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市民環境研究所から

無党派が党派の選挙に参加して


 7月10日が投票日だった参議院議員選挙も終わり、祇園祭で夏に突入したというのに、梅雨以上の豪雨が降り、「戻り梅雨」という便利な言葉で警報が続いている。参議院選挙は筆者にとっては思わぬ展開の中に身をおいたので、その経過で思ったことを綴らせてもらう。

 2018年の4月に実施された京都府知事選挙に市民団体「つなぐ京都」も支援して京都弁護士会副会長の福山和人(無所属)に立候補してもらった。自民、公明や立憲、希望、民進などが推す西脇と戦い40万対31万で敗退したが、もう少し取り組みが早ければ十分に府民の支持を得られたと思える選挙戦で、府民と野党連合の端緒が拓けたと思えた。

 その2年後の京都市長選に福山が立候補し、現職と無所属候補の3人の選挙戦となり、16万票で敗れた。この時も門川を自民、立民、国民、公明、社民が推薦し、福山は共産とれいわの推薦だけだった。

 さらに今年の4月に知事選があり、自民、立民、公明、国民の4党が推薦した西脇と共産党のみ推薦の梶川との選挙戦はダブルスコアで西脇の再選となり、筆者が関与した3回の選挙ともに破れた。

 以上の結果を見ていただけるとお分かりになると思うが、国政では野党である立憲と国民が京都では与党に加わっている。立民の福山哲郎とは何度も話し合い「市民と野党連合」で京都の政治、日本の政治を変えていかない限り、この国の未来は暗いと要請したが、福山は「京都は別だ」と毎回宣った。

 自公の後ろで何度も万歳をする福山や前原に愛想が尽きた筆者はもはや立憲を支持することはない。しかし、「つなぐ京都」のメンバーとしては市民運動の仲間とともに「市民と野党連合」の進化(深化)を諦めたわけではないので、京都でその実現を追求していく。

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 そうして迎えた参議院議員選挙である。定員は2名であり、自民、立憲、維新、共産の争いに諸派の5名が加わった。筆者はこの数年間の経緯から個人の資格で共産の武山を応援し、選挙カーに同乗して何箇所かで演説もし、北陸新幹線京都延伸反対運動の一層の拡大と候補者への支持を訴えた。この京都延伸計画に対する他候補の考えをアンケート調査したところ、自民吉井は回答せず、立憲福山はどっちとも言えない、維新楠井は賛成、共産武山は反対との回答だった。

 立憲が言う「京都は特別だ」とは、中央政府の事業に関して京都での反対勢力は共産党系であり、それと一緒に行動しても得がないから、どっちつかずの表明の方が得であると言うのだろう。そう言えばいろんな政策を見ても一貫した態度を取っているとは思えない。党派組織を超えた反原発の大集会である「バイバイ原発・きょうと」への立憲や国民の関係者の行動も同じである。共産党系が強くなると立憲や国民系は議員も支持者も参加してこない。時としてチラッと顔を見せるが、「京都は別だ」の福山の言葉のように去ってゆく。市民運動は党派を問わずに協力することを前提として行動しているので彼らの動きは不可解である。

 選挙終盤になって、市民運動の仲間や知り合いから、いつもなら共産に投票するのだが、今回はこの京都選挙区から維新を当選させるわけにはいかないので、立憲の福山に投票するよと告げられ、それで結構ですと返事した。いろんな立場の人々から、こんな投票行動を告げられ、共産支持の方々が立憲支持に廻り、維新を落とす力となったと思うがその認識が立憲にあるだろうか。筆者は投票内容を変えることはなかった。

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 そして総選挙は終わり、自民は参議院の過半数を占めるほどに議員数を伸ばしたが、安倍の射殺が有権者の同情を買ったのかと思う。安倍射殺事件の経過も背景の分析もない段階での同情票で、浅ましいと言えば怒りを買うかもしれないが、安倍の振る舞いを十分知っての投票行動ではないことだけは間違いないだろう。如何なる党派を支持するとしても、真相解明を求め続けなければと思う。

 短い期間であったが無党派の自分が党派の選挙に参加したことがこれからどのような反響を呼ぶのかを確かめながら、北陸新幹線延伸阻止や憲法改悪阻止の闘いに参加し続けようと思う。

                        (石田紀郎:市民環境研究所)
  


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