、古くからの会員さんの中で問題意識を持って何か議論をしていこうというような動きはあるんですか。

 【金氏】ないですね。

 【研究所】ドゥレ生協では、職員向けに定期的な学習や研修をされていますか。

 【金氏】定期的に学習会などをやることはありません。単協の職員を年に二回ぐらい集めて研修する場はあります。しかし、それはあまり役には立たないだろうと思っています。仕事を通じて学ぶということが基本であり、職場の先輩がどのように仕事をさせるのかというところで、後輩が生協や協同組合というものを学んでいくのではないでしょうか。
二人 職員が日常的に生産者と組合員に挟まれて苦労しているのは確かです。にもかかわらず、自分がやっている仕事の大切さ、何を目指しているのかについて、言葉ではなかなか表現できないかもしれませんが、少しずつ身体で理解しているのではないかと見ています。給料だけで見れば、こういう仕事はなかなかできないと思います。

 【研究所】ドゥレ生協は2004年に、ある程度経済的に落ち着いた段階で、改めてアイデンティティを考え直そうという試みをされたわけですが、それ以降、新たなアイデンティティに基づいて順調に進んでいると思われますか。

 【金氏】それは、どの程度の時間幅で見るかによって変わってきます。私は非常にのんびりした性格ですから、長い眼で見て順調に行っていると思っています。例えば、この間、組合員が増えていますが、我々が宣伝をして入ってくるというより、組合員の方から寄ってきたというのが実際です。逆に言えば、営業の力は強くないわけですが、でも、一方で生協はそうでなければいけない、自分で宣伝しなくても自分がどんなものなのか社会的に表現できれば、それでいいと思います。

 【研究所】日本の場合は逆ですね。最近も、首都圏の大手生協が合併協議を始めました。関西でも、これまで関東中心だった生協の事業連合が拡大して、大阪や京都の比較的小さな生協が次々に組み込まれています。いくら老舗でも、規模拡大で効率化しないと生き残れない状況のようです。

 【金氏】私はときどき「進化」という言葉を使いますが、進化というのは、前に進むということです。しかし、それだけではなくて深まることも「深化=進化」だと思います。深まらないと組織は滅びる。のんびりするのもいいですが、深まらないとだめだと思っているんです。

 【研究所】そうですね。よつ葉の特徴は、やはり生産・加工と流通が一体という点ですが、それがモノを売り買いするだけの関係に収まってしまえば仕方がない。都市の消費者が少しでも土に触れたり、野菜を作ったり、場合によっては自ら生産者にもなるような、生活そのものを見直したり変えていくことを追求していきたい。それが、「深化=進化」だと思います。だだ、その点を伝えきれているかという問題がありますが……。


矛盾を楽しみつつ

 【研究所】ところで、一般に生産・加工と消費・流通の間には矛盾がありますね。簡単に言えば、前者は「いいものは高い」、後者は「いいものを安く」という立場です。現在では、ほとんどが消費・流通の優位で進んでいます。日本の生協も、そうした傾向と無縁ではありません。よつ葉の場合、生産・加工と消費・流通が一つのグループ内にあるため、そうした矛盾も内部に抱えることになります。ドゥレ生協も、昨年、ドゥレ生協生産者会がドゥレ生産者会になるといった形で、流通・消費のドゥレ生協と生産・加工のドゥレ生産者会とを対等な関係にしていく方針が鮮明になっています。そこで、生産・加工と消費・流通からくる矛盾について、どう対処されていますか。

 【金氏】私はむしろ、そうした矛盾を楽しみにしています。そうした矛盾を解消してしまえば、「進化=深化」しないのではないでしょうか。それぞれの立場と役割があって、それを一緒にしてしまっては、協同の関係は成り立たない。しかし、それぞれの役割が分業化してしまうと、これも協同の関係にはならない。また、そうした多様な役割をどうまとめるか、という問題もあります。上から力でまとめるのか、それぞれが自発的に結びつくのか。残念ながら、私には上からまとめるような力はありません(笑)。

