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市民環境研究所から

「京都は別だ」ではなくなるかも


 3月25日から始まった京都府知事選挙は4月10日が投票日であり、午後8時に投票は終了し、8時から始まっていたニュース番組は速報中の速報として西脇候補の当確を告げ、梶川候補の落選が決定したのである。

 予想はしていたが、投票所での出口調査だけで落選を言われると余韻というものがなく、時の流れで心を整えさしてくれてもよいのに、と苛立つ。投票総数75万6000票で、西脇が50万5000票で梶川が25万1000票だった。ダブルスコアで敗北した。疲れは出たが、伏せることはなく、毎日のように市民環境研究所には出かけているが、身体全体の気だるさは取れない日々がまだ続いている。

 選挙全体の総括会議を重ねて、何がこの結果を招いたのかを冷静に分析して、この京都府の政治状況を変えるための語らいを各所でやらなければと思っている。

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 そんな今朝、京都新聞の「現論」欄に中北浩爾さんが「歴史的岐路となる参院選」と題して今の国政状況を論考されている。現在の国会の不甲斐なさを嘆き、支持率が低迷している国民民主党が自民党に擦り寄って、野党の中でおとなしくしていれば立憲民主党の陰に隠れてしまい埋没してしまうことを恐れているのだろうが、自民党に近づき、今夏の参院選に向けて、生命維持装置である連合の民間4産別の組織内候補を当選させるために、なりふり構わない行動に出ているという。

 自民の方は国民民主を連立政権の中に引き込み、憲法改定の実現に向けて国民民主を取り込んで、憲法改定に消極的な公明党を牽制するための策略だと中北氏は書いている。

 まさに現在は野党である国民民主を与党にして、憲法改定への自民の道を歩ませる策略であると分析している。まさに野党であることの責任などどうでもよく、自分たちのためだけの策略を第一義とするどうしょうもない政党色丸出しの振る舞いである。

 京都ではもう何年も前から国民民主だけではなく立憲民主も合わせて、同じような仕掛けが実行されている。4年前の知事選、2年前の京都市長選でもそうだったが、今回の知事選でも自民・公明が推す候補の当選バンザイの風景の中に前原誠司と福山哲郎がいた。彼らは、野党として自公に対峙して活躍しているから選挙で当選したはずである。だのに、京都府のレベルになると自公のカヤの中に入り、野党支持である市民に対して「京都では別だ」と言い続け、自公のお抱え知事候補を支持し続けている。

 今回の知事選挙でも筆者や市民運動の仲間17名が共同代表者となって結成した「つなぐ京都2022」の推薦する梶川候補(無所属)の支援を拒否し、自公推薦の西脇支持に回っている。理由は何も言わないが、共産党が支持する梶川はダメだということだろう。要は共産党に飲み込まれるくらいなら自公の後ろで万歳をするというのだ。

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 「京都は別だ」を何回も彼らから聞かされ、筆者には寛容の余地はなく、立憲とは前回知事選で決別した。今回も市民運動仲間から両党との折衝を頼まれたが、もはや動くことはしなかった。前原や国民民主議員と連合、立憲民主の福山・山井・泉と連合の連名で、別々に送られてきた西脇支持の選挙ハガキが自宅に届いた。知事候補西脇が府民に伝えるべき政策は何も書かれていなかった。「あたたかい京都づくり―安心・温もり・ゆめ実現」とだけ書かれていた。今、市民の間で大きな議論が起こっている問題への西脇本人の見解など皆無であったし、推薦人の意見も見当たらない。

 京都では自民・公明の下で連合とともに名前を出すことだけが大事なのだろう。そして、国民民主が取り込まれていく中央政治でも、立憲もまた遅れをとるまいと走り出す日は遠くないのだろうか。「京都は別だ」は別ではなくなるだろう。

 こんな政党を頼りにせずに、「市民と野党の共闘」運動を質・量ともに深め拡大する自分たちの動きを次にやってくる参議院議員選挙でも、「つなぐ京都2022」の運動再開を早めなければと思っているが、今しばらくは春夏野菜栽培の野良仕事に時間を割かせて頂こうと思っている。

                        (石田紀郎:市民環境研究所)
  


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