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地域から政治を考える

ピースマーケットのせ 2019 に向けて

イベントから実践へ

持続可能な地域づくり
目指して


 能勢町で行われる「ピースマーケットのせ」の準備が最終段階にあります(ピースマーケットについては、本誌第161号の本欄参照)。この原稿が出るころには、このイベントは終わっていると思いますが、今年は「持続的な地域社会をつくること」をテーマに、能勢における再生エネルギー発電とそれによる自立した地域づくりを目指しています。

 能勢高校の生徒さんたちによるシュタットベルケ(町の事業、本誌第169号本欄参照)についての研究や、モンゴル社会の研究を通した地域のあり方についての考え、NCDC(能勢コミュニティ開発センター)の報告などを企画の中心において、これからの社会を担う若者とともに、持続可能な社会のあり方を考え、実践する方向を目指していきたいと思っています。そこに、能勢の近隣自治体で市民エネルギーを実践している方々との交流を通して、実践へと一歩進めていくための場にすることを意図しています。

 そして、地元の高校生が提案することで、この考えを町民に浸透させていきたいと思っています。たくさん人が集まれば集まるほどイベントとしても、啓発活動としても成功と言えると思います。そのため、研究発表会という堅苦しいものではなく、楽しみながら、ともに考える場としていきたいと思っています。

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 こうした企画を考えたのは、能勢町が過疎化に直面し、何年後かには「夕張化する」と噂されるような現状であり、町自身も持続可能な地域をつくりだすという方針を目指さざるを得ない状況にあるからです。人口が減少し高齢化していく町を、いかにして持続可能な地域にしていくのかということが大きな問題となっています。

 再生エネルギーの自給は、持続可能な地域づくりの要になっていきます。自給することで地域のお金を外へ出さず、地域に活かしていけるし、地域の財源不足を補うことができます。そこには新たな雇用が生まれ、地域の活性化につながるものとなります。

 もう一つは農業です。農業地帯である能勢では、農業者が高齢化し、後継者がいない等の問題があります。若い新規就農者たちがいますが、農業だけで飯を食べるにはなかなか困難な状況にあります。

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 国連は「家族農業の10年」を掲げて、家族農業を守ることを訴えています。資本による家族農業の破壊が世界的な飢餓を生み出しているという理由からです。日本政府の政策は、それと反対に家族農業を破壊し、農業を産業化し、輸出産業にしようとしています。

 能勢町の方針でも、農業の産業化が言われています。これまでも6次産業化として、売れるものを作るという事で、いろいろ試みられていますが、うまくいっているとは言えない現状にあります。農業が工業製品のように産業化してしまえば、農業が保持してきた生物多様性は破壊されてしまい、売れるものしか作らないようになり、その多様性が失われることになります。

 能勢はもともと中山間地域にあり、大規模農業に向いてはいません。家族農業を保護し、家族農業を拡大する中で、多様性をもった農業生産をしていくことが、持続可能な農業となっていきます。

 そうした方向性をもったものとして、「ピースマーケットのせ」企画をしています。もちろん、イベントの次は実践へ、ですね。

                                          (戸平和夫:北摂反戦民主政治連盟)


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