 ドゥレ生協連合会は、常務理事の私がいて、企画管理部、物流部といった部署があり、その下に総務や各地区といったチームがあるという組織構成になっていますが、来週行うミーティングでは、部長を外して、私と各チーム長が直接議論する形にする予定です。しかし、私は「ああしなさい、こうしなさい」と言うつもりはありません。それぞれの役割が集まって、全体として力を発揮するには、各自が各自の立場から全体を見るしかない。そんなことを話そうと思っています。もちろん、生産者組織と消費者組織があって、モノの売り買いをしている以上、「高い、安い」といった問題はあります。それが、今後どうなるかは分かりませんが、少なくとも現在のところ、お互いが「ここは守らないといけない」というラインを共有していることは確かです。そうした信頼関係はあります。

 ドゥレ生協が進もうとしている道が正しいのかどうか、決して確信があるわけではありません。最初にお話ししたように、韓国の生協をめぐる情勢は大きく動いています。最近、韓国の生協法が改定されて、連合会も法人格を持てるようになりました。そうした中で、既存のいくつかの生協組織は、これまで以上に色合いの違いがはっきりしてくるだろうと思います(参考資料①)。

 この前、ある単協に行って組合員と話をしたときに、競争に負けてはいけないとは思うが、競争に負けないように内部を競争の原理で動かすことがいいのか、協同は競争に勝つための方法なのか、そんな話をしました。おそらく、今後はそうした問題がさらに具体的に問われてくるだ老と思います。

 【研究所】現在のようにグローバル化が進み、競争が激化する状況だからこそ、仲間が力を合わせてともに生き延びようという協同組合の原点が重要になってくると思います。


変化する状況の中で

 【金氏】私がよく紹介する実例があります。ある組合員のところに注文した野菜が届いたけれども、痛んでいて食べられたものではなかった。当然、単協にクレームがきました。しかし、その組合員は最後に「でも、生産者にはきつく言わないでほしい」と言ってくれたんです。これこそ、私たちの協同組合運動の成果だと思います。

 生協は都市住民の運動として始まることが多く、それ自体は良いも悪いもありません。しかし、都市住民が協同して生き延びようとしても、自分たちだけでは完結できない。とすれば、誰と連帯しなくてはならないか、というところに行かなければだめだと思います。

 【研究所】その点は、一昨年に訪問した際、生産現場を拝見して、よく理解できました。ところで、その際にお会いした李震善(注4)さんが、生産者会の会長に就任されたとのことですが。

 【金氏】就任早々、「もうそろそろ生協に納入する品物の価格をわれわれが決める時期ではないか」と言われました(笑)。そういう話が出てくるのはいいことだと思います。問題だとは思いません。矛盾を楽しんでいますから。苦労するのは鄭さんです(笑)。

 昨年、原州というところで生産者会の皆さんが出資して精米所を作りました(参考資料②)。小規模なものですが、周辺地域でわれわれの生産者が無農薬・有機栽培で作っている米を、ほかのものと混ぜずに精米したいということで、作りました。それに加えて、精米の際にでる米ぬかなどを田んぼに戻す、循環の仕組みもできました。その精米所は、李さんの家の近くにります。李さんは原州の生産グループの代表でもあるので、気になって仕方がないようで、毎日のように訪れているとのことです。「これまでは相手と闘うためにがんばってきたが、これからは経営をしなければならない」とおっしゃっていました。

 私は生産者会の今後を楽しみにしています。韓国の農民運動は確かに強いですが、これまで農民が一緒に作物を販売する組織を作ったとしても、会計などはドンブリ勘定で、きちんと経営できたためしがありませんでした。そこで昨年、鄭さんをはじめ生産者会の事務局が、全産地の生産者組織を訪問して、理事会をきちんと開いたり、会計をしっかりつけるように説得して回りました。

