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市民環境研究所から

再び挑む京都府知事選挙


 寒波の襲来というか連続というか、例年になく寒い毎日が続いていた2月から抜け出した。我が家の木材ペレットストーブの燃料代はこれまでになく多く、燃料屋さんからも同情されるくらいだった。

 何とか厳冬を乗り切った頃、京都府の知事選挙が始まった。昨年から各種の会合が開かれ、市民と野党の共闘で京都府知事の座を我々の仲間に取り戻したいと模索してきた。4年前の「市民と野党」連合で闘った知事選では、得票率があと6%ほどあれば勝てたことを踏まえ、今回も挑戦しようと決意した。

 各政党や市民団体と交渉・相談をしたが、結局はまとまらず、少数市民派と共産党と新社会党の連携で「つなぐ京都・2022」という団体を結成し、候補者探しを開始した。多くの困難に直面し、女性陣の踏ん張りで難局打開と頑張ったのだが、実現は難しかった。最終的に、「つなぐ京都・2022」の梶川憲さんに決意していただき、一昨日知事選本番に突入した。筆者も連日の選挙事務所入りである。昨日も午後から選挙カーに乗り、不得意な演説をしなければならない羽目になった。

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 4年前、同じく知事選挙への挑戦について、本誌2018年4月号の本欄に書かせていただいた文書の一部を引用すると、以下の通りである。

 『選挙に向かって、オール京都の考えのもと、市民主導で選挙母体になる「つなぐ京都」の立ち上げに参加した。立憲民主党にも呼びかけたが賛同を得られなかったばかりか、相手方陣営に入ってしまった。せめて自主投票ぐらいはと思って話したがダメだった。まあ筆者の力量ではと納得した。そして福山和人候補が名乗りをあげ、市民運動関係と共産党との協力体制で選挙は戦われた。

 候補者の良さを記す字数がないので割愛するが、西脇候補の公約は、近年稀に見る程度の低さであると誰でも思うだろう。ひたすら名前を連呼するだけで、候補者間の議論を避けていたというか、大衆の前に現れないままであった。組織票だけで得票した結果、太いパイプ派の勝利となり、西脇を囲む経済界の大物や知事・市長の当選万歳の列の後ろで、捏造、改竄、虚言の安倍政権と対決しているはずの野党代表がバンザイをしている哀れな姿があった。それに対して、市民と共産党との連携運動は、破れたとはいえ京都の歴史に残るほど肉迫したことだけは確かであり、市民運動の新たな地平を開いたと思う。』

 続く市長選でも同じ構造で選挙は進み、自公の後ろで万歳をする立憲や国民の惨めな姿があった。国会レベルでは自公政権と対決していると偉そうに言っている立憲だが、京都では別であり、今回などは現職の西脇知事と同じ政策を進めていると言っているようである。もはや何をか言わんや、である。

 北陸新幹線の京都延伸問題は今回の選挙の争点だと思っており、環境面の問題だけではなく、膨大な負担金の問題も大きいが、西脇は何も言わない。京都府、京都市が経費を一銭も分担せずに工事が完了するわけがない。

 現在、明示されている工事総額は2兆1千億円である。誰もこれで最後まで完成するなどとは思っていないだろう。兆の位が変わることはないだろうが、千億の位は大きく変化し、京都府の負担額がどれほど増加し、総額いくらになるかなどは推進派からは全く出てこない。赤字財政の京都市が負担できるわけはない。京都府や鉄道機構とどのような下相談をしているのだろうか。府民・市民に全くの説明もなくこのような大工事に加担するならば、もはや地方自治体としては完全に破綻である。

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 西脇の選挙ハガキにはこの点については一言も書かれておらず、争点にならない選挙らしい。そして、『私はこれまでの実績・経験を活かし、府民が「安心」でき、府民が「温もり」を感じられ、府民が「ゆめを実現」できる「あたたかい京都づくり」を、府民の皆様とともに進めてまいりたいと考えております』とだけ書かれている。

 国民民主党と連合京都が出したこんなハガキが昨日我が家に届いた。彼らは今後も自公の後ろで、政策とは関係なく万歳をするのが夢なのだろう。もしも我々の陣営が敗北したら、桜が咲いても寒さが続く京都になる。

                         (石田紀郎:市民環境研究所)
  


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