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市民環境研究所から
北陸新幹線京都延伸計画の無法
梅雨に入ったと言うのに雨が降らず、我が畑に暇を見つけて水やりに出かけている。コロナ禍の毎日で、ちっぽけな畑であるが心安らぐ時を作ってくれるからありがたい。その余の時間が暇なればさらにいいのだが、歳を取ることさえ忘れさせてくれるほどだから、多忙に感謝と呟きながら今日も自宅を出る。
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目下の重要課題は「北陸新幹線京都南進計画」の阻止である。こんな無理難題の「京都盆地地下100km以上もトンネルを掘る」工事を言い出した組織の責任者がとんでもない発言を繰り返している。その組織とは与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームである。その委員長は福井県選出の自民党衆議院議員の高木毅である。
2022年5月21日の京都新聞には、こうある。
「高木毅委員長(自民党)は会合後の取材に、2023年度当初の着工に向けて全区間で条件が整うのを待たず、可能な工区から工事を進めるべきとの考えを示した」「ルートに想定される地域では、工事を担う独立行政法人『鉄道建設・運輸施設整備支援機構』が環境影響評価(アセスメント)を進めている。高木氏は一部地域でアセスメントの着手が遅れている点を問われ、『順次、調査を実施しているという報告を受けた』と語った。」
ここまでなら現状を認識していると納得できるが、その後には驚くべき言葉が続いた。
「着工については、『一部で条件がクリアされないことがあって、すべての工区でまったくなにもできないのはいかがなものか』と指摘し、『知恵を出すとか工夫をする可能性はあると思っている』と述べ、委員会内で議論を進めていくとした。」
自民党の国会対策委員長という要職の発言とは思えない問題発言で、まさに“違法の進め”ともいうべきものである。
6月7日に、「北陸新幹線京都延伸を考える市民の会」として高木あてに「北陸新幹線延伸計画の環境アセスメント調査と工事に関する以下の公開質問状」を送った。
『質問の第一は、あなたが語った内容です。文脈上、あなたの発言は、環境アセスメント調査が一部で遅れている現状に対して、「環境アセスメント調査が、一部で完了しないことがあっても、工事を進めるべき」「その知恵を出す」と話されたと、私たちは受け取りました。あなたは、「環境アセスメント調査が、一部で完了しないことがあっても、工事を進めるべき」という認識ですか?
質問の第二は、あなたがそれについて、「知恵を出すとか工夫をする可能性はあると思っている」、「委員会内で議論を進めていく」と述べている点です。あなたは委員長として、環境アセスメント途中の部分的な工事開始について、委員会で議論をすすめるという意向ですか?
環境アセスメントは法的な制度であり、それが完了もしないうちに工事に入るなど、明確に法律違反です。文書で、6月13日までにご回答をいただきたく、よろしくお願いします。』
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この質問状を提出した後に運動仲間が数名の国会議員を東京に尋ね、協力要請を直接面談でお願いした。高木議員には直接合う約束ももらえなかったので、国会議員室に伺い、秘書を通じて質問状を渡そうと試みたが、秘書は受け取りさえ拒否した。
高木暴言は明白な法律違反であり、国会議員で構成するプロジェクトでの発言であるからこの問題発言を放置するなら構成議員全員の政治責任を厳しく問わなければならない。また、環境アセスメント委員会自体も与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームに抗議をするべきだろう。
そしてこの新幹線延伸の現場の京都府知事である西脇が選挙戦でも当選後もなにも発言しないでいる。府民に対しての責任を取らず、自分を再選してくれた自民公明のやることには何も言わない。
こんな知事を自公にくっついて支持した立憲や国民の無責任ぶりには愛想も尽きた。もはや野党ではない。こんな連中を存在させている府民が情けないと参議院選挙への関わり方を決した。
(石田紀郎:市民環境研究所)