 韓国では1月1日から12月31日までが会計年度ですから、ほとんどの生産者組織は2月に総会を開きます。これまで総会をすることすら、ほとんどありませんでしたが、今年はすべて総会を開くことができ、会計報告もできました。実際、私も2月から3月中旬にかけて30ヶ所ぐらいの総会を回りました。生産者としては初めての経験だからということもあるでしょうが、誰もが「われわれにもできるんだ」と誇りを持っていることが分かりました。そういう自尊心が生まれたのは、やはり組織の力だと思います。

 もちろん、それだけ生産者会の事務局は大変で、一週間のうちで家に帰れるのは二日くらい、あとは各地の産地に行って、総会の開き方や会計のつけ方などを全部やってきた。

 そこからはじめて、昨年から少しずつ具体化してきましたが、農民組織が市場(店舗)を開設し、その市場の経営をするという事業を始めています(参考資料③)。ドゥレ生協としては、事業が成り立つためにほんの少しの支援はしますが、事業の責任主体はそこの生産者組織です。それがうまくいくようにバックアップするのも、鄭さんをはじめ生産者会の事務局の仕事なんです。 (終わり)


【注】

 (1)2003年にドゥレ生協生産者会として設立され、2008年に「社団法人・ドゥレ生産者会」となる。ドゥレ生協に納入する生産者の組織で、会員は500人。ドゥレ生協とドゥレ生産者会は消費者組織と生産者組織として、相互に自立しつつ連帯するという関係を目指しているという。納入金額の1%を出資金として積み立て、生産者会としての各種事業に充てている。

 (2)2008年5月から8月にかけて、BSE(牛海綿状脳症)のため輸入を中止していた米国産牛肉について、李明博政権が輸入解禁の方針を表明したことから、若年層を中心に大規模な反対運動が発生し、首都ソウルの中心地で断続的に万単位の集会やデモが続いた。ちなみに、今回の訪問でたまたま空港のハンバーガーショップ(ロッテリア)を覗いたところ、「豪州産」などの輸入物ほかに「韓牛(国産牛)」のカテゴリーがあり驚いた。もちろん、日本の店舗には、そうしたものはない。

 (3)元ドゥレ生協連合会の物流部長で、現在は(社)ドゥレ生産者会の事務局長を務める。今回の訪問でも大変お世話になった。

 (4)韓国生協運動発祥の地・原州にある原州生協生産者会の理事であるとともに、韓国農民運動の本流「カトリック農民会」の指導的活動家。本誌第55号(2008年8月)参照。なお、原州生協生産者会は、昨年7月「農業会社法人・原州生命農業」を設立した。




【参考資料①】

【出典】韓国の週刊誌『時事IN』(電子版)
        第113号、2009年11月19日

ローカルフード、民衆基金 生協はいま進化中

 狂牛病・メラミン騒動以後すくすくと成長した生協が新たな挑戦に直面した。大企業が親環境市場をもの欲しげに見ていることだ。大きくなった図体に相応しい力量の強化も生協の当面の課題である。(金ウンナム記者)

 麦畑に風が吹く。新麦が波打つ。日差し受けた新麦はキラキラ光る。麦畑の間をした子供が走っていく。その上に字幕が浮び上がる。「国産麦に私たちの未来があります。」

 ここまで見れば、間違いなく農村再生キャンペーン広告のようである。ところが、そうではない。パリバゲット(訳注1)、ダンキンドーナツ、ベスキンラビンス(訳注2)など、おなじみの大企業ブランドが続いて登場する。「国産麦愛、SPCがお供します」という文句とともに。SPCグループはこれらのブランドを率いる専門食品企業だ。昨年、国産麦加工専門業者の「ミルダウォン」を買収し、本格的に国産麦市場に飛び込んだ。

 SPCグループだけではない。CJ第一製糖、東亜園など大企業もまた、国産麦事業に視線を転じた。製粉・飼料専門業者の東亜園は、来年までに国産麦市場の占有率を60%の水準に引き上げると発表した。昨年「国産麦のチヂミ粉」等を発売して人気を呼んだCJ第一製糖もまた、2014年までに国産麦加工事業を1200億ウォン規模に育てると発表した。

