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市民環境研究所から

実現したい「京都から変わる」


 雪も降らず、氷もはらないまま1月半ばになり、異常気象の中で2020年は進んで行く。明日1月19日には、2月2日が投票日の京都市長選挙が告示され、選挙戦が始まる。すでに、3つの陣営の宣伝カーが街中を走っている。

 昨夏の終わり頃から市長選挙に深くかかわることにした。現在の京都市長は3期目であり、もううんざりする存在である。筆者が直接関係した「うんざり」は二つあり、筆者のブログ「ホツパラの日々」で詳細に記録している。いずれも個人の人権に関する事件であり、門川市長と直接メールでやり合った。

 一つは「防犯カメラ設置事件」で、2017年4月の本欄に報告し、もう一つは自衛隊へ若者の個人情報を提供した「宛名シール事件」で、これも昨年3月と10月に本欄で報告した。いずれも京都市民の個人情報を本人の了解なしに官憲に渡すものだ。

 これ以外にも門川市政は多くの問題点があり、市民は愛想を尽かしているが、選挙となれば京都特有の「共産党対非共産党」の選挙戦となる。

 2018年の知事選も同じ様相だったので、フクシマ以後の反原発運動で実現した「オール京都」の考えのもと、市民と野党の共闘を模索し、選挙母体として「つなぐ京都」を立ち上げた。立憲民主党にも呼びかけたが、賛同を得られるどころか自民公明の陣営に入ってしまったから、市民運動関係と共産党とで戦い、結果は敗北した。

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 しかし、自治と人権とはなんぞやを考え、市民と語り続ける人物を市長に選ばないと、この街も147万市民もますます苦難の道を歩むことになる。

 この50年間、多くの公害現場に出向き、単なる科学的調査だけではなく、被害者との共同活動を続けて筆者が学んだのは、自治と人権を守ることがあらゆる公害問題を解決する基本だということだ。この思いで、市長選挙にかかわろうと決意した。

 知事選で敗北した福山さんが市長選に挑戦する決意を固められたので、国政野党に一緒にやろうと呼びかけたが、立憲民主党と国民民主党は自民公明の候補者となった現市長支援に廻った。立憲も国民も野党連合で市民との共闘など考えていないようだ。

 選挙母体として知事選の「つなぐ京都」の発展型として、「つなぐ京都2020」を立ち上げて市民と野党の連合ができた。この我々の取組を1月15日付『東京新聞』の「本音のコラム」で、『京都から変わる』と斎藤美奈子さん(文芸評論家)が実に鮮やかに記してくれているので、引用させてもらう。

 「19日に告示、2月2日投開票の京都市長選から目が離せない。

 立候補を決めているのは四選を目指す現職の門川大作市長、弁護士の福山和人氏、市議の村山祥栄氏の三氏。京都では国政与野党相乗り候補と共産党系候補があらそうパターンが続いてきたそうで、今回も、門川氏は自民、公明、立憲民主、国民民主、社民の各京都府連が推薦する。京都のことは京都で決めればいいとはいえ、微妙に白ける。

 しかし、今度の市長選では長年の図式が崩れた。共産党とれいわ新選組の二党が福山氏の推薦を決めたためだ。全国初の共産&れいわの共闘。

 どんな候補か調べてみると、福山さんのマニフェスト、巻頭語は京都弁やった。「政治は、一握りの政治家や、財界、大金持ちの人たちの独占物やない。懸命に生きてる99%の市民のためにあるべきや」「ホンマは国がそういう庶民のために頑張らなあかんけどそれを怠けてる。それならせめて京都市が市民のために必死になってやらなあかんと思います」。子育て、若者、高齢者、地域経済など、政策の中身も具体的で予算額や財源まで示されている。

 政策の出し方も選挙の戦い方も、新しい風を感じさせる京都方式。中央政界では立憲民主と国民民主が合流するしないでモメているけど、私ら市民は待ったなしだ。そんなことやってる場合ちゃうで。」

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 今日現在、共産党、れいわ新選組、新社会党と緑の党・京都府本部と生活フォーラム関西が支援を約束してくれ、「市民と野党の連合」が活発に走り出した。ダメな野党は所詮ダメな存在で、「共産党と組んだら政治生命がなくなる」と何度も宣った野党幹部の声にあきれた。2月2日の夜がどんな夜になるか楽しみにして、筆者も街頭に立つ。

                                               (石田紀郎:市民環境研究所)


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