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コラム 南から北から
牧草づくりに四苦八苦の日々


 前回も書いたように、牧草収穫が本格的に忙しくなってきました。今年の春は、初めて乾草作りにチャレンジしてみました。昨年は、冬への貯蔵用として夏に「ヒエ」をラップサイレージにしましたが、ラップ代がかかる上に、カラスが突いたりしてラップが破けると、うまく発酵せずに腐敗してしまったり、ラップのゴミが大量に出たりと、問題が判明。そこで、ラップを使用せずに、乾燥させて保存できないかと乾草作りを試みました。

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 4月上旬、刈った草を5~6日、機械でかき混ぜながら乾燥。ロールにして新たに借りた倉庫で保管。これまで、購入した輸入乾草は、外気の触れるとカビてしまうので、ブルーシートで覆っていました。その感覚で今回もそうしたところ、3日後に様子を見に行くと、ブルーシートの内側が汗びっしょり。幾つかはカビていました。しっかり乾燥させたつもりでも足りず、そこにシートを被せたことで、中で蒸れてしまったと考えられます。

 急いでシートを外し、一部は牛にあげましたが、廃棄も出ました。やはり、湿度の高い室戸では長期保存できる乾草作りは無理か……。気を取り直してラップサイレージを作ることに。サイレージは少し湿った程度でロールにしますが、タイミングは手探り状態。また、時間が経つほど質が悪くなるので、ロールにしてからできるだけ早くラップを巻かなければならず、一度作り始めたら時間との勝負!

 私が妊娠中で思うように動けない中、夫はほぼ一人で作業するため、気持ちが燃えている間は恐ろしい集中力で動きますが、一日が終わるとバタンと倒れこむように寝ています。都合が合えば、お義父さんも手伝いに来てくれます。59歳とは思えない身のこなしで、私たちよりもテキパキと動き、近所の人が驚いて見に来るほど。そんなこんなで、なんとか約2週間分のサイレージを作ることができました。

 サイレージはロールにした後にラップする工程が加わります。時間をかけたわりにできる個数が少なく、コストとゴミ問題も残っているため、諦めきれずに再度、乾草作りにチャレンンジすることに。5月上旬、日差しが4月よりも強くなり、湿度も低く爽やかな晴れとなって期待大。天気予報を確認すると、10日間晴れ! これは、絶好のチャンス。一気に機械で刈り取りました。

 しかし、あくまで予報は予報。晴れ予報が一気に雨予報に。思っていたより早く雨が降り、予定していた段取りが大きく変わり、大慌てで作業を組み立て直し。朝早くから作業するなどして、何とか収穫しきることができました。以前、失敗した経験を活かし、シートはかけずに保存。乾燥状態も前回よりも良く、果たして何日間保存できるのか楽しみです。

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■お義父さんと夫の作業風景
 燃料代や肥料代が上がる中、飼料作りも簡単ではありません。借りてほしいと言われる田んぼは年々多くなる一方で、1日に牛にあげる量は限られているため、多い分は保存しなければなりません。せっかく作った牧草を無駄なく使い切ることが目標です。昨年から始めたサイレージ作り。今年は乾草ロール作り。毎回、気候も違えば草の状態も違う。失敗しながら改善策を見つけ、試行錯誤しながら取り組んでいます。

 追記:まだ梅雨入りしていないのに、雨がちな室戸。期待大の乾草にうっすら黒いふわふわしたものが……。うー、難しい。

       (松本木の実:高知県室戸市在住)



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