 振り返れば、驚くべき反転である。昨年まで国産麦の自給率はせいぜい0.3%だった。さらに、その程度であっても国産麦が命脈を維持してきたのは、生協や民間団体などの助けが大きかった。とくに生協は、組合員が国産麦の生産に必要な麦の買い入れ資金を集め、生産者(農民)に一年前に予め渡す形で契約委託栽培をすることにより、農家が安心して国産麦を植えられるようにしてきた。こうして守ってきた国産麦を大企業がもの欲しげに見始めたのだ。今年の麦の自給率は、昨年より二倍以上高い0.6%に達すると見られる。

 これを眺める生協の内心は複雑だ。ハンサルリムの趙完衡常務理事は大企業の国産麦市場への進出を歓迎するとの意向を示した。「国産麦が自立する基盤の強化に寄与すると思う」とのことだ。しかし、警戒する声も聞こえる。この間に始まった国産麦の仕入れ競争からして、資金力の弱い生協には負担である。東亜園は韓国国産麦農業協同組合と購買契約を締結し、来年の国産麦1万5000トンの買い入れを完了したと10月初めに公表した。最近、全羅南道と国産麦産業化のための業務協定を結んだCJ第一製糖は、2010年の国産麦の仕入れ量を今年の5000トンから1万2000トンへ二倍以上に増やした。二つの業者の仕入れ量だけ数えても、今年の国産麦の生産量(2万2000トン)を軽く超える。この過程で、生協と契約した一部の農家が別の取引先に麦を処分し、必要な仕入れ量を確保するのに困難を経験することもあると、iCOOP生協連合会の呉恒植事務局長は語った。

 大企業と生協の間に広がった「国産麦神経戦」は、2009年の生協の現住所を象徴的に示している。国産麦だけではない。生協の主力品目だった親環境農産物市場にも、大企業が積極的に飛び込んでいる。大型マートや企業型スーパーマーケット(SSM)に行けば、親環境農産物コーナーを簡単に目にすることができる。2008年の親環境農産物の市場規模は2兆4000億ウォンに増えた。農産物全体の7.8%の水準だ。

 もちろん大企業が飛び込んだからといって、生協の位置づけが直ちにぐらつくわけではない。逆に、ここ数年の生協の躍進は目覚ましい。韓国生協の長兄格であるハンサルリムは、年内に組合員数20万人を突破する見通しだ。ドゥレ生協連合会の金起燮常務理事は「昨年の狂牛病・メラミン騒動以後、組合員数も売上額も40~%近く跳ね上がったのに続き、今年の思わしくない経済条件にもかかわらず、その増加傾向が全く弱まらず、私たち自身も驚いた」と述べた。

 それでも、生協の悩みはこれから始まる。変化する状況に対応しようとする生協の動きも、また活発だ。一部では、この過程で国内生協の分化が本格的になされる、との展望も現れている。ハンサルリム、iCOOP生協連合会、ドゥレ生協など三大主要生協が選択した三つの生存法を調べてみよう。


iCOOP生協連合会-大企業と勝負する

 今年9~10月、iCOOP生協連合会(アイコープ)の高ソンオク事務管理チーム長は、電話機にしがみついて過ごした。アイコープ組合員らに逐一電話をかけ、「組合員特別増資」を説得しなければならなかったためだ。他の生協と同じく、アイコープに最初に加入するためには3万ウォン以上の出資金と別途の組合費を出さなければならない。ところが、出資金をさらに出してくれと言うのだ。なぜか。

 組合員特別増資は、アイコープが野心満々で投げかけた勝負の賭けだ。1998年に「21世紀生協連帯」という名前で発足し、昨年に名前を「アイコープ」に変えたこの生協が、全組合員を相手に出資金増資運動をしたのは、今回が初めてである。最大の理由は、大企業、その中でもとくに大型流通企業に対抗して生き残るための「実弾」を確保するためだ。「生協も一定の規模を整えてこそ、店舗や生産者・消費者を大型流通企業に奪い取られない」と呉事務局長は語った。

 アイコープは、生協の中でも攻撃的なマーケティングで知られる。アイコープが標榜するのは「庶民も安い価格で安心して利用できる生協」だ。アイコープは、店舗のインテリアや陳列にも精根を込める方である。「大型マートのようなものに慣れた大衆を引きつけるためには、私たちが目の高さを合わせる必要があると判断した」と呉事務局長は言う。10坪の売り場よりは精肉店・パン屋・食料品店を一つの場所に集めた大型店舗を好むのが一般大衆の現実であり、ならば生協がそうした欲求を受け入れるべきだ、というわけだ。2009年10月末現在、アイコープの店舗は全国で70ヶ所に達する。2007年に最初の店舗を開いた生協としては、目覚ましい成果を上げたと言える。

 アイコープは、一般企業とは違った脈絡で「規模の経済」を指向する。呉事務局長は「最低でも生協組合員が50万世帯以上になってこそ、安定した基盤を持つことができる」と言う。2000万以上の世帯が生協に加入しているという日本ほどではなくとも、ある程度の規模になってこそ、生協が私たちの社会に意味ある経済的な潮流を形成できるということだ(9月末現在アイコープ組合員は7万5000人余りである)。アイコープはまた、流通構造の革新によって大企業とも対抗し得る価格競争力を確保するという構想を実現中である。2011年までに忠清北道槐山郡に「親環境有機食品クラスター」という物流・生産拠点をつくり、生協物品の価格および品質競争力を極大化するとアイコープは表明した。

 その場合、問題は資本である。ところで、生協は株主と消費者とが別々に存在する構造ではない。生協組合員は、株主であり消費者である。したがって、こうした構造を整えるのに主人である組合員自ら乗り出してほしいと訴えることになった、と高チーム長は語った。このように安定した構造を整えることによって得られる利益は、株主であり消費者である組合員に戻ってくる。

 アイコープの特別増資は111月中旬に終わる。アイコープは、今回の特別増資に組合員6万人ほどが参加し、総額約18億ウォンを集める見通しだと明らかにした。大企業の資本金に比べれば取るに足りない金額だが、呉事務局長は、これが秋季の仕入れ資金不足を解消し、生協財務の健全性を高めるのに多いに役に立つと述べた。アイコープのこうした攻撃的な経営方式は、他の生協の批判対象になることもある。大企業を真似ているとの皮肉もたびたび聞こえる。しかし、市場状況が変わった場合、いつでも農民を利用して捨てることができる大企業と違い、生協は得た利益を生産者と消費者が等しく分けるという信頼があると、アイコープ組合員の金ジウォン氏(37歳・主婦)は言う。今回100万ウォンの増資を約定したという金氏は、「未来に投資するという考えで増資に参加した」と述べた。


ハンサルリム-長いスパンで眺める

 10月末現在、全国のハンサルリムの組合員数は19万270人である。1986年、ソウルの祭基洞あった米屋(ハンサルリム農産)から出発したハンサルリムが、組合員20万人時代を目前にしているわけだ。

 通常の企業なら沸きかえりそうな事件だが、実際、ハンサルリムは静かである。「ここ数年間にハンサルリムが急成長したのは、私たちが上手にやったからというよりは食品の安全をめぐる騒動など外部要因のおかげが大きかった。今は逆に、私たちの内部の力量と限界を振り返る時だと思う」。ハンサルリム附属モシムとサルリム研究所の鄭キュホ研究員は、そう語った。去る10月28日、南山文学の家で開かれた「ハンサルリム宣言20周年記念集会」は、こうした自省を確認する場であった。

 「ハンサルリム宣言」は1989年故・張壱淳先生とハンサルリムの朴才一会長、詩人の金芝河氏、崔ヘソン氏の四人が発表したものであり、ハンサルリム運動の方向を提示した一種の憲章と言える。「市場経済というのは、お金を大事にするものであり、生命を大事にするものではない」という張壱淳先生の一喝が表わすように、ハンサルリム宣言はそうした市場経済が必然的に追い込む文明の危機状況を予測し、その代案を模索する内容になっている。

 親環境市場をめぐる競争が激化する状況でも、むしろハンサルリムは「君も私も親環境を叫ぶ時代」の裏面に注目している。趙完衡常務理事は「今のまま行けば、3年以内に親環境農産物が過剰となる時代がくる可能性もある」と警告した。そうなれば、被害は農民にそっくり帰るほかはないということだ。そのためにハンサルリムは生産者と消費者間の有機的関係を呼び覚まして地域循環を強調する教育プログラムを強化する側に焦点を合わせる。「食卓を生かし、農業を生かし、地球(生命)を生かす」というハンサルリム精神を実践するためには、近いところで生産した農産物を食べなければならないというローカルフード・キャンペーン、別名「近い食べ物」運動が代表的である。

 ハンサルリム組合員の金ギョンナン氏(39歳・主婦)は、このごろ売り場で品物を買うたびに領収書を確認する癖ができたと言う。「今日私が節約した温室ガス量」が、領収書に記されて出てくるためだ。例えば、国産大豆で作った純豆腐(訳注3)を買えば、大豆の生産から豆腐の流通にいたるまでの距離は100キロに過ぎず、移動距離が1万9736キロの米国産大豆で作った豆腐を買うのに比べてCO2の発生量を138グラム削減したとの結果が表示されるのである。これは「蛍光灯を16時間消す効果」に相当するというのが、純豆腐製品の包装に記されている親切な説明だ。鄭キュホ研究員は、このように日常から組合員が変わっていくことが重要だ、と述べた。生協は基本的にオルタナティブな価値とシステムを追求する運動組織であるだけに、長い時間幅で未来を見通し、組合員の意識と生活の様式を変えていく必要があるとのことだ。


ドゥレ生協-「優しい消費」を越えて

 「コーヒー栽培だけでは農民の自立は難しい。稲作を新しく始め、養鶏場を設立するのにお金が必要だ」(ダニエル・ペレイラ、東ティモールKSI)。「パレスチナは『大きな鳥かご』のような状況だ。狭い空間に難民が集まって暮らしている。しかし、スローガンだけ待っているわけにはいかない。私たちが自立できるように助けてほしい。オリーブ油の搾油・加工施設や倉庫を作るのにお金が必要だ」(ハリッド・ヒドゥミ、パレスチナ農業開発委員会UAWC)。

 去る10月9日、ソウルで開かれた「互恵のためのアジア民衆基金創立総会」では、第三世界から来た生産者たちの要求が溢れるほどだった。これら生産者は、ドゥレ生協の組合員らにとって馴染みのないものではない。2004年から、ドゥレ生協はこうした生産者たちとの公正貿易を通じて、マスコバド糖(フィリピン)、オリーブ油(パレスチナ)、コーヒー(東ティモール)などを国内に持ち込んだためだ。ドゥレ生協の55ヶ所の店舗(会員数5万7000人)に行けば、「パルレロスの希望」や「パレスチナの平和」といった商品名がついた彼らの品物に会うことができる。

 しかし、生協は公正交易の物品を買って使う、いわゆる「優しい消費者」という役割から一歩先に進むことにした。韓国のドゥレ生協、ハンサルリムと日本の生協など10団体ほどが手を握って「アジア民衆基金」を作ることにしたのだ。この日、アジア民衆基金の議長に選出された藤田芳和氏(日本「大地を守る会」会長)は、「これまで20年間の交易経験を通じて、第三世界の生産者にどんな施設と資金が必要なのか、よく知っている」と話した。それ故、彼らの自立を安定的に支援するため、基金を作ることになったという。

 アジア民衆基金は2012年までに12億ウォン以上の基金を作る計画であり、毎年4億ウォンほどを申請団体の状況に合わせて支援する方針だという。現在、アジア民衆基金に融資を申請したのは5ヶ国9団体である。例えば、東ティモールは養殖場と訓練センターの建設、フィリピンは穀物整備事業と家内手工業の支援に必要な資金を要請した。

 ドゥレ生協の金起燮常務理事は、「恩恵の授与」ではなく「互恵」の次元で基金が設置されると強調した。砂糖やコーヒー、オリーブ油などは、国内で生産される品目ではない。こうした食べ物を安全な状態で享受しようとすれば、第三世界の生産者との「信頼関係」が形成されなければならない。お金をどれほど掴んで渡しても仕方がない。したがって、彼らが安定した自立基盤を整えられるように基金を支援するのは、私たち自身に恩恵が戻ってくることだという。

 もちろん、国内の農村も滅びていくのに第三世界を助けるようというのは贅沢な話だ、との批判もある。「無理に砂糖を食べなければならないのか。(国内で私は)水飴を食べればいい」と直接的に攻撃する生産者(農民)もいる。こうした理由で、ドゥレ生協は第三世界との交易を始めるのに先立ち、都市の消費者ではなく農村の生産者から現地を見学するようにしたという。フィリピン・ネグロス島のサトウキビ農場が最初だった。ところが、現地を見学してきた農民自身が交易賛成者に変わったという。農民たちは「私が持っている農業技術を少しでも伝授してあげたかったよ」と残念がった。「品物」の代わりに「人」が目に映ったのだ。

 都市の組合員にとっても、民衆基金は「互恵的消費」を実験する新たな1ページである。日本の生協の場合、一般のバナナは6円、「民衆基金のバナナ」は9円という方式で価格をつけ、組合員から選択するようにする、と藤田氏は述べた。ところが、組合員の相当数が当面の損害を甘受しながら9円を選択するという。金起燮常務理事は「全地球的な気候変化・貧困の悪循環の中で一国的アプローチだけで安全な食べ物を期待することは難しい。生協運動も国際的に視野を広げる時だ」と語った。【訳:山口協】

【訳注】
 (1)韓国の全国チェーンのパン屋。
 (2)日本での名称は「31アイスクリーム」。
 (3)日本の「おぼろ豆腐」に相当。


【参考資料②】
【出典】韓国紙『朝鮮日報』(電子版)
2010年1月19日

地域循環農業ための親環境稲精米工場
生産者・消費者が協力して設立


 最近、ローカルフードの基盤を確実にするための施設が完工した。去る11月中旬、親環境栽培の稲だけを専門に精米する「原州生命農業親環境稲専門精米工場」が、原州市好楮面光格里セムゴル村に設立された。原州生協組合員とドゥレ生協連合会、ドゥレ生産者会が工場設立の出資に協力した。

 精米工場を設立することになったのは、一般の精米工場で親環境栽培の稲を精米した場合、慣行栽培の稲と混ざり合う恐れがあるが、自らの精米工場ができれば、そうした憂慮がないからだ。

 また、注文を受けた後、直ちに精米したよい米を供給できるという利点もある。精米能力は白米基準で1時間1.3トン。原州生命農業精米工場は注文後3日以内の供給を原則にしている。

 また、この精米工場は地域循環農業のための施設でもある。精米工場が設立された好楮面セムゴル村は昨年4月「原州地域循環農業実現の村」を宣言したところであり、精米した副産物の籾殻や糠を農業に利用しようというものである。普通、一般の精米工場は精米を終えた籾殻や糠などを農民に返してくれない。

 原州生命農業精米工場では精米を終えた籾殻や糠を農民に与える。そうなると籾殻は韓牛牛舎の敷物用に使われ、また糠は糠農法で農作業をするのに使うことができる。このように農業をして出た藁は韓牛の飼料になり、韓牛の糞はミミズを飼育するのに使われ、ミミズ糞便土は農業で肥料に使われるなど、循環農業が成立するのである。

 地域循環農業を完結するためには専門精米工場設立が必要であり、このたび精米工場ができたので、あとは地域の農家を中心に循環農業を実践することだけとなった。【訳:山口協】


【参考資料③】
【出典】ドゥレ生産者会ホームページ
2010年2月10日

清州にもドゥレ市場が開かれました
梧倉ドゥレ市場2号店開店式


 2008年、生産者会が新しく始めた事業であるドゥレ市場。梧倉地域に初めて根を下ろして始まったドゥレ市場は、すでに2年が過ぎました。その間、多くの生産者の努力で平沢ドゥレ市場と安城ドゥレ生協ができ、現在は地域で住民たちとともに多くの活動を行い、存在感を示しています。

 最初に梧倉ドゥレ市場を作り出した生産者組織「梧倉有機農」の生産者会員5人と生産者会は、この間の努力によって、清州で生産消費密着型の生産地店舗(直売所)である梧倉ドゥレ市場2号店の扉を開くことになりました。

 『清州に梧倉ドゥレ市場が開設されました。

 去る1月29日金曜日、梧倉ドゥレ市場が忠清北道清州市上党区に2号店を開き、喜びの祭りを分かち合いました。梧倉有機農の金ジンウ代表は「梧倉ドゥレ市場がこのように地域に根を下ろし、清州に2店舗を開くことになった。このように実を結ぶまで多くの助けをいただいた生産者会員と地域の多くの方々に感謝を申し上げ、これから生産者が作った店舗が生産者に役立ち、地域で生産と消費が一つになるすばらしい事例になるべく続けて努力する」と、お祝いに集まった多くの方々に感謝の意を伝えました。

 開店式には、ドゥレ生協連合会だけでなくドゥレ生産者会の役員、多くの生産者会員たちが参加して開店を祝い、セロム食品(菓子、パンなど)や大自然食品(豚足など)から直接参加していただき、生活材の試食と広報活動を一緒にして下さいました。また、平沢ドゥレ市場からも参加して共に助けてくださいました。梧倉ドゥレ市場2号店の開店をお祝い申し上げ、参加された生産者会員の皆様に深い感謝申し上げます。』

 『梧倉ドゥレ市場だけの自慢の種「ローカルフードコーナー」

 生産地店舗だけで享受できる(?)楽しみのローカルフード(local food)コーナー。地域で生産した農産物を地域で消費し、地域の経済と環境を生かす循環運動を直接実践できる場所がドゥレ市場です。

 梧倉ドゥレ市場は、梧倉有機農の生産者が市場内に生産者別にコーナーを設置し、多様な生産物を販売します。生産者が直接生産した農産物で消費者に会い、中間流通段階を経てマージンが生じる市中の多くの生産物と異なり、価格も生産者が直接決めたり、市場を利用する消費者とともに決めます。

 自分が知っている生産者が生産した農産物ならば、より一層信じて消費できるでしょう。梧倉ドゥレ市場だけで見ることができるローカルフードコーナーは生産者と消費者が顔を突き合わせて正直な農産物を作っていく場所です。』

 梧倉ドゥレ市場は、生産と消費が一つになる共同体を指向して梧倉地域の生産会員5人と生産者会が協同して作り出した生産地店舗です。ドゥレ市場を始めた際、今のように親環境(有機・無農薬)の店舗が多い時代、果たして生産者会員たちが出資して作った店舗が地域と生産者にとってどんな助けになるのか、多くの悩みを経て梧倉ドゥレ市場が作られ、この間の結果を通じて2号店を出すことができました。

 多くの試行錯誤を体験し、全国の生産者会員たちが多様な行事を通じて助けてくれた結果、梧倉有機農会員たちは地域において消費者との信頼関係を形成しています。梧倉生産者会員たちは近距離の消費者を招いて消費者に会ったり、日常的に市場を訪問して消費者と対話したりしています。

 会員たちは作付け体系を時期別に協議し、より一層多様な作物をドゥレ市場に供給しています。消費者は生産者に直接会える機会を再三持つことになり、生産者は多様な作物を直接供給して経済的利益と消費者との信頼関係をさらに重ねることになりました。生産者会も、運営会議を通じてドゥレ市場の継続的な支援を惜しみません。

 生産者が直接手がけた梧倉ドゥレ市場上党店によって、清州地域でも消費者と生産者が常に顔が見える緊密な消費と生産の関係がつながり、地域で生産者と消費者が共に生命を作っていくことを期待します。また、多くの生産者会員の皆様の継続的な関心と支援をお願いします。【訳:山口協